2016年11月21日

きっかけを聴く―部下・後輩の無理筋な要求への対応




■ムチャな要求をしてくる部下

 「忙しくてたまらないからもっと増員してほしい」
 「○○機能のあるアプリを買ってもらえると××できるようになる」

部下・後輩からこういう要望やアイディアが出てくる時があります。

増員やアプリの購入などは予算や計画があることですし、簡単には出来ません。

私の同僚でも、

 従業員満足度を上げるために部下の要望をざっくばらんに聞きなさい」と言われるけど聞いてしまったら何らかのアクションが必要になるが、それを上司(部門長)が簡単に認めてくれるわけがない。結局悪者にされたり、無能扱いされるのは自分だ。

と言っている人もいました(単なるグチですけどね)。

上司にとって、仕事を人質にとっての部下の無理筋な要求というのは、結構きついものがあります。

ただ、当然部下はそれを「無理筋だ」などとは考えてません。

「毎日残業を22時までしなくちゃいけないし、根本的に人手が足りてない」というのは結構本音でしょう。
「それを解決するのは、上司の仕事だし、それをやって初めて上司といえる」みたいに感じてしまうでしょう。

それ自体を否定する気持ちはありませんが、会社の状況とか、部門の方針とかあって、できないものはできないんですよ。

■理解することと同意すること

よく対人技術で、

 相手の言っていることに理解を示しなさい。それは相手の言っていることに同意することではありません

みたいなテクニックを教えられます。

「君の言っていることはわかった。○○って思ってるんだね」とまずは"受け止める"ことが必要で、その後にそれが会社として正当かどうかについて相手に気づかせるように誘導する、ってやつですけど、これがうまくできないんですよね。

 言っていることはわかった。でもダメだ

どうしてもこういう言い方になっちゃう。「でも」「しかし」を使った時点で、相手は「この人は自分の意見を聞く気がない」とわかってしまいます。講習会などでも、こういう接続詞はNGとは教えられます。

理解はしても、簡単には同意できないし、その場限りの同意はあとでろくな事になりません。したがって、ある面否認しないといけないのですが、この言い回しが難しいんです。

■対策に意識を向けない

あくまでも一つの方法ですが、

 「忙しくて人手が足りない」

という事実があった時に、「人手が足りない」という部下の所見に対して、「じゃあどうするか」という対策の議論になれば、選択肢は限られてしまいます。

部下の論理に引きづられて、対策にフォーカスしてしまえば、悪言い方ですが相手の術中にハマることになります。

 なぜ忙しいのか
 なぜ人手が足りないのか

のなぜを分解しないと別の回答は出てきません。

たとえば、「忙しい」=「残業が多い」の論理は正しいかというと、全くそうではありません。
私の経験でも、残業が多い部署の増員をしても、残業が追加した工数分減ることはありません。全体の工数は逆に増えます。

つまり、効率的な仕事の仕方を知らないだけ、みたいなオチです。

こういうふうに原因が追求できれば、部下の代わりに上司が仕事の振り分けをしてやる、部下に効率的な仕事の仕方を教えるみたいな方法が考えられます。

ただ、部下は直感的に発言していることもあるので、

 「なぜそう考えた?」

と聞いても正解には辿りつけません。もともと、「なぜ」を深く掘り込んで行けるような部下なら、上司に無理難題を投げつけるようなマネはしませんから。

「なぜ」と聞く代わりに、事実を聞くようにしています。

 いつからそう考えるようになった?
 そのきっかけは?
 いまの仕事の時間配分は?
 これからやろうとしているタスクは何があるのか
 過去のタスクの所要時間と見積もり時間の差は?

こういう事実を聞かれれば、思い当たるところはあるでしょう。

私がほぼ必ず聞くのは、

 この発言になったきっかけは?

と聞くことです。ここをきっかけにして、部下の問題意識の原因を探っていきます。

あるていど原因が特定できれば、上司としては過去に経験したいろいろなやり方が参考になります。たいていは自分も通ってきた道なので。



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