2012年01月12日

僕は君たちに武器を配りたい

本日は「僕は君たちに武器を配りたい」の書評。

■■評価
●読みやすさ
やや分厚い本。300ページ。
内容自体はそれほど難しいものではありません。

●オススメ
大学卒業前から20代の方。
30代以降の方が読んでも非常に勉強になります。

●コメント
「そうだそうだ」と思わせるところと、サラリーマンとして反感を感じるところ両極端。
基本的には、起業のすすめというところか。少なくとも、自分で自分の将来が決められる立場になりなさい、というのが主な主張であり、自分の将来(経済的にも、業務的にも)を決められないサラリーマンは著者としてはリスクが高すぎると考えている様子。
それが本当にリスクが高いのか? と思われるところも多々あり、一つの見方としてこういう考え方もある、と受け取ったほうがいいかもしれません。


■■影響
●選書理由
非常に著名になった本だったので一度読んでみようと思いました。

●反対
本書中、サラリーマンは非常にリスキーであるという主張があります。これには賛成はできません。確かに、経営者の判断によって、自分の人生ががらりと変わる可能性はありますが、それがリスクなのかどうかはその人の受け取り方次第でしょう。
少なくとも、経営者自身も倒産した会社の経営者だったという経歴はほしくないだろうし、経営者としてその時々で必要(最適と考えられる)な選択を行っていくことには変わりがない。ただ、その判断に自分の影響力がないだけです。
その影響力のなさはリスクなのか安全策なのかは判断は難しいですね。
筆者のように社会全体を見渡してリスクを検討できるだけの力があれば、その判断に参加できていないのはリスクなのかもしれませんが、だれもがその様な「高次の判断」をできるわけではありません。
それに、もしそれができていて、かつ、正しいものであれば、世にいる投資家というのは、すべてが儲けているということでしょう。つまり、正しい判断ができない人が多いから、投資家でも1部の人間しか儲からないわけで、筆者が正しく判断できているので、ほかの人も同等に判断ができるという考えをベースに、それを投資家でなければリスキーだというのは強弁に過ぎないように思います。

サラリーマンを否定的に書いている点については、イチ サラサリーマンとして共感はしかねました。言っていることは、間違いではないと思うが、それ以外の選択肢を間違いかのように書くのはちょっといただけない、かなっと。

長々と反論を書きましたが、自分が納得したのは、マスコミの発言(公式な)にはウラがあり、それによって利益を得ようとしている人たちがいるという点です。だからと言って、それを無視するのではなく、自分のアタマで考えて、自分が判断して行動しましょう、という点には大変共感しました。

考えるサラリーマンになりたいものですね。

■■要約
●課題
2011年現在、日本の経済は冷え切った状態にあり、回復の兆しは見えない。そんな中で、経済はグローバル化し、日本の学生は海外の優秀な学生と競争をして大企業に入ろうとしている。そうした状況を利用して、新卒者を食い物にするビジネスまで出てきた。
私(筆者)は、一人の投資家として、今後社会に出ていく学生たちに対して、自らの手で夢を実現できるようなアドバイスを送りたい。

●解決策
自分の将来や仕事に対して「投資家的に」かんがえること。これが重要である。「金持ち父さん、貧乏父さん」という本があったが、この本にあるような不労所得を得ることではなく、労働の対価としてマネタイズ(お金として回収)できるようになってほしい。
私(筆者)がつかんだ資本主義社会における戦い方の要諦を教える。

●目次
第1章 勉強できてもコモディティ
第2章 「本物の資本主義」が日本にやってきた
第3章 学校では教えてくれない資本主義の現在
第4章 日本人で生き残る4つのタイプと、生き残れない2つのタイプ
第5章 企業の浮沈のカギを握る「マーケター」という働き方
第6章 イノベーター=起業家を目指せ
第7章 本当はクレイジーなリーダーたち
第8章 投資家として生きる本当の意味
第9章 ゲリラ戦のはじまり

