突然ですが、お医者様って1日にどのくらいの人を診察すると思いますか?
大体100〜200人だそうです。
開業医になればもっとでしょうね。
で、患者が集まる開業医は、
「この前、お父さんの調子が悪いといっていたけど、最近はどう?」
「先日奥さんから、あなたがタバコをやめない、とこぼしてたよ」
「お、今日はだいぶ体調がよさそうだね」
なんて言う話をしたりします。
※こういう医療の進め方をするのを「ナラティブ・ベイスト・メディスン」というそうです。
すごいと思いませんか?
「医者は、すべての患者の家族構成まで知っているのか?」なんて思ってしまいますが、これにはタネがあります。
って、もうわかりますよね。
カルテ
です。カルテに過去に患者が言ったことのほとんどが書かれているんです。
で、医師は診察室に入る前に、ざっとそのカルテに目を通しておきます。そして診察室に入ってくるところから、相手の顔色や姿勢、歩き方などを観察していて、上記のような発言をするんですね。
そうすると患者は「自分のことをしっかり認識してくれている」と勘違いして、そのお医者様を信頼するんです。
何かの統計で見ました(ソースは忘れました)が、信頼する医師から処方された薬と、信頼していない医師から渡された薬では効き目が違うそうです。
つまり、医者としては患者の信頼を勝ち得てナンボなので、特に開業医はそういうことに注意するんですね。
過去のカルテに目を通せば、その患者が過去に語ったことが一気に脳裏によみがえってくる。だから患者が過去に語ったことに寄り添いながら発言ができるようになるわけです。
■ビジネスで使うカルテ
まぁ、これは医療の現場のお話です。
普通のサラリーマンは、患者として参加することはあっても、医師になることはありませんから、このお話はこれまで…、ではありません。
ビジネスの場でもこれは十分応用が利きそうです。
そう、部下や同僚、上司、あるいはお客様と話をした時に、ふと出た話を単なる世間話としてやり過ごしてしまうのではなく、それをしっかり目もして残しておいて、
一人一葉のカルテを作る
と、あとでその人に会う前に、このカルテを見返すと、
「奥さんの誕生日が今日だった」
「子供さんが今年高校入学だ」
とか気づくわけです。そこですかさず、
「奥様、今日お誕生日ですね。おめでとうございます」
「子供さん、今年高校受験でしょう。大変ですね」
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私は、これを
人物カルテ
と呼んでます。
よく打ち合わせで、議事録や相手の発言をメモしますよね。もったいない。相手のナラティブなレベルの発言までしっかりメモして、ビジネス上のお話はちゃんと議事録に、パーソナルなお話は人物カルテに書き込んでいきましょう。
■人物カルテに書き込むこと
だからといって、すべての相手の発言をメモすることはできません。けれども、相手がどこか気になるしぐさや表情、あるいは私生活が垣間見える発言をした時に、それを書き留めておくことは、相手との関係をよくしていくために決して無駄にはなりません。
どんな項目を書くといいかというと
相手の誕生日
近親者の誕生日
住所
通勤方法
趣味
好きなタレント、ジャンル
好きな食べ物
相手の反応
などを基本的には記録に残してます。
最後の相手の反応というのは、ある発言をした時に、むっとした表情になった、とか、怒った、などの記録です。つまり、相手の感情が変化したときに、何がトリガになったかを記録しておきます。
これは、相手の価値観や琴線に触れる部分を探るためです。いくつかの事実が集まると、「この人は、体に関する冗談を割れることが好きではない」などということが見えてきます。
■人物カルテの効果
これは自分でやるようになって絶大な効果があることがわかりました。
簡単な例でいうと、先日雪が降りまして、その人が遅刻してきたことがあります。その時に「XX線は雪で運休してた?」なんてさらっと聞くわけです。特に部下に対してこれをやると、部下は上司が自分のことに興味を持ってくれていると、非常に喜びます。
■やりすぎに注意
人物カルテをかけるチャンスというのは、一緒に飲みに行ったときが非常に大きいです。ところが、一緒に飲んでいるときに、いきなりメモ帳を出して、相手の発言をメモり始めたら、多分ひきますよね。
だから自分は、ポケットにメモ帳を忍ばせておいて、「これは!」と思ったところで、トイレに行きます。それなら不自然じゃぁない。
トイレで一生懸命今の話をメモする
わけです。
これから新年会でいろいろな人と飲む機会も多いと思いますが、ぜひ、人物カルテを作ってみてください。