■人間は見たいものだけを見ている
映画、会議、イべント、なんでもいいのですが、同じ時問を共有した人と話していたら、お互いの感想が全く違ってな本当に同じ体験をしたのかと思うことはないでしょうか。
なぜこのようなことが起こるかというと、現実の理解は性格や記憶に強く影響を受けてる、つまり個人のフイルターを通して行われているからだそうです。
「個人のフィルター」というのがカギで、網膜に写ったものは同じですが、脳の認知領域に伝達される時に、その人が価値を置かないことはカットされてしまうということですね。
以前、苫米地英人氏の講演会で、
「これから今持っている時計か携帯の絵を『なるべく正確に』書いてください」
というのがありました。みんな手帳に一生懸命書き始めます。
そのあと、
「じゃぁ、答え合わせをしてみてください」
と言われて、時計を見たり携帯を見たりするわけです。
そのあと、
「どうでした?、うまくかけましたでしょうか?」
と聞いておいて、
「ところで時計を見ましたよね。今何時何分でしたか?」
と言われて、多くの人が「………」になりました。
その時、苫米地英人氏が言ったのは、
「あなたは、時計を見たのではなく、時計の形を見ただけなのですよ」
「人間の脳は、あるものを見た時に、自分に必要がないと思った情報はカットしてしまうんですね」
と言われたのが非常に印象に残ってます。
■スキーマ
人間の知覚、情報の選択方法や処理の仕方、それに対してどんな行動をとるか、また行動結果をどう解釈するかというのを研究する心理学を認知心理学というそうです。認知心理学の手法は、精神利医アーロン・べックが 60 年代に構築して重用した、スキーマという理論に強い影響を受けています。
スキーマというのはちょっとシロウトにはわかりにくい概念ですが、
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スキーマ(図式 schema):環境との相互交渉の際に主体が使う既有の知識の枠組みや活動の枠組み。 Piajet,J. は図式(シェマ)を活動の枠組みとしてとらえ,それがどのように発達するかを明らかにした。認知科学では図式(スキーマ)を知識の枠組みとしてとらえ,それが情報処理過程にどのような影響を及ぼすかについて検討している。(平凡社心理学事典より)
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……さっぱりわかりませんね。
私が理解したところによると(間違っていたらゴメンなさい)
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スキーマとはインプットされた情報情報をどのように処理し、そして分類するかという、人それぞれが持っている処理パターンのこと。
教育や個人的な経験といった過去の事柄からの学習によって、現象→結果の結びつきを作り、「〜でなければならない」「〜するべき」などの思い込みを形成する一方、物事を論理的に推論したり検証したりせずに、直感的に判断が下せるようになる。
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■認知の歪みにご注意を
認知療法の結果、人が情報を処理する時に犯しがちな問違いがどのようなものかが明らかになっていきました。べックはこれを認知の歪みと呼んでいます。
認知の歪みによって誤った推論が行われると思考は負の影響を受けるので、視野が非常に狭くなってしまい不安が生じます。認知の歪みにはいくつか種類があるのですが、ここではそのうち代表的なものを取り上げていきます。
●恣意的推論
証拠がないのに勝手に結論を作り上げてしまうこと。
例えば、提案したことに対して、いろいろな意見が出ると「みんなこの計画に反対なんだ、だから会議の出席者は誰も賛成してくれなかったんだ」といった考えを持ってしまいます。実際には、それをするために、もうちょっとやりやすくしたいという意見だったりします。
●選択的注目
全体像を理解しようとせず、ささいな点のみに注意を向けること。
上司に何度も仕事ぶりをほめられたにもかかわらず、「面談のときにチェックリストに書き込みをされていたから、きっと今年の仕事は評価されなかったに違いない」と思い込んでしまいます。
●過度の一般化
過度の一般化では、たまたま一回だけ失敗した経験を全ての状況に当てはめてしまうこと。
結婚式のスピーチで、ちょっと言い間違いをして失笑をかった、というだけで、「おれは、人まで話すのが下手くそなんだ」と判断してしまうことです。
●拡大解釈と過小評価
拡大解釈とは、失敗や自身の置かれたネガティブな状況に過剰に考えてしまうこと。
それに対して過小評価に陥ると、成功を否定し、身の回りにあるポジティブな事柄を無視してしまいます。
●個人化
ある特定の出来事と自分との結びつきを過大評価してしまう、それが個人化です。
●白黒思考
ものごとを全て白か黒かで割り切り、その中間を認めようとしない、これが白黒思考。
若くて論理的に考えることに長けている人に多いですね。
■蟹は甲羅に合わせて穴を掘る
私は、子供が不登校になった時に、いろいろな心理学や臨床心理について勉強してみました。
誰かに師事して勉強したわけではなく、全くの独学ですが、不登校児を支援している(ちゃんと心理学を勉強した)人に講座を開いてもらって、親どうして勉強したりしましたので、普通の人よりはちょっとだけ詳しいかもとは思ってます。
で、こういったスキーマや認知の歪みなどの話が出るたびに、思い出したのが表題の
蟹は甲羅に合わせて穴を掘る
という諺。
本来の意味は、「分相応」という意味のようですが、私のスキーマでは、「自分の見える範囲でしか物事が見えてない」という認識になってます。
毎週週次レビューのチェックリストに、
□認知の歪みを検証する
というのをいれて、その週にした判断を1つだけ取り上げて、上の6項目に当たらないかを確認してます。
全部を考えていると頭がパンクしますので(そのためのスキーマなのでしょうから)。
今週、1つだけ、振り返ってみてみてはいかがでしょうか?
□その決断は、なぜそれで十分なのか証拠をリストアップする
□その証拠に論理的に文句をつけてみる
□その文句に十分反論できるかを検証する
□その決断によって、何か否定的な効果がでるものはないか(必ずひとつ上げる)
□その否定的効果が限定的であることを証明する
□事実と一般化した命題は演繹的か帰納的か
□演繹的なら帰納的に論証してみる。逆もまた同じ
□過大評価していないか?、過小評価していないか?
□個人に特殊化しすぎていないか
□イチ・ゼロではなく、中途半端な対策をとることによって不利益を被る人を減らせないか?
□極論に振って考えた時に、現在の判断は将来的に有効か?