●キーワード・キーフレーズ
この本で得られる武器
★勉強ブームの陰には「不安解消マーケテイング」がある。勉強すれば大丈夫と安易に思うな
★イン夕ーネットによって、知識獲得コスト、教育コストが激減し、世界的な競争にさらされるなど、急激な社会変化に注視せよ
★全産業で「コモディティ化」が進んで賃金を下げないためにはコモディティになるな
★生き残るためには「スペシャリティ」な人間になること。「唯一の人」になれ
★資本主義には3つのモデルチェンジ、「略奪」「交易」「生産性革命」があった。
★日本を支えてきた「擦り合わせ産業」はもはや通用しない。
★「ものづくり」にはこだわるな、国に頼るな。
★現役学生が起業するのは「高学歴フーキングプア」への道。コモディティ企業を作るな
★専業主婦はハイリスク。「婚活」ブームに踊らされずに、女性もキャリアを目指せ。
★金融業界など高給で知られる会社ほど、変化が激しく、短命な商品の寿命がそのままビジネスの寿命となる
★現在人気の企業でも40年後は消減している可能性が大。就職ランキングに編されるな
★日本の国内市場は先細り間違いなし。海外で働くことも考えよ。
★大量のコマーシャルを打っている会社、「今流行っている」商品は気をつけよ
★生産性の低い40代、50代社員が幸せそうにしている会社には入るな
★企業を見極めるポイントは「お客さんを大切にしているか」。顧客を大事にする会社は従業員も大切にする。
★資本主義の世界で、稼ぐことができるのは6夕イプ。
 1.商品を遠くに運んで売ることができる人(トレーダ)
 2.自分の専門性を高めて、高いスキルによって仕事をする人(エキスパート)
 3.商品に付加価値をつけて、市場に合わせて売ることができる人(マーケター)
 4.まったく新しい仕組みをイノべーションできる人(イノべーター)
 5.自分が起業家となり、みんなをマネージ(管理)してリーダーとして行動する人(リーダ)
 6.投資家として市場に参加している人(インべスター=投資家)
★しかしそのうちの「トレーダー」と「エキスパート」は価値を失いつつある。
★マーケ夕ーとは新しくない要素の組み合わせで「差異」を作り出せる人のこと。これからのビジネスは「差異」が左右する。
★企業や商品で差をつけることは難しい。差をつけるには、夕ーゲットとなった顧客が共感できるストーリーを作ること。
★自分自身も「商品」。売る「場所」を変えることでまったく結果が違ってくる。
★「自分の頭で物事を考えない人」はDQNビジネスのカモにされる。
★自分の働く業界について、ヒト、モノ、カネの流れを徹底的に研究しろ。
★イノべーションのチャンスは「今しょぼい業界」にある。
★「TTP(徹底的にパクる)」と「逆の発想」がイノべーションを生む。
★「駄馬」を使いこなすのが本当のマネジメント
★クレイジーな人はコンプレックスを原動力とせよ
★クレイジーでない人はリーダのサポート役になれ
★ローリスクより、リスクがとれる範囲のハイリスク・ハイリ夕ーンの選択肢をたくさん選べ。
★サラリーマンとは知らないうちにリスクを他人に丸投げするハイリスクな生き方。リスクは自分自身でコントロールせよ
★投資は、長期的な視点で富を生み出し続けるか、人が信頼できるか、の2点で判断する。
★日経新聞を読んでもけっして鵜呑みにするな
★機関投資家は個人投資家をカモにしている。株式投資は「損して学ぶ」つもりで挑め。
★トレンドとサイクルを見極めることができればリ夕ーンが得られる。
★人を今の評価で判断しない
★投資家として働くことで、世の中の見方が一変する。
★公開されている情報からでも、普通の人がやらない「一手間」をかけることで、大きな果実を手に入れられる。
★大学では「奴隷の勉強」に時間をかけず、自由人になるための「リべラル・アーツ(教養)を学べ。
★本当の資本主義の時代に「本当に人間らしい関係」を探っていこう。

