■問題解決のプロセス
以前の記事で問題解決のための7ステップという記事を書きました。★――――――――――――――――――――――――――◆問題解決の7ステップ
問題解決他のための7ステップはまず大きく2つのステップに分けら
れます。
◆問題認識ステージ
◆課題対策ステージ
の2つ。
さらに問題認識には2つのステップがあって
◇問題設定ステップ
◇問題把握ステップ
にわかれます。
また、課題対策は5つのステップにわかれます。
◇課題設定ステップ
◇課題解決ステップ
◇総合評価ステップ
◇解決実行ステップ
◇結果評価ステップ
これらを順番にやっていくことで問題が解決できるわけです。
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今週は、問題認識ステップについてより深く考えてみたいと思います。
ただ、書きたいことが非常に多くて(それだけ私が意識をしているという事だと思いますが)、1回の記事の量としては多すぎるので、ちょっと今週は連作で、問題分析の手法について考えてみたいと思います。
本日はその第1回。まずは「問題」と「課題」の定義について。
■品質工学
私が品質工学を勉強し始めたときに、まず最初に講師の方にきかれたのが「問題」と「課題」でした。この違いってわかります?
日常的にも、「問題」と「課題」という言葉を使いますが、実際、厳密に区別して使っている人は多数派ではないような気がします。ただ、イメージ的には多くの方が理解しているので、これを間違えて使うとその後の行動が変わってきます。
■問題とは
辞書を引いてみると、問題とは以下のように定義されています。★――――――――――――――――――――――――――
http://dictionary.goo.ne.jp/leaf/jn2/220806/m0u/
1 解答を求める問い。試験などの問い。「数学の―を解く」「入試―」
2 批判・論争・研究などの対象となる事柄。解決すべき事柄。課題。「そんな提案は―にならない」「経済―」「食糧―」
3 困った事柄。厄介な事件。「新たな―が起きる」
4 世間が関心をよせているもの。話題。「―の議員」
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ビジネスの現場で使われる意味としては、2番めの
2 批判・論争・研究などの対象となる事柄。解決すべき事柄。課題。「そんな提案は―にならない」「経済―」「食糧―」
が適切でしょう。もう少し正確に定義しようとすると
問題とは現実とあるべき姿のギャップ
と定義できるとおもいます。
■問題がある?
ある事象について、「これは問題だ」とおもったり、「別に問題ではない」と思ったり、人によって様々ですね。例えば、製造現場で通路にネジが落ちていた。
製造に関わった人なら、これが「大問題だ」と感じるでしょう。
逆に製造現場を知らない人なら、「ネジの1個くらい落ちていて何が問題なんだ?」と思われるかもしれませんね。
なぜこんな違いが生じるのか。
それは、「あるべき姿」がある人と、ない人の違い。
「あるべき姿」があると、それと現状を比較して、「こんなに違いがある」と認識出来ますが、それがないと「まぁ、そんなもんなんだ」とそのままを受け入れてしまいます。
仕事をする上でも、「もっとたくさんのタスクをこなす自分」というのがあると、「仕事の効率が問題だ」と感じると思いますが、ただ単に言われた仕事が片付けばいいとおもっている人は、「別に仕事して給料もらえるんだから今のままでもいいじゃん」になってしまいますね。
■問題はなくならない
そういう意味で、仕事がある程度効率的にできるようになると、さらに「もっと仕事が出来るように」と理想のハードルが上がります。たとえば、会計計算に慣れてくると、「もっと会計を深く知って、それを仕事に活かしている自分」が理想に思えてきて、もっと勉強したいという意欲が湧いてくるわけです。
■課題とは
課題を辞書で引くと★――――――――――――――――――――――――――
http://dictionary.goo.ne.jp/srch/jn/%E8%AA%B2%E9%A1%8C/m0u/
1 与える、または、与えられる題目や主題。「論文の―」「―図書」
2 解決しなければならない問題。果たすべき仕事。「公害対策は今日の大きな―である」「緊急―」
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とあります。
ここの2番目。「解決しなければならない問題」とありますね。
つまり「課題」というのは「問題を解決するための行動」に着目しているわけ。
「問題」は起きている事象自体に着目点がありますが、課題は、理想状態へ向かう行動に着目点があるわけです。
たとえば、前述のタスクの例なら、理想は
1日予定通りのタスクプラスアルファが完了している自分
がいるわけですが、現実は
予定通りのタスクがこなせていない
というギャップ(問題)があるわけです。そこで、
予定通り課題をこなせるようにする
という課題が発生するわけです。
■「問題って言うな!」
私が20代の時に、プロジェクトの進捗を関係部門長にプレゼンする機会がありました。その時に、プレゼンの最後に「現状の問題点」という報告資料を作って発表したところ、上司にひどく叱られました。その時言われたのが、このセリフ。「問題って言うな!!」
その時はわけがわかりませんでしたね。
まぁ、しかたがないので次からは「課題」という言葉を使うようにしたのですが、今にして思えば、上司はこのことを行っていたわけです。つまり、「目標に対して問題がある」というのは単なる「論評」なわけです。それを解決しようという意思がない。そんなことを報告しても何の意味もない。
「こういう問題があるので、こういうふうにしていきます」
という「課題」を言わないと、聞いている人は「おまえ、他人ごとを話しているのか?」になってしまうわけです。業務をする以上、それを「私がどのような行動をとるのか」が重要なわけで、どこに問題があるのかは評論家や無関係の人に任せておけばいいことです。
■次回は
ということで、次回は「問題解決の手法2―可視化する」についてお送りします。◆このテーマのおすすめ図書
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