40歳からの知的生産術
■■【要約】
◎課題
仕事仲間で、いくつものプロジェクトを同時に走らせながら、涼しい顔で仕事をしている人はいないだろうか?
そういう人はどのような仕事をしているのだろうか?
◎解決策
仕事を効率よくやるためには
・時間管理術
・情報管理術
・知的生産管理術
の3つが必要である。これらを身につけて、効率的で楽しい人生を送ってほしい。
◎目次
序章 10のプロジェクトを同時にこなす時間術
第1章 クリエイティブな時間はそれほど多くない
第2章 集中する時間の確保
第3章 時間を大切にする
第4章 「本を読む」ノウハウ
第5章 情報を捨てるためのファイル整理法
第6章 知を蓄積する環境
第7章 セレンディピティ能力
第8章 自己の方法論を確立する
終章 最後に笑うものが勝ち
◎要約
■時間管理術
時間管理は、まず無駄な何もしていない時間を削ることである。そのためには、集中力を高めることと、だらだらする時間に気がついて、それをやめるようにすることだ。
■情報管理術
情報を自分自身のものにするためには、とにかく乱読が必要である。ただたくさん読んだだけではだめで、それを元に考えを整理することが重要である。
■知的生産管理術
まず「知」を蓄積することだ。ただし、要らない情報は捨てなくてはならない。その上で、必要な情報はクリアポケットなどに蓄積していこう。
蓄積は分類すると分類の境界が曖昧なもの、2つの分類に該当するようなものは迷うので、「超」整理法にあるように時間順に保存して、後からプロジェクトに沿った情報を別の資料にまとめるようにするとよい。
「セレンディピティ」という能力も必要である。
いずれにせよ、自分のやり方をはっきり持って、それを10年以上継続することだ。
◎キーワード・キーフレーズ
★P28−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−
逆説的な物言い―しかも立場上勝手な意見―が許されるなら、忙しいがゆえに、きちんと遊ばないと体がもたないのである。
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忙しいのであれば、それに忙殺されないように、遊ぶときは遊ぶ仕事をするときは仕事をするという風にスイッチを切り替える必要があります。だらだらとすごす時間が一番もったいない。自分の時間を有効に使っているか、それが人生のおおよそ半分を過ぎてから、最も自分自身に問い続けなければいけません。
★P38−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−
恐ろしいことは、情報量レべルの低い媒体に慣れた人は、より高次の媒体を理解する能力が衰えていく、という仮説である。
仮説ではあっても、人間の能力は普段訓練し、習慣づけられたレべルの能力が発達し、それ以上のものが劣化していくことは経験上の真実だ。スポーツや体力など、身近な例を拳げるまでもない。
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常に高いレベルに意識・情報に身をさらしていないと、自分の受容能力はそれにあわせて下がってしまう。スポーツ選手が中途半端な練習をしたり、体調を崩して練習をしなくなってしまったときに、元の状態に戻すのに何ヶ月もかかるのと同じことだと思います。
★P39−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−
結論。情報には量的な差異・そして濃淡が存在し、他人が見逃す可能性を追求したいと考えるなら、レべルの高い情報を理解する不断の努力が必要である。
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いつもレベルの高い情報の中に身を置き、そこでの処置の仕方を模索し続けていれば、それは自然と身についてくるもであると筆者は述べています。私もそれには同感です。レベルの低い情報ばかりに触れていると、その結果、自分自身の情報感度も同程度になってしまいます。
いわゆる
「朱に交われば赤くなる」
というやつでしょうか。
◎著者
谷岡 一郎(たにおか いちろう、1956年8月 - )
学校法人谷岡学園理事長。大阪商業大学学長・総合経営学部教授。社会学博士。大阪府出身。主な研究テーマは、ギャンブル学、社会調査方法論、犯罪学。
■■【評価】
◎読みやすさ
読みにくくはないが、よくもない。普通。
◎オススメ
40歳に近づいた人あるいは40歳を超えた人。
40歳前後になったら、そろそろ社会人として、家庭人として最も脂の乗った人生を送りたいものだ。そんな人が生活の中で意識しなければならない点を大学学長として40歳を迎えた著者が送る人生のエール。物事に対する考え方や、身の処しかたについて、ぜひ覚えておいてほしい行動を考えた一冊。
■■【影響】
◎選書理由
自分もそれなりに年を食ったし、最低でも40歳以上のものの考え方を身につけたいものです。そのためには、具体的にどのような行動をとれば、世の中で40歳以上の水準といえるのかを知りたかったから。
◎知識
立場を変えて、そのアクションを考えてみる。
人の立場に立って考えましょう、ではなく、人の立場に置き換えたときのアクションを想定することによって、その背景にある考え方を想定するというのは、確かに採点がしやすい。
◎思考・反論
P81 「常に他人より勉強し続けた人が社会で勝ち抜く」と書かれているが、自分の知る現実は単純にそうとは言い切れません。
勉強は単なる知識の収集であって、それをどのように実世界において応用し続けるかが重要なポイントであると考えます。また、いくらその人に才能があっても、「社会で勝ち抜く」ことはそうたやすいことではありません。そこにはいろいろな人の意図や偶然が影響します。もちろん、それを機会としてつかめるような努力をした人が勝ち抜いていくというのは事実ですが。
あくまでも、勉強や努力は結果を左右する要素のひとつに過ぎないと考えます。ただし、やらないよりはやったほうがいいのは確か。
よほどのひらめきの天才なのであれば、そういったことはなくして、いきなり本質に近づいていけるのでしょうが、凡人としてはそれを理論だてて学び、自らを訓練し続けるしか勝ち抜けないまでも落伍しない必要条件なのかもしれません。
40歳からの知的生産術