時間術で、「マルチタスクにやるといい」という説と、「シングルタスクこそが最も効率的」という説の2つがあります。
これは何を意味しているんでしょうか?
おそらくですが、時間の概念が違うような気がします。
■マルチタスクは区切りを意識する
もう一つは、多くの人は持っているプロジェクトが1つだけということはなくて、明日までに、×××プロジェクトの提案書と○○○プロジェクトの中間報告を仕上げる、などという場合。
じゃぁ、ということで前の例同様、10分おきにこの2つのプロジェクトを行ったり来たりすると、効率的でしょうか? 多分違いますよね。
え〜っと、×××プロジェクトで必要な資料は……
あ、10分たった。
○○○の進捗報告って、自分の持ち時間は10分だから、報告の概要は…
あ、また10分たった。
×××プロジェクトの資料はどこまで集めたっけ…
あ、また10分たった。
これはやたら非効率ですよね。
要するに、マルチタスクで物事を進めるときには
数時間の単位で配置する
とうまくいきます。
どこで別のタスクに切り替えるかというと、区切りのいいところ。
・提案に必要な資料が集まり、ポイントになるところをメモに書きだすまで。
・そのメモからストーリの概略をまとめるまで。
・パワポ資料がだいたい完成するまで
・仕上げが住むまで
みたいにある程度のレベルになって「書きだす」という、頭のなかから外部記憶に出す事が終わった時が区切りです。
■シングルタスクは短期スパン
一方、シングルタスクが効率的と言っている人は、この、区切りまでをちゃんとやることをシングルタスクといっているようです。
つまり、「あるところまでは一つのことに集中してやらないと、ちゃんと結果が出ませんよ」と。
シングルタスクを推奨している人たちというのは、こういった半日未満、1時間以上くらいのレベルで言っているので、シングルタスクを推奨しているように思えます。
■スキマ時間
たとえば、部長に何か報告に行かないといけない。
ところが、部長は別の人と会議中で会議室に入ってしまった。
みたいなとき。
部長を捕まえられるのは、会議室から出てきた時ですので、会議室の前で待機することになります。このとき、報告の内容は印刷してあり、あと10分ほどで会議が終わるのであれば、あとはぶらぶらしているだけですよね。
こんな時に、PCを持っていて、会議室の前のちょっとした空きスペースでメールを見る、なんてことが出来れば時間は効率的に使えそうです。つまり、何もしていない時間を減らすことが目標です。
こういった作業は、短い時間で住むような、やるべきことが明確な作業の場合です。
つまり、10分前後で完了するような作業。
こういった作業は、どんどん潰していくのがいいので、やれる時にやれることをする。
スキマ時間は、タスクの優先順位などを考えずに、どんどん潰していくのがいいみたいですね。
■スイッチングコストを考える
やる作業を変える時には、どんな場合でも
「えーっと、この作業はどこまで進んでいたんだっけ」
「このために何を考えていたんだっけ」
「前にやっていた時に見ていた資料ってどこにしまったっけ?」
と考えて、直前の状態に頭を戻してやる必要があります。
こういう作業の切替えに必要な作業を
スイッチングコスト
と言います。このスイッチングコストは、ゼロにはできないため、切り替えが頻繁になればなるほど、時間全体にかかる割合が大きくなります。
この時間は、基本同じ作業をずっと続けていれば(シングルタスクでやっていれば)必要なかった作業ですし、それ自体は成果に結びつくものではありません。
例えば、切り替え時間に3分かかるとすると、10分毎に作業を切り替えるとすると、実質さぎょうができるのは、7分ということになります。30%は無駄作業。一方、2時間毎に切り替えるとすると、2.5%です。十分無視出来る時間ですね。
これはスイッチングにかかる時間も影響します。
例えば「メールを見る」という作業では、すぐにメールは読み始められますが、「企画書をつくる」という作業では、頭のなかが復活するのに5分くらいは必要でしょう。
これらを見極めてマルチタスクをすることがいいでしょうね。