2017年05月01日

「…による」には2つの意味が存在する

論理的な文章を書く際に、気をつけている単語があります。

 「〜によって」「による」「により」

この単語が一つの段落や文節に2つ以上出てきたら、多分読まされる人は苦痛です。
意味がわからなくなるから。

■「によって」を多用してはいけない


この「によって」という単語は結構便利な接続して、因果関係のある事象を結びつけるのに使用します。

たとえば

 「AによってBの問題が発生した」

みたいな文章です。

ところがこれが多段接続する時があります。


 「AによってBとなることにより、Cの問題が起きた」

ここでは事象を A,B,C と省略しているので、まだ文章が短くて、簡単に理解できますが、それぞれの事象に形容詞などの飾り文字がついていると、100文字くらい簡単に行きます。

そうなってしまえば、もう文章の構造を流し読みで捉えるのはほぼ不可能。
要するに、読みにくいんです。

★P197〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓

●「……によって……」を多用しない
ありがちな例14
ある企業の社内プロジェクト終了時に、プロジェクト・メンバーがまとめた、経営陣への提言の一部。
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今回のプロジェクトでは、部門横断的なチームで検討を進めたことにより、チームメバー各自による他部門の最新動向の把握が可能になっとによって、事業運営の実際を担うミドル層による最新情報の共有がいかに重要かを再認識した。
今後、ミドル層が情報の共有を促進するために…(略) 。
▲━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━▲

◎改善へのヒント
最初の文を見ていただきたい。「……により……」「……による……」「……によって……j という表現が4 回も出てくる。

特に下線を引いた2 つの「……により(によって)、……」に注目しよう。

 「A により、B によって、C 」という構造だ。

A が原因( なってB となり、Bが原因になってC となる、という2 つの因果関係が「……により、… 」でつながっている。

まずはこの因果関係を整理する必要があるようだ。

◎改善例
▼━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━▼
今回のプロジェクトでは、部門横断的なチームで検討を進めたため、チームメンバーが、他部門の最新動向の把握できた。

この経験によって、チーム全員が、事業運営を実際に担うミドル層が情報を共有することの重要性を認識した。

今後、ミドル層が情報の共有を促進するために…(略) 。
▲━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━▲

◎解説
改善例では、元の一文を、プロジェクトの活動を説明する文と、そこで得た教訓を説明する文とに二分した。

そのうえで、最初の文では「各チームメンバーが」を、2 番目の文では「チーム全員が」を主語にした。このほうが、主語+ 述語の関係がはっきりするのではないだろうか。

ビジネス文書では、「A が原因となって……」という意味で「A によって(により・による)……」という表現がよく用いられる。しかし、この表現を無意識に乱用して語句をつないでいくと、ありがちな例のように、文中に因果関係を複数作り出して、複雑な作りの文になってしまう。

また、「A によって(により、による)…」 という動作の主体を表す場合もある。

原因を表す「によって(により、による)…」とともに用いることで、文意をつかみにくくするので気をつけよう。
――――――――――――――――――――――――――――★


まあ、事例文程度あれば、読めなくもないですが、たしかにわかりにくいですね。
「文章の添削をしてくれ」と頼まれたのであれば、私も複数の文に分けると思います。

■「によって」には2つの意味がある


ここで、気になったのは、引用の最後の部分の、「によって」には2つの意味があるという部分。

確かに、「によって」は、動作主体を表す場合と、原因を表す場合と2つの意味がありますね。
これは全く気がついてませんでした。

当然ながら2つの意味があるというのは、その意味を読み手が判断しないといけないわけで、それが読み手に苦痛を与えて、せっかく書いた文章を読んでもらえなくする原因になります。

これらは個別の言い方をしないといけないですね。

気をつけましょう。


■参考図書 『ロジカル・ライティング

マッキンゼー出身のコミュニケーションスペシャリととして、ロジカル・シンキングをベースにしたコミュニケーション術を一般に広める著者の代表的一冊。もう1冊は『ロジカル・シンキング―論理的な思考と構成のスキル 』でこちらも名著。
同名の本に、安田正氏のロジカル・ライティングもあるがこちらのほうが内容がソフト。




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ロジカル・ライティング
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●本書を引用した記事
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 接種理論:論理構造を図示してアンチテーゼを出す
 れる・られるを多用しない
 報告書に必須の4要素:6.文字にして4要素を吟味する
 報告書に必須の4要素:5.「反応」を引き出す
 報告書に必須の4要素:1.概説
 ビジネス書名著目録(必須図書)

●このテーマの関連図書


ロジカル・シンキング―論理的な思考と構成のスキル(Bestsolution)

考える技術・書く技術―問題解決力を伸ばすピラミッド原則

ロジカル・ライティング

入門考える技術・書く技術

マッキンゼー現代の経営戦略2014年新装版(大前研一books>KenichiOhmaebusinessstrategistseries(NextPublishing))

ロジカル・プレゼンテーション――自分の考えを効果的に伝える戦略コンサルタントの「提案の技術」



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