「危ないですから、黄色い線の内側に〜」っていう構内放送を聞いたことがありますか?
多分私はよく聞いてます。
これ、「日本語としてどうよ」というお話。
「です」というのは助動詞で、以下の接続をします
1.体言(名詞数詞等)に。
2.「の」などの助詞に。
3.未然形と仮定形だけが、動詞・形容詞および動詞型活用の助動詞・形容詞型活用の助動詞・特殊型活用の、それぞれ連体形に。
ということで、形容詞の「危ない」には接続しません。
ですので、これは「危険ですから〜」とするべきですね。
と、いきなり講釈から始まってしまいましたが、日本語を正しく書いたり喋ったりというのは案外できてません。
私も正確にできているわけではありませんが、今日は日本語について。
■分かりやすさ
「分かりやすさ」「わかりやすい」というのはどういうことでしょうか?
自分も正確に考えたことがなかったですが、それは、読者が情報整理をしやすい、と言い換えてもいいのではないかと思います。読者は、個々の文で述べられている情報を咀嚼し、それらをまとめて、そこに述べられている情報の全体像を整理しようとします。こうした作業を楽に行えること。それが、「わかりやすい」ということだと考えて、以下の文章を書いていきます。
情報整理をしやすい文章であるためには、
1.作業記憶に負担がかからない
2.情報受け入れの準備がしやすい
ことが大切。
つまり、それぞれの単語を並べただけでは文章にはなりません。それを適切な順序でならべて、適切な接続詞をつけて初めて「文」になります。その文を集めて文章が構築されるわけです。
読者はこの文章を読んで、筆者の言わんとしていることを汲み取っていくわけです。
以前にも書きましたが、人間の脳には一時記憶と長期記憶の2つの機能があります。一時記憶は保持時間が非常に短い時間の記憶で、最大7つの事柄を覚えておけるそうです。ただし、その保持期間は10秒から最大でも30秒。長期記憶は、半永久的に記憶ができますが、正確な記憶が難しく、時間が経つほど曖昧になったり、他の記憶と混じったりするということです。
人が文章を読むときには、この一時記憶を使って文章を解釈し、直前の文章と掛け合わせて、文章の意味を理解し、これを長期記憶に入れていきます。
ですので、1文に書いてある要素数が多いと人間には理解できなくなります。
つまり、わかりにくい文章が出来上がるわけです。
■文
文は。
…意味わかりませんね。
情報の単位である。
…だから何が!
文は情報の単位である。
やっと意味がある文になりましたね。これが情報の最小単位です。
「最小単位」という言葉はわざと使ってます。
なぜ情報の単位が必要なのかと考えると、それは、私達の作業記憶領域(上記の一次記憶)が小さいためです。読解の単位にたくさんの情報が入っていると、読者はそれらを同時に処理することを強いられます。これが負担になるわけです。1文に1情報、つまり、この最小単位のあり方がわかり易い文章になるわけです。
べガルタ仙台にとって、今日は絶対に負けられない試合なので気合いを入れて応援に来たスタジアムの外に鮎の塩焼きの屋台があり、炭火の前で店貝が、香ばしく焼き上がった鯖を食べていたのだけれど、炭火の周りの生焼きの鮎を指しながら、「これらは、あと 50 分ほどかかります」とのことで、客に出すべき鮎を食べながら言うことかと思った。
…意味分かりました?
ベガルタ仙台にとって、今日は絶対に負けられない試合なので気合を入れて応援に来た。スタジアムの外に鮎の塩焼き屋台があり、炭火の前で店員が、香ばしく焼きあがった鮎を食べていた。しかし、炭火の周りの鮎は生焼のようだった。焼き上がりを訊ねると、「これらはあと50分ほどかかります」と返答された。客に出すべき鮎を食べながら言うことかと思った。
いかがでしょう。ちょっとわかりやすくなりましたかね?
■段落
この文章では段落ごとに1行の空白を開けています。本などでは、1文字字下げして段落を表している場合が多いですね。
段落も文と同じで、1つの段落には1つの主張だけを書くようにするとわかりやすいです。
認知症予防の新方法が注目を集めている。大に触れさせるのだ。犬を撫でると心が癒される。そうすると、脳が活性化され、認知症の予防につながるわけである。ではなぜ犬なのか。他の動物では駄目なのか。たとえば猫がっで、撫でると癒きれるように思う。「癒し」が大切ならば猫でもよいではないか。犬と猫とでどちらが癒しの効果があるのかを調べた実験がある」実験に先立って、被験者に記隠力テスト……
これを
認知症予防の新方法が注目を集めている。大に触れさせるのだ。犬を撫でると心が癒される。そうすると、脳が活性化され、認知症の予防につながるわけである。
ではなぜ犬なのか。他の動物では駄目なのか。たとえば猫がっで、撫でると癒きれるように思う。「癒し」が大切ならば猫でもよいではないか。
犬と猫とでどちらが癒しの効果があるのかを調べた実験がある」実験に先立って、被験者に記隠力テスト……
のようにしてみると、1段落がすっきりして全体の意味が把握しやすと思います。
■修飾語の語順について
同僚が××に迷子札を貼った
これは問題はありません。
じゃぁこれは?
同僚が先の見えぬ恋に瞳を燃やしている××に迷子札を貼った
読んですぐ意味がわかりました?
これならどうでしょうか?
先の見えぬ恋に瞳を燃やしている××に同僚が迷子札を貼った
こちらのほうがわかりやすく感じたのではないでしょうか。
私もきにしたことがなかったのですが、どうやら日本語というのは、長い修飾語を前に持ってきたほうがわかりやすいようです。
・東京都立航空工業高等専門学校の生徒
・熱心な生徒
・良い生徒
を1つにまとめるときに、
良い熱心な東京都立航空工業高等専門学校の生徒
よりも
東京都立航空工業高等専門学校の熱心な良い生徒
のほうがわかりやすいわけです。
■句読点
句点(以下テンと表記します)には基本的な使用原則があります。
★?@長い修飾語が2つ以上あるときにその境界にテンを打つ
たとえば、
AがBをCに紹介した
これは単純な文なので、テンを打たなくともなんの誤解も生じません。
しかし、このA,B,Cに長い修飾語をつけてみましょう。
ア.何も事情を知らない軽薄極まるA
イ.思っただけでも震えるほど大嫌いなB
ウ.私の小学校から高校を通じて親友のC
これを最初の文に当てはめてみると
何も事情を知らない軽薄極まるAが思っただけでも震えるほど大嫌いなBを私の小学校から高校を通じて親友のCに紹介した。
さてどうでしょう?
でも、これにテンを打つと
何も事情を知らない軽薄極まるAが、思っただけでも震えるほど大嫌いなBを、私の小学校から高校を通じて親友のCに紹介した。★?A語順が逆になったときに点を打つ
一週間前に台風が直撃した時に倒れた隣の家の庭木
これは、上記の「長い修飾語を前に持ってくる」という原則にあってます。ところが、本来「〜倒れた」は「庭木」にかかるのに、「隣の家」にかかっても不思議ではありません。つまり文章が曖昧になってしまう。こういう時には語順を逆にします。
しかし、そうすると、「長い修飾語」の原則から外れてしまうので、こういうときにテンを打ちます。
隣の家の、一週間前に台風が直撃した時に倒れた庭木
その他、面倒くさいので説明は省略★?B重文の境目に
ケネディー大統領をダラスで暗殺し、ニクソン大統領をウォーターゲート事件で追放し、下山国鉄総裁を自殺とみせかけて暗殺する。これがアメリカ独占資本とその走狗のやりかただ。★?C述語が先に来る倒置文の場合に
やはりあいつか、下山総裁を殺した奴は。★?D呼びかけ、応答、驚嘆などの言葉の後に
あなた、殺されないように気を付けてね。★?E挿入句の前後または前だけに。
独占資本、とくにアメリカのそれがどんなものかは… …
日本の右翼は、主観的にはいかに「愛国的」であろうとも、事実はアメリカ独占資本に奉仕する「売国的」行為を重ねてきた。
■漢字か平仮名か
自分の会社のことを「小社」と謙遜したまでは良かった。しかし、先方の会社をたてようとしていったのわわかるが、「大社」という言葉遣いは間違っている。
読みやすかったですか?
自分の会社のことを「小社」と謙遜したまでは良かった。しかし、先方の会社をたてようとして言ったのわわかるが、「大社」という言葉遣いは間違っている。
こちらならどうでしょう。
「いった」→「言った」と変えただけです。
日本語はどうやら言葉の区切りを漢字と平仮名の境界で区別しているようです。
以下は逆の例
食事処のメニューに「甘ったれるな」とあったので、全員早速厨房に行き、「お手伝いします」と申し出てしまった。
これは、「全員早速厨房」がひとつの単語のようにみえてしまい、言葉のカタマリが捉えにくい。
食事処のメニューに「甘ったれるな」とあったので、全員さっそく厨房に行き、「お手伝いします」と申し出てしまった。
つまり、漢字を使うのか平仮名を使うのかは、一つの単位の区切りとして切り替えたほうがいいようです。
■名文を勉強する
こんなことを考えながら、新聞のコラム(天声人語や中日春秋)を読んでみてください。このコラムは新聞社でも相当のレベルの人が書いています。
だから、起承転結の作り方や、句読点の打ち方、段落の作り方など非常に勉強になります。
とは申せ、私の文章のレベルが高いといっているわけではありませんので、あしからず。
■リンク
日本語の作文技術
仕事文速書き法