●著者
瀧本哲史 (たきもと てつし)
全日本ディベート連盟代表理事 全国教室ディベート連盟事務局長
東京大学大学院法学政治学研究科助手(起業論)、マッキンゼー・アンド・カンパニーを経て現職
マッキンゼーでは、内外の半体、通信、エレクトロニクスメーカーの新規事業立ち上げ、投資プログラムの策定。新卒学生の採用活動とトレーニングに従事
日本交通の企業再生、ベンチャー投資における実績多数

■■気になったところ
★P21−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−
しかし、戦後も高度経済成長期から今日にいたるまで続いてきたこの学歴信仰は、バブル崩壊後の「失われた20年」、つまり平成の時代で完全に崩れ去った。良い大学を出ても一流企業には入れない。入ったところでいつ会社が潰れるか分からない。さらに大学進学率が50 %を超えるようになり、学歴だけで人に差をつけることはもはや無意味となった。
そこで従来の大学で教わる学問以外の勉強、つまり「実用的な英語」「ITスキル」「会計知識」がクローズアップされたのである。「従来の大学で学ぶような勉強はもう役に立ちません。今の時代に真に必要な知識を得れば、他の人よりも幸せになれますJ というストーリーを「仕掛け人」が作り出したのだ。
現代の勉強ブームの「仕掛け人」たちは、「これからの知識社会では、学び統けなければ生き残れない」と世の中の人々を煽った。前述のように彼らが「これから必須の知識」として、その重要性をことあるごとに吹聴したのが、「英語」と「IT」と「会計」の知識である。
−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−★

確かにそれは納得できます。つまり、時代の波を作るのはこういった、人をあおるマスコミやその言論を作っている人たち。そういう発言をする人間は当然それによって、儲けようと考えているわけだ。それがうまくいったのが、イーオンなどの社会人向け学習塾というわけだ。

これからは、「〜が流行です」「〜のスキルが必要です」みたいな発言にはのせられないようにしよう。

★P157−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−
実はこの「情報弱者の大衆から広くお金を集める」手法を昔から行っているのが、金融業界だ。投資会社は、広く個人を相手に小口の献がをする会社と、特定の法人や信頼のおける個人とだけ高額の取り引きをする会社に分かれる。
成功している投資会社は、個人市場からはいっさい資金調達をしない。投資した企業が成長したり、運用で儲けても、もともとの出資者にリ夕ーンを支払い、残ったお金は次の投資に回すのである。
すごくうまくいっている投資会社は、市場から資金調達をする必要がないのだ。つまり、一般の個人投資家向けに売られている金融商品は、「プロが買わないような商品だからこそ、一般個人に売られている」ということである。
−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−★

なるほど。プロに言われるとその通りだな、と思ってしまう。つまり他人に進めるというのは、それは自分でやると危険だから。だから、他人に進めてそれによる利ザヤを稼ごうとする。失敗すれば自分は帳尻を合わせなくていい。それが今の証券・金融市場ということなのでしょうね。
つまり自分のアタマで判断できるだけの能力がなく、情報収集能力もない人はカモにされるだけのようにできているわけですな。

この構図は昔から変わらない。つまりより情報をもっているものはそれを使って効率よく金を儲け、情報をもっていないものは持っているものに利用されるだけということのようです。

★P230−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−
サラリーマンとは、ジャンボジェットの乗客のように、ジスクをとっていないのではなく、実はほかの人にリスクを預けっばなしで管理されている存在なのである。つまり、自分でリスクを管理することができない状態にあるということなのだ。
だからこそ、ひとつの会社に自分の人生をすペて委託するのは非常に高リスクなのである。
−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−★

