2013年06月19日

一生懸命じゃない





また今年も昇進・昇格の試験の季節になりました。
しっかり人事部から面接の案内をもらってます(面接官として)。

自分の部下にも昇進候補がいて推薦しているのですが、ちゃんと受かってくれるだろうか…。




■コンピテンシー面接


以前の記事にコンピテンシーの意味は書きましたので、ここでは省略しますが、コンピテンシーを重視する面接において、一番困るのが以下のセリフ

 「一生懸命がんばりました

いや、だれもあなたが「頑張って手抜きをした」なんて思っていないから…。

どうしても説明が「マインド」に偏ってしまう人がいるんですね。
特に「アツイ」人。多分、自分の後輩や部下にもそう接しているんだろうね。

 ・ここは踏ん張りどきだ!! 頑張ればきっとうまくいく!
 ・いまは大変だけど、それを乗り越えてこそ成長があるんだ
 ・前向きな気持がなければ、やるべきことは成就しないんだぞ!!

などなど。

確かに私もそういうセリフを聞いたことが少なからずありますが…。最近は少なくなったような気も。

通常の面接で求められるのは、頑張ったかどうかではなく、

 ・何を問題ととして捉えて
 ・どのように分析して原因とみなし
 ・どのようにしてその対策を立案して
 ・どのような行動をとった結果
 ・どういうふうになったか

という論理的な流れです。別に頑張ったかどうかは興味がありません。




■一生懸命


ちょっとうんちく話ですが、「一生懸命」という単語はもともと「一所懸命」という言葉からきているそうです。
自分の領地に命をかけるから一所懸命。それが訛って「一生懸命」。

確かに一生に命をかけてもたいしてメリットは無さそうですもんね。
「一生懸垂」ならもしかしてムキムキになれるかも。

――閑話休題

■「頑張りました」は言ってはいけない


社内のメンバーの面接の場合は、基本的に「合格させてやりたい」と思って面接官は面接に臨むので、どのような事柄について、どのように頑張ったのかはアピールしてほしいと思ってます。
しかし、「一生懸命頑張りました」と言われてしまうと、「あぁ、

  努力と根性と偶然

で今があるのね」と思ってしまいます。
まず不合格です。
「原因分析すらできてないのね……」「ましてや創意工夫はしなかったのね」です。

もし、本当に努力・根性・偶然で成果が得られたとしても、それをあとで振り返って、あとづけていいから

 ・ターニングポイントとなった出来事
 ・その出来事が起きた理由

を考えて(ひねり出して)ください。そして、その理由が発生したのは、「自分のこういう行動だった」と無理矢理にでも紐付けてください。それを滔々と説明すれば合格出来ます(面接官は、その原因が正しく問題を捉えていたのか、その行動が問題に対して効果があったのかを判断出来るだけの情報を持っていません。つまり、嘘や誇大広告があっても検証のしようがない、ということ)。

もし理由付けが論理的に弱いなと思ったら、上申書(昇級・昇格するときに自分の実績を書くレポート)はさらっと書いておいて、言葉で説明してください。人間は


 「〜〜〜〜なので××××です」

といわれると、簡単に納得してしまうみたいです。これを文章で読むと関連性をちゃんと把握しますが、言葉だと案外ごまかされちゃいます。

例として心理学的な実験として、コピー機に並んでいる人に割り込ませてもらう時に

 1.だまって割り込みをする
 2.「すみません、先にコピーを取らせてください」
 3.「すみません、コピーとを取らないといけないので先にコピーを取らせてください」

と言ってみると、3.が圧倒的に割り込みを許して貰える確率が高くなるそうです。
文章で読んで見ると、「理由になってないじゃん」と気がつくのですが、言葉で言われると、文章の構文「×××(理由)なので、○○しました」という文章は、「ちゃんと理由がある」程度にしか理解しませんので、大丈夫です。ごまかせます。

ポイントは、「ばれるかも…」と思いながら言わないこと。「そんなの当然でしょ」という態度で堂々と(意味の通じない)理由を述べることです。

 な〜に。度胸だよ、度胸。



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