本日は、ちょっとズルイものの言い回し。
■パーセントと割合
去年、「トラブル削減活動」をしたとして、上司に報告する、というシチュエーションを想像してみてください。
結果は一昨年が4件。去年が2件でした。
で、ちょっと以下の文章を読んでみてください。
(1) 昨年のトラブルは2件に減りました。
(2) 昨年のトラブルは200パーセント改善しました
(3) 昨年のトラブルは半減しました
(4) 昨年のトラブルは5割になりました。
実は同じ事を表現するときに受け取った印象違いに気が付かれましたでしょうか?
■数字を大きく見せる
実際、トラブルが4件が2件になったのは、この程度であれば偶然や誤差かもしれませんね。でも、
200パーセント
半減
といわれるとなんだかすごいような気がしません?
あの「宇宙戦艦ヤマト」の「波動エネルギー充填120パーセント!!」というのと同じノリ(?)ですかね(古くてすみません)。
当然、相手がよく考えている人で、「それはいくつがいくつになったってこと?」ときかれれば直ぐにバレますが、あまり真剣に考えていない人だと、「ふ〜ん。すごいんだ」と単純に受け取ります。
相違受け取り方をすると、その後の印象として、「彼は頑張ったよ」というのが刷り込まれて(その頃には、「トラブル改善活動」だとか実際の数字だとかは記憶がなくなってます)、好印象だけが記憶に残っているという状態を作ることができます。
■単位を変える
もう一つ、数字表現のテクニックとして、単位を変えるというものがあります。
昆虫図鑑がもしあれば見てみてください。気が付かれているかもしれませんが、たいていの図鑑では、昆虫の体長が「20ミリ」などと「ミリ」で表現されてますね。
そうすると、結構大きな印象を受けます。これが、「2センチ」や「0.02メートル」と書かれていたらどうでしょうか?
実際、小指の爪ほどの大きさですよ。
つまり
いいことは「大きな数字になるようにする」
悪いことは「小さな数字になるようにする」
とちょっと聞こえがいいわけです。
■心理学
これは、S.チャンドランという心理学の教授が行った実験からきています。
チャンドラン教授のやった実験は以下の2つの文章を比較して、どちらがインパクトが大きいかを測ったものです。
質問A
全米で、年間約10OO万人の死亡者を出すウィルスがあるとします。あなたが、このウィルスに感染する危険性は、どれくらいだと思いますか?
質問B
全米で、毎日約=700人の死亡者を出すウィルスがあるとします。あなたが、このウィルスに感染する危険性は、どれくらいだと思いますか?
結局は、どちらも同じことを言っているのですが、「毎日約700人」を死に至らしめると一日単位で書かれた B の文章を読んだときのほうが、読み手は、その危険性を一年単位で書かれた文章を読んだときよりも大きく見積もったそうです。
文章中に数値を入れ込むときには、単位にも気をつけましょう。
せっかく、自分では強いインパクトを与えられると思って数値を含めたのに、その単位の選び方を問違えると、「意外にたいしたことないな」と思われてしまうかもしれないから。