私の会社では、7月は昇進昇格の面接の季節です。
面接で良い点をもらうためのヒントを時々書いてますが、きょうは、話し方について。
面接官として、昇進に対してNGを出す人の多くのパターンは
・リーダとしてビジョンを描けていない
・話に説得力がない
・コンピテンシーがみあたらない
という場合です。
本日はこのうち、
話に説得力がない
について。
■話していることがわからない…
一番困るのが、こういうタイプ。
これも2つにわかれまして、
・声が小さかったり、聞き取りにくくてわからない
・聞こえるけど意味がわからない
の2つ。
どっちにしろ、面接官としては、わからない人を昇進させるわけにはいかないので、落とします。
前者「声が小さかったり、聞き取りにくくてわからない」は、「全く箸にも棒にもかからない」ということです。
昇進・昇格するというのは、他の人より上の立場になることです。
組織上の部下を持てるのは係長以上ですが、たとえ一般職であっても一つ階級が上がるということはその下の人に対する指導は「やって当然」になるわけです。
そのときに、人に聞き取れないような話し方をするような人は、後輩としても部下としても困るわけですよ。
そんな人は昇進は認められません。
で、今日の本題は後者「聞こえるけど意味がわからない」。
話していることは、音としてはちゃんと聞こえますが、話が首尾一貫していなかったり、自分の知っている言葉で自分の知っていることを勝手に話しているだけだったりして、「人に何かを伝える」という行為が全くできてない。
先日の面接のときに
私 :あなたの最近行った業務とその成果について話をしてください
相手:はい。私は○○○の業務が無駄だと思ったので、すごく□□□をやったり、△△△をやったりしました。
私 :は? えーっと、あなたの業務は○○の受入検査ですよね?
相手:はい、そうです。
私 :あなたの業務における○○○の位置づけっていうのはなんですか?
相手:検査は×××をして、その結果をレポートに整理しています。
私 :?????
ちょっとうまくまとめてかけてないですが、要するに、質問に対して答えが帰ってこずに、的はