私事ですが、先日息子が免許を取りまして、一緒にドライブなどをして楽しんでおります。
ここで気がついたのですが、カーブを曲がるときや大きく旋回するときに、ブレーキを踏みながら旋回するのです。
若いころ、友人に教わったカーブの曲がり方で
アウト・イン・アウト
スローイン・ファーストアウト
というのがありまして、聞くところによると教習所でも教えてもらうはずだそうですが、息子はこれが全くというほどできません。
■スローイン・ファーストアウト
特に、このスローイン・ファーストアウトというのは、心理的にも結構難しいそうです。
要は、カーブに入る前に十分速度を落としてカーブに突入し、カーブに入ったら、アクセルを吹かして加速をしてカーブを抜けるというテクニック。
ところが、カーブに入ると、カーブの外側に遠心力でふられるため、心理的に恐怖心が先立って、速度を落とそうとしてしまいます。
しかし、実際にはカーブでハンドルを切っている時に加速をすると、車は自然に駆動輪(後輪)に重心が移動して(減速中は前タイヤに重心があります)、ハンドルコントロールがしやすくなると共に、内側に曲がろうとしてスムーズにカーブが抜けられます。
恐怖心が先に経つと、本当はアクセルを踏むところをブレーキを踏んでしまうものだから、カーブが曲がりにくいし、ハンドルコントロールが安定しないので、余計に(カーブの)外側にふられて、ますます怖い。で、ますますブレーキを踏み、更にコントロールしにくくなるという悪循環です。
■プロジェクトの曲がり角
仕事をしていても、大きな曲がり角に来る時がありますよね。
・プロジェクトのスコープが変わった
・大きな仕様変更が入った
・事業環境が変わり、最優先方針を変えなければいけなくなった
こういった時に、いかにスムーズに曲がりきるかというのが、プロジェクトマネージャーの腕の見せ所です。
その時に、今までの勢いでメンバーに「やり方を変えるから、この作戦で行こう」的に進めるのは非常にまずいです。
ひとつは、メンバーのモチベーション、もうひとつは変更による計画や品質への影響。
甘く見てはいけません
◆スローイン
まず、プロジェクトの基本指針等を変えるときには、徹底的に検証をすることです。
今やっている作業が無駄になるかもしれないし、新たに業務も発生します。
だから、プロジェクトスケジュールは今あるもの肯定するのではなく、最初から作りなおすつもりで、主要メンバーと繰り返し話し合いを持ちます。主要メンバーの今やっている業務は止めて構いません。そのせいで他のメンバーの業務が止まるのであれば、とっとと帰らせるか、お休みをしてもらえばいいです。そのかわり、プロジェクトが再スタートした時には全力で走れるようにしてもらいます。
◆ファーストアウト
プロジェクトの見直しがすんだら、初めてメンバーに発表します。
私の経験ですが、今まで一緒に新方針を検討してきたのだからといって、これを省略するとプロジェクトが迷走します。迷走することによって余計な労力を取られるくらいなら、1時間でいいので、発表会(説明会)を実施してください。
その時に、ひとりひとりの業務がどの様に変わるのか、どうして欲しいのかを具体的に話します。
プロジェクト全体の変更はメンバーにどの様な影響をおよぼすのか、メンバーは理解しているようで理解できてません。
だから、「この方針はこう変える。だから、○○さんはは、まず、××をやめて、○○をやってほしい。口口さんは、今日から○○の作業にかかって欲しい。今までの仕事はチャラ!」と言い切る必要があります。
このためにも、その後起きることを詳細に検討しておく必要があるわけです。
■理解できないということを理解する
プロジェクトリーダを任されるような方であれば、ある変化が自分の行動にどの様な変化をもたらすかはわかって見えると思います。
ところが、よくある勘違いは
自分の見えている将来は、メンバーも見えている
と思い込んでしまいがちです。
メンバーだった頃を思い出すとわかると思うのですが、これが、「今できる」ので、できなかった頃の自分が思い出せない。
カーブを曲がる時に、「ブレーキを踏むほうが危ない」と理解できているのは、それなりに経験を積んだ今の自分であって、初心者の頃の自分には理解できないという事自体が理解できないのと同じです。
メンバーの能力をばかにするわけではありませんが、見えないものは見えないんです。
どうしてもリーダからの指示待ちになってしまいます。それを悪いといっても改善はしません。具体的にその人の裁量範囲がどの様になるのか、どの様なやり方をして欲しいのかを指示することで、プロジェクトの迷走が防げます。
■変えるときの方針
何かを変えるときは
スローイン・ファーストアウト
を徹底してください。
ラベル:コミュニケーション