2013年12月19日

面接で「年上の部下・担当者への接し方」を聞かれたら1



昇進面接などで、私がする鉄板質問。

 「あなたのチームの部下やメンバーの年齢構成を教えて下さい」

これは大体次のように続きます。

 「年上の方にたいして指揮命令をするときにどんなことに注意していますか?」

自分の経験では意外とみなさんうまく(当たり障りなく)受け答えをする人が多いのですが、こちらの聞きたいことにはなかなかたどり着けません。

こちらの質問の意図は、被面接者の「リーダーとしての力量」が知りたいのですが、多くの人は、

 「丁寧語や敬語を使ってはなします」
 「年上としてのプライドを傷つけないようにします」



というこたえ。

これは私(面接官)の意図した答えからすると20点くらいかな。
答えて欲しいのは、「どのようにして彼ら(年上の部下)に行動を起こさせるか」のルールを知っているのか、という点。

丁寧語で話したとしても、「そんなことやっても、オレの経験からうまく行かんよ」と言われてしまえば、年上の人のほうが経験は上なので、より経験の少ないあなたは反論のしようがなくなってしまいます。それでも面接者は上司・リーダーとして、この扱いにくい部下をコントロールしないといけないわけです。




■他人を支配下に置くための4原則


昇進面接を受けるような方なので、概ねリーダーや課長などの管理職になるような人です。無能なわけがありません。しかし、会社というのは、学校のようにある狭い年齢範囲で固まっているわけではなく、ベテラン(要は会社に長くいる人)やら新人やらいろいろ混ざってます。

その中から、頭ひとつ抜け出すためには、言葉は悪いですが

 他の人達を支配下に置く

のが必要なんですね。

通常、上長が支配権を握っているのは、人事権を持っているという要素が大きいのですが、単にそれだけでは面従腹背になる場合があります。そこで、相手を本当にちゃんと動かすためには、私は以下の要素が必要と思ってます。

★――人を動かす4原則――――――――――――――
 1.業績評価者の合意
 2.業務目標との整合
 3.直接関係者の合意
 4.ビジョンに対する納得、明確なゴールイメージ
――――――――――――――――――――――――――★


優先順位はこの順番。

一般に、ビジネス書やリーダーシップなどの研修では、「ビジョンを共有しなさい」と言われますが、過去記事(3人の職人と墨俣城)などで何度か書いているように、平凡なサラリーマンは「ビジョンごとき」では行動は変化しません。

何が一番大事かというと、自分の評価です。

例えば、あなたのもとに日本の首相がやってきて、「ソマリアの貧困を解決するために一緒に頑張ろう。だからあなたに一人でソマリアにいって欲しい。」と言われたとして、あなたは「よっしゃ!わかった。ちょっと会社には辞表を出して、飛行機の予約をするわ。」って言いますか?

貧困を解決する」というビジョンに否定する要素は殆どありません。でも、だからといって、ソマリアへ行きますか?

もちろん、そういうことをやれる人はたくさんいます。たとえ自分の命が危険にさらされても、自分の信じた道を歩いて行く力と勇気を持っている人たちです。でも、すべての人がそれができるかというと…。

いわゆる「ビジョンの共有」は、有効な人とそうでない人がいて、多くの場合、後者が結構多いと思っています。少なくとも、管理人はソマリアへ行く気はありません(自慢できることではありませんが)。

■リーダーの力量とは


この面接質問でリーダーとしての力量をどのようにはかるかというと

 扱いにくい相手を動かす方法に気がついているのか

ということです。

最も扱いにくいのが、年上の部下や担当者なので、冒頭のような質問になります。
自分が上に行くに従って、どんどん年上の部下ができてきます。その時に、それらの人を取りまとめて、結果を出していけるのかどうかが大事なんですね。

で、気がついて欲しいのが、この「人は何によって命令に従うのか」のルール。

もちろん、これは私の経験則なので、この4原則と一致する必要はありませんが、面接を受ける人が、自分なりにどういうルールで人を動かそうとしているのかが大切です。
それがないまま、たまたま相手が「物分りの良い人」だったので、チームとしてうまく回っているのであれば、その人は別の環境に置かれた時点で、もう成果は出せなくなります。

そんな人は、管理職になるには、まだ能力不足と判断します。

■つづく


ちょっと長くなってしまったので、私の人を動かす4原則の説明はまた明日。




■関連する記事

年下の上司には最敬礼で接する

まあ、年上の部下の使い方もひとつの難しいテーマですが、ここでは年下の上司のへの接し方に絞って、私なりの対応方法についてご紹介します。実際、子供の頃は年上の人には無条件に敬意を持って接するようにしつけられることが多いです。たとえば、学校などでは、上級生というだけで、下級生に対しては多少ぞんざいな言葉遣いをしても許されました。その逆はたいていは「おまえ生意気」などときつく咎められます。そういう雰囲気で育ちながら、会社に入ると、年齢に..

