内省とは、考えるプロセスのスピードを緩めて、自分がメンタルモデルを形成した家庭をはっきり意識することです。
探求とは、自分たちの見解をオープンに分かち合い、互いの考えの前提を知るような話し合いをすることです。
◆内省
内省的に考えるというのは、
「××であるべき」
「××なのが理想」
と考えた時に、それに基づいて答えを出すのではなく、なぜ「××でなければならないのだろうか?」と考えることです。
自分の価値観や判断基準、前提条件がなぜ必要なのかを見なおしてください。
たとえば、こんなシチュエーションを考えてみてください。
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あなたは車に乗って車1台分しかない坂道で渋滞に引っかかって
しまいました。前後にはちょっと離れて車が止まっています。
ところが、前の車がブレーキが甘いようでズルズル下がり始めま
した。だんだん加速してきます。クラクションを鳴らしても反
応がありません。寝ているのでしょうか…。
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ここで、普通の回避策としては、
なんとか避ける場所を探す
というものでしょうか。ただし、前提として車1台がやっと通れる道となれば、これは使えません。この時前提にあるのは
衝突しそうになったら避ける必要がある
という前提は正しいでしょうか?
なぜそう思うのでしょうか?
それを考えてください。これが内省です。
◆推論のはしご
私たちは、検証されないまま深まっていくことの多い確信の世界に住んでいます。そのような確信が受け入れられているのは、自分の観察や過去の経験から推測される自分なりの結論にもとづいているからです。
真に望む結果を達成する能力を蝕んでいるのは、次のような感覚です。
■私の信念は絶対正しい。
■真実は明らかである。
■私の信念は現実にもとづいている。
■私の選んだ事実は、本当の事実である。
人間は観察可能な事実・経験を元に次のようなステップで知識を蓄積するそうです。
1.観察可能な事実・経験をする
2.観察しているものの中から選択した事実を選ぶ
3.その事実に文化的・個人的な意味づけをする
4.自分がした意味づけに基づいて推測をする
5.推測に基づいて、世界に関する情報を持つ
6.自分の持つ世界観を形成し、それに基づいて行動を選択する
ところが、自分が選択した事実が、過去に形成された世界観に一致する(または類似する)ものであるとき、この3.から5.を飛ばしてしまって、6.にたどり着いてしまいます。
これは経験を積んだ人のほうが多い事象です。
このステップを「推論のはしご」といい、普段人間は過去の経験に照らして、はしごを飛ばして答えを導き出しているのです。
◆探求
上記で述べたような、省察をチームで表出させるためには、「なぜ」と問うことが必要です。
・なぜそうあるべきなのか
・なぜそれを目指さなければならないのか
お互いが、自分の判断の理由を相互に提供し、深く自分自身の判断のための推論のはしごを明らかにすることによって、チームにおける判断のための推論のはしごを形成することです。