ここが自分が読んだときに最も反感を持ったところです。
たしかに、サラリーマンは最終的に社長の決定した事項に対して、「危険だからやらない」という選択肢は持っていません。しかし、では自分が決定権を持っていたらどうなのでしょうか?
社長は金融・販売などの必要な専門知識を持ったスタッフによって支えられています。そのスタッフの意見を総合し、これからの会社を考えたうえで決断しているわけです。その決断が、本当に危険だと判断すれば、その会社を飛び出せばいいし、判断できないなら従ったほうが得策だと思います。

ちなみに、ジャンボジェットが事故を起こす確率は自動車(自分が運転しますよね)が事故を起こす確率よりも格段に低いです。

 米国1国の車による1年間だけの死者の数でも、ライト兄弟が初飛行に成功して以来の航空機事故の死者よりも多い

こんな統計もあるくらいです。

個人経営の事業所がつぶれる確率と、ある程度の規模の会社がつぶれる確率は同じように比較にもならないでしょう。

★P268−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−
就職や転職するときには、どんな会社を選ぶべきか、投資家的に考えることが大切だ。しかしその際、重要な注意点がひとつある。それは、あなたが「この会社は将来必ず大きくなる」とトレンドを読んで入社したとしても、自分が一従業員として安い給料で雇われている限りは、意味がないということだ。
「この会社は伸びる」という読みに自分をかけるのであれば、その会社に株主として参加するとか、利益と連動するボーナスをもらうなりして、業績連動型のポジションに身を置かなければ、リスクをとった意味がないのである。
自分の労働力と時間という投資に対して、リターンを得られるポジションに身を置くことがお金を投資するのと同じ重みの行為となるのである。そして、その自分の書いたシナリオが正しければ、リスクに見合ってリ夕ーンを得られるのである。
これがまさに投資家的に働く、ということなのだ。といっても、大学を出たばかりの新入社員や、20代の若手サラリーマンがそうした業績連動型のポジションにいきなり身を置くことは、なかなか難しいだろう。現実的には、すでにヒエラルキーができあがった大手企業よりも、べンチャー企業のほうがそうした業績連動型の働き方ができるチャンスはたくさんある。
−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−★

ベンチャー企業にしても、入社する新入社員がいきなりそんなことを要求するだけ無茶じゃぁないでしょうか。ましてや、その業績連動の給料で新人がやっていけると思うところが、筆者がスーパーマンであり、その他大勢の凡人がよくわかってない、という気がします。
業績連動でやってみられるというのであれば、タクシーの運転手にでもなればいいのでしょうが、いきなりその業界に入って業績連動で儲けられる凡人がいれば、もうその人は凡人とは言えないのでは…。

さらに、リスクが高い場合に筆者がこの前に書いているように、ハイリスク・ハイリターンをたくさん行うことによってリスクを下げるという方策もあると思いますが、就職において、複数の会社に同時に就職することができない事実からして、就職というのは単なる博打に過ぎないと感じます。
しかしながら、現代社会で生きていく以上、収入ゼロでは生きていけないので、起業するか、どこかに就職するかの2択しかない。なので、人生で何度目かの大博打を打つしかないのではないかと思います。

それに、その会社に入ってよかったか悪かったかは本人の主観で決まるものです。私は「人間いたるところ青山あり」だと思ってますので、その会社がたとえ倒産の憂き目にあったとしても、それはそれで面白い経験をさせてもらったといえるのでは…(^^;;

あ、ちなみにこの「人間〜」ですが、こんな句の一部です。

  男兒立志出郷關 男児志を立て郷関を出ず  
  學若無成不復還 学若し成る無くんば復た還らず 
  埋骨何期墳墓地 骨を埋むる何ぞ墳墓の地を期せん
  人間到処有青山 人間到る処青山あり  
    江戸時代末期の僧釋月性の詩『將東遊題壁』より
ラベル:ビジネス書 就職
posted by 管理人 at 06:00| Comment(0) | TrackBack(0) | ビジネス書 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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