新しいシステムには一番協力してほしい人の名前を入れる

なにか新しいことがやりたい時に、ひとりでは出来ないので、協力者がほしいですね。そういう時に、協力者を巻き込んでしまう秘策があります。アンドルー・カーネギーの成功の秘訣は何か?カーネギーは鉄鋼王と呼ばれているが、本人は製鋼のことなどほとんど知らなかった。鉄鋼王よりもはるかによく鉄鋼のことを知っている数百名の人を使っていたのだ。しかし、彼は人のあつかい方を知っていたそれが、彼を富豪..

人を動かす:相手の話を聞くときには手を止めなさい

部下や後輩が話しかけてきた時に何かをしていると、ついそれをやりながら、「ん。了解。」とやってしまうことがあります。あるいは、会議の時に、発言者の方を見ずにひたすら PC に何かを打ち込んでいるとか。これが "いかん" とはわかっているつもりなのですけどね。「あなたを愛しています」のメッセージ人の話をよく聞くことは、ビジネスの世界だけでなく、家庭生活でも同じようにたいせつ..

海外出張に行くときは、その国の言葉で挨拶をしなさい

ウチの会社は、海外に子会社がいくつかあります。というか社員数は海外のほうが圧倒的に多い。このため、仕事上、海外出張も少なくありません。その国の言葉で話したい同じ部門でも異なる部門でも、初めてその国に出張に行ってきた人に話を聞くと・中国語を覚えたい・英語を覚えたい・タガログ語で挨拶したい・スペイン語が読めるようになりたい・ハングル語が読みたいたいていこう思って、いままで見向きもしなかった、会社の言語教育コースをとったり..

人を理解するなら修飾語に注目する

交渉術や説得術でよく、「その人が望んでいることを理解して発言する」みたいな事をよく言われます。シゴトコンパス〜サラリーマンの仕事の羅針盤でも『人を動かす』から引用してそんなことをご紹介しました。人を動かす:人の8つの欲求を満たす魚はミミズで釣りなさい人を動かす:人に動いて欲しければその人の問題を扱いなさい人を動かす:チャールズ・シュワップの給料を決めたたったひとつの技術人を動かす:心のなかに欲求をおこさせるでは、どうす..

面接官になりなさい

昇進・昇格面接にしろ、中途採用の面接にしろ、やってみるとすごく効果がある方法があります。いくつかな面接技術関連のビジネス書を読んでみました(それほど多くではありません)が、これが書いてあった本は、この本だけ。『エンゼルバンク ドラゴン桜外伝』面接官は面接のシロウト昇進昇格、中途採用の面接官は通常、人事部1人、業務部門2〜3人です。過去記事でも書いていますが、人事部は当然、応募者を見る目はプ..

命令か依頼か―リーダーとしてのメンバーとの付き合い

部下や後輩をどのように呼んでますか?君さん!(敬称なし)ちゃん(愛称、略称)お前、テメーまあ、呼び方は人それぞれですが、私の知るパターンだと、呼び方によってその人のリーダーシップスタイルがだいたいわかります。仕事を頼むときに一番やってはならないことは、命令口調を使うことです。これをやられたほうは気持ちのいいものではありません。「命令」に..

昇進・昇格面接:共有しました

面接などで、過去の経歴・実績を述べるときに「問題点を関係者で共有して、一丸となって取り組みました」みたいに発言する人がいます。共有した?なるべく面接の時にこういう問題点に突っ込まないようにしてますが、どうしても抽象論しか言えない人にはツッコミを入れる場合があります。「『共有した』って言われたけど、それは何をどうしたの?」で、大体の人は「ミーティングで『こういう問題点がある』と話しました」「問題点についてレポートを書いて関係者に送付しました」的な答えが返ってき..

伝家の宝刀は錆びている

以前に何度か昇進・昇格面接のテクニックについてちょっと触れました。面接練習をする面接の質問:「記憶に残っている失敗を教えて下さい」会社訪問の受付での5つのポイント中途面接の失敗事例面接は「エライ人」で決まる面接で「年上の部下・担当者への接し方」を聞かれたら1面接で「年上の部下・担当者への接し方」を聞かれたら2今後も色々なテクニックを紹介していきたいと思いますが、すごく大事なことが一つだけ。あなたの普段の行動です。面接官には見えている何度か実際に面接官をして、あと..

会社訪問の受付での5つのポイント

ネットなどで調べると案外書いてないことが多いので、ちょっと書いてみることにしました。面接などで会社訪問をした時に、受付でするべきこと。コートやマフラーは社屋の外で脱ぐ意外と多くの人がしないのがちょっと気になりますが、屋内ではコートやマフラーは脱いでいるのがマナーです。つまり、屋内に入るときには「コートやマフラーは脱いでから入る」。これ、会社に営業などで来る人も意外としてません。打ち合わせ場所まで案内されて初めて脱ぐ人が多いです。内心は「営業職をさせるならマナ..



■同じテーマの記事

部下からの不平不満は上司の勲章

『課長のルール』という書籍から。部下に嫌われることを恐れるな誰だって人から嫌われたくはありません。部下とも末長く仲良くやっていきたいものなのですが、最近の若い世代は少々事情が許さなくなってきているようです。::(中略):おそらく部下に気を遣って気が引ける場面も多いことでしよう。しかし、部下に遠慮するのは絶対に禁物です(変に高圧的になってもだめですが)。さらにちよ..



posted by 管理人 at 00:00| Comment(4) | TrackBack(0) | 面接技術 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
こんにちは。現在39歳の会社員で先日の所長昇進最終面接でペンディングにされました。
俗に言う「次点」です。
悔しくて、自己研鑽したいためにいろいろと研鑽ツールを探していたところ、本ホームページにたどり着きました。 非常に勉強になります。
次点結果理由に関して、フィードバックがありました。アドバイスを頂けると幸いです。

【理由】「年上の部下に対するマネージメント方針に断固とした姿勢に欠ける」という事でした。

【具体例】
面接時の質問:「年上の部下が出来ればどうマネイジメントしますか。しかも優秀ではなく、愚痴の多い部下だと仮定してください」

伝えた点:目標を明確化し、重要性だけでなく必要性を理解させる。目標のみならず、プロセスも具体化し、道筋をイメージできるよう励んでいく。

面接官:「それでも愚痴を言って、仕事をしなかったら?」
→回答:「根本的な点から原因を洗い出すために面談を実施します。」

面接官:「あなたの部署の部下構成が、優秀、普通、不優秀の割合が、2:6:2の時、どういうマネイジメントを実施しますか。」
→回答:「基本的には、真中以上をピックアップしますが、下の2割もサポートはします。」

【結果】
2割の部下に退職を促す(切るという表現でした)という答えを期待していたらしいです。
「腐ったミカンをミカン箱に放置すると、周りのみかんも腐ってしまう」という事まで言われました。
面接官が初対面にも関わらず、「あなたはいい人ですね。その人柄がすばらしい」と褒めていただけたので、合格の可能性が高いと思っていましたが、結果は逆でした。

【ご教授ください】
この様な内容の質問は多いですが、この質問の更なる意図と、オーナー様が面接官であった時の、ニーズ、具体例を教えて頂けると幸いです。
Posted by 麹 at 2014年09月01日 00:34
こんにちは。

コメントありがとうございます。

■質問の回答について
まず、麹さんの回答に対する私なりの所感ですが、申し訳ありませんが私もその面接の場にいたらあまり良い点はつかけなかったと思います。

理由ですが、麹さんの答えが設問の「優秀ではなく、愚痴の多い部下」に適切だとは思えないからです。もしかして麹さんはこういった部下や後輩を持たれたことがないのかも、と推察します。
もちろん、その部下のレベルにもよりますが、一般に面接でこういう聞き方をした時にはかなり極端なレベルの人を想定します。そう仮定した時に、モチベーションがない人に対して、仕事のノウハウを教えても学習はしない場合が多いです(私の経験的に)。

■面接官の期待した答えについて
しかしながら、私なら面接官の答えも肯定はしません(否定はできませんが)。
この面接官が言われた答えは、上司として最終手段だと考えるからです。

こういった部下への対応方法については、別の記事

 http://sarahin.seesaa.net/article/397291029.html

で書きましたのでご参考になれば幸いです。

この記事の中にも書きましたが、「腐ったミカン〜」のたとえは確かに考慮せざるを得ません。すなわち、その人が自分の部下や部門関係者に悪影響を及ぼす場合です。この場合は、面接官の言われたような措置を取らざるをえないと思います。

ただ上記記事でも書きましたとおり、その部下が自分の部下である以上、「切る」のは自分の上司に対して自分の無能を晒すことになりますし、その部下にも生活があり、その生活は上司の評価にかかっています。そう考えると上司として「なんとかしてあげたい」と思うのも、個人的には人情ではないかと考えています。

■2:6:2の法則について
一般によく言われる法則ですが、最後の2を切ると、残りの8がまた2:6:2の比率でバラける、というのもよく言われます。つまり、その不優秀の2に対して永久に切り続けなければいけなくなって、結果として組織として成り立たなくなるリスクがあります。
※これも、面接官さんの言われる「腐ったミカン〜」を極力避けたい理由のひとつです。

したがって、もし私がこの部分に答えるとしたら、「下の2の人には非常に細かな作業レベルでの指導と直接のスケジュール管理をします。6の人にはそれぞれのレベルに応じた業務スキルの育成指導と実績追求を。一番上のレベルの人にはモチベーションアップのための自己研鑚と業務プロセス改革の推進をさせます。」と答えると思います。

これは、スキルレベルを縦軸とモチベーションを横軸として部下をプロットして、それぞれの部下に対してどういうリーダーシップが有効かを考え、相手に応じて対応方法を変えられるかがポイントなのではないでしょうか。

勘違いしている人がいるような気がするのですが(麹さんがそうだと言うわけではありませんが)、リーダーシップや上司マネジメントの発揮の仕方は、世の中で言われるような「うまくいくあるパターン」があるわけではないと思ってます。簡単にいえば、相手次第でやり方を変える必要があって、相手のプロット位置に対して、臨機応変に対応が変えられる人が管理職として実力が出せる人みたいです(所詮は人間対人間のやりとりですので)。

これはだれでもできることで、たとえば、お使いに言ったことがない子供には、すごく丁寧に教えますよね。中学生相手には「○○を買ってきて」といえば済みますよね。

同じことを部下に対しても積極的に活用した方がいい、と勝手に考えてます。
その時に、どのような分類をするのかというと、上記のスキルレベルとモチベーションの直交軸での部下の位置づけを確認することが第一歩だと考えています。

長文になってしまいましたが、ご参考になれば幸いです。
Posted by 管理人 at 2014年09月03日 22:20
管理人様

早速のアドバイスありがとうございました。
管理人さんのアドバイス目からウロコでした。感謝しています。

管理人さんのおっしゃる通りで、私の今までの部下、後輩は極端に無能な社員をもったことがありません。

私はビジネス書を読むのが好きです。
私が書いた文章を読み返すと、ビジネス書に書いている一般的な内容だと思いました。
力不足を痛感しました。

やはり、こういう面接においては、いい意味での「泥臭さ」が必要ですね。
もし、差支えなければ、「泥臭さ」を培うための勉強方法及び、推薦の書籍がございましたら、ご教授ください。
この悔しさをバネに更なる成長をしていきたいと考えています。
よろしくお願いします。
Posted by 麹 at 2014年09月04日 00:13
麹さん

コメントありがとうございます。参考にしていただけたようで幸いです。

さて、勉強法ですが私もよくわかってません。申し訳ありません。
ただ過去に100人を超える部下を持ったり、いろいろな部署を変転するなかで、なんとなく経験的なマネージメント方法として、上記のように感じているに過ぎません。
もちろんビジネス書は結構読みますが、「このビジネス書を信じている」みたいなものはなく、それぞれのよさげなところをつまみ食いしている、というのが実情です。

麹さんもビジネス書をよく読まれるようですので、おそらく「おっ、これは!」と思われたところが多数あるのではないでしょうか。そういったものを実際に試し、フィードバックしていきながら(試される部下からしたらいい迷惑なのかもしれませんが)、自分のスタイルを作っていくのがいいのかもしれません。実際にはもっと効率のいいやり方があるのかもしれませんが。

ちなみに、相手に合わせたリーダーシップの発揮の仕方というのは、

 無敵のリーダーシップ
 瀬戸尚

という本に書いてありました。古い本(1995出版)なので、今では入手しにくそうですが…。

では、今後ともお互い頑張って行きましょう。

当ブログも時々覗きに来ていただけると嬉しいです。
よろしくお願いします。
Posted by 管理人 at 2014年09月07日 14:17
コメントを書く
お名前:

メールアドレス:

ホームページアドレス:

コメント:

※ブログオーナーが承認したコメントのみ表示されます。

この記事へのトラックバック
人気ブログランキングへ 上司の指示に従うだけの毎日から抜け出したいなら、 「7つの習慣」で学ぶ事をオススメします。 コヴィー博士追悼企画として今なら、初回DVD50%オフ+コヴィー博士最後の著書プレゼント付き! http://123direct.info/tracking/af/620699/Fg9QE9Jf/ 現代ビジネス界の金字塔、7つの習慣DVD講座