サラリーマンをやっていると、同じ部門の人や別の部門の人に「こんなことをやってください」とお願いすることが、結構ありますよね。ところが、そのプロジェクトは、その人には今まで直接関係なかったし、その結果もその人にはあまり関係がない、とすると、お願いされる人にとっては余計な仕事になるので、なかなかやってもらえない、なんて場合です。
世の中でいわれる「交渉術」なのですが、私はこんなことに注意しながら、お願いに行きます。
まず第1の着目方法
1.蟻の目 ミクロの視点
2.鳥の目 マクロの視点
3.魚の目 フローの視点
蟻の目とは、そのやってほしい業務そのものを、もっと細かく見たときに、どのようなやりかたで、どのような結果を出したいのか、ミクロの視点です。
鳥の目とは、プロジェクト全体において、その業務の位置づけです。鳥のように、高い視点から、そのプロジェクトを俯瞰したときに、その業務はいったいどういうものなのか。あるいは、本当に必要な業務なのかを見る、マクロの視点です。
魚の目とは、その業務の過去はどうなっていて、未来はどうなるのか。プロジェクトの時系列的にはどのあたりに位置するのか、というフロー(流れ)の視点です。
この3つをどう表現するのかを考えます。
次に、第2の着目方法
A.自分の視点
B.相手の視点
C.第3者の視点
です。
自分の視点とは、その業務をやることは、自分にとってどういう意味やメリットがあるのか? という視点です。
相手の視点とは、相手から見てその業務はどういう意味やメリットがあるのか、です。
第3者の視点とは、そのプロジェクトに関係ない第3者から見て、そのプロジェクトやその業務は実施するべきなのか、あるいは、全社的にみてその業務にメリットはあるのかという視点です。
以上3つと3つをマトリクスに書きます。これで9つの視点の表が出来上がります。
そして、それぞれのマトリクスを埋めていくと、その業務の様々な見方からのメリットやデメリットが見えてきます。もし、マイナスのメリットしかないところがあれば、もしかしてその業務はやらないほうがいい、という反応が返ってくるかもしれません。
そこに理論武装、もしくは追加のアイディアが必要です。
特に重要なのは、相手のメリット。
交渉は、相手に嫌なことを飲ませることではなく、相手が喜んで手伝ってくれる環境を作り、相手にメリットがあると思ってもらうことです。
そうすればすんなり事は運びます。
大体、交渉が下手な人は、
「この業務は自分にとってメリットがある」
という言い方しかしません。ところが交渉を受ける側は基本的には計画された業務があり、余計な仕事に時間を割く余裕はありません。だから交渉は決裂するのです。
嘘でもいいので、相手が好きな食べ物を目の前に並べてやること
それが交渉の基本原則です。
嘘でもいい
です。相手がその時点で、自分にとってメリットがあると思えれば、それをやった結果、そのメリットが実際には得られなくても、やってしまったことなので、いまさら文句を言う場合は多くないです。
もちろん、10回お願いして10回ともが嘘であれば、お願いする側の信用がなくなって、もう話は聞いてくれないかもしれませんが。
あ、当然、すぐにばれる嘘は墓穴を掘るだけですが。
じゃぁ、実際にどうやって相手の視点で考えるか?
これは相手次第なのですが、たとえば、相手が営業部のスタッフだとすれば、それが彼の売り上げ成績にどのように影響するのかを提案することです。課長であれば、担当の課の全体の成績にどう影響するのか。
ようは部門ごとに部門の評価指標をもっていますよね。その評価指標に対して、今交渉しようとする事柄がどう影響するのかを訴えることです。
そこに(当然プラスの)影響があれば相手は話を聞いてくれます。
要するに、相手は自分の成績にしか興味がない、と考えて交渉に臨むのが一番早道のようです。
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