2013年04月24日

ナラティブ・アプローチ


■ナラティブ・ベイスト・メディスン
ナラティブ・ベイスト・メディスンという言葉をごぞんじでしょうか?

これは以下のように解説があります。

 http://kotobank.jp/word/%E3%83%8A%E3%83%A9%E3%83%86%E3%82%A3%E3%83%96%E3%83%99%E3%83%BC%E3%82%B9%E3%83%88%E3%83%A1%E3%83%87%E3%82%A3%E3%82%B7%E3%83%B3
 「物語に基づく医療」  略称:NBM。
 患者が語る病の体験を、医師が真摯に聞き、理解を深め、また対話を通して問題解決に向けた新しい物語を創り出すこと。医療の質の向上、治療の促進が期待される。科学的根拠に基づく医療(エビデンスベーストメディシン)を補完するものとして提唱されている。
  ※「デジタル大辞泉」より引用

どうも正確に説明してあるとよくわからないので、こんな説明ではいかがでしょうか。

  A 王様が亡くなりました。そしてそのあとすぐに、お后様も亡くなりました。
  B 王様が亡くなりました。そして悲しみのあまり、お后様も亡くなりました。

AもBも語っていることは同じ事実を行っていますが、Bはお妃様が、王様を深く愛していたことがうかがわれますね。
こういったところから、「お妃様は、王様が亡くなられて、食事も喉を通らず、嘆き悲しまれてなくなったんだろうな」という王様とお妃様の物語が見えてきますよね。
ナラティブ・ベイスト・メディスンの実践から引用。

人は物事を述べるときに、Aのように話す人もいれば、Bのように話す人もいます。
これは聞き手も同じ。相手がBのような話し方をしたときでも、事実レべル(つまりAのような形)でしか受け止められない人もいれば、その言葉に内包された豊かな物語をありありとした実感を伴って受け止められる人もいます。

この[相手の言葉をどのレべルで受け止められているか」ということは、質問力やコミュニケーションカの差となって如実に表れます。

相手が B のような話し方をしているのに、「悲しみのあまり」という表現がすっぼりと抜け落ちた形でしか相手の言葉を理解できていなかったとすれば、その後にこちらが相手に発する質問も、共感性に欠けた薄っペらなものとなってしまうことでしょう。

この「相手のメッセージを読みとる力」はビジネスをする上で大切なスキルです。
というか、人とコミュニケーションを取るあらゆる場面で大切なスキルといえるとは思いますが。

■ナラティブ・アプローチ
ナラティブ・ベイスト・メディスンは医療の現場でのお話ですが、ビジネスコミュニケーション術としては、ナラティブ(・ベイスト)・アプローチといわれる事が多いみたいです。

相手が、なぜそのような発言をしたのかを考えて、相手の背景を理解した上で話を進めることで、様々な交渉がうまくいきます。

■ナラティブな交渉術
だからといって、相手が最初から自分の背景や心情を話してくれるわけではありません。
徐々に相手の懐(ふところ)に入っていく必要があります。

このために、以下の4段階に分けて話を聞くようにしています。

◇話の初期
 まず事実をきちんと確認する。
 その上で、相手が話していることは、
    事実(あったことそのもの)
    所見(交渉相手の物の見方
 に分けてひとつづつを聞き取ります。
 これには4W1Hの質問が有効。つまり、「いつ」「だれが」「何を」「どうした」をききます。
 こちらから事実を提示する場合には、この時点では自分の判断は示さないほうが得策です。事実だけを述べる。
 そうすると、相手の反応が読めますので、これから自分の考え方をどのような説明の組立をした方がいいかを変更しやすくなります。

◇中盤
 いよいよ相手の所見の部分を聴きとっていきます。
 ここでは、「なぜ」を繰り返し聞いていきます。
 「なぜそう判断したのか」「なぜそう考えるのか」をひとつづつの事実と照らしあわせていきます。
 もう一つ質問の仕方として、「もし〜という条件だったらどうしますか?」のように、判断条件を引き出します。

 そうすると、これから交渉したいことに対して相手の考え方の本質が浮き彫りになってきます。

◇核心
 ようやく、話は本題に入ります。
 今度は質問ではなく、
  「あなたの考えているのは、××だから○○だということですね」
 のように、中盤で聞き取った内容から相手がその議題に対して考えていることを浮き彫りにしていきます。

 この時、使っている単語に注意します。なるべく、相手が中盤で使った単語を使うようにしましょう。
 言葉というのは、それ自体が一定の概念で使われていて、その概念が、自分と相手で同じだとは限りません。
 だから、相手の言葉をそのまま使えば、相手は自分が理解されていると認識してくれます。勝手に自分のよく使う単語に置き換えてしまうと、「自分の言ったことが理解されていない」と思われて、警戒される可能性が高いです。

◇結論
 交渉したい事柄に対して、相手がどのように考えているのかを十分理解したら、相手が飲み込みやすい言葉に変えて、自分の主張を述べましょう。
 核心の所で、相手の言いたいことをあなたがきちんと述べられれば、相手はあなたをかなり信頼出来るようになってきていますので、了解してもらいやすいです。

■心情的な交渉をする
友達同士なら相手の考え方や、こだわりなどもわかりやすいので、あまりストーリを考える必要はありませんが、ビジネス上の話をする相手については、きちんと相手の琴線に触れるところを抑えてから話を持って行かないと、心情的な拒否感を持たれる場合があります。

もちろん、その他の交渉術も合わせて使用するのですが、こういったナラティブな話の組み立ても、交渉をうまく進めるコツです。

もちろん、「接待」という相手の感情を探ったり、心情を良くする技術があり、日本人セールスマン(BtoBのセールスマン)は得意分野なのかもしれませんね。


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posted by 管理人 at 00:00| Comment(0) | TrackBack(0) | 交渉術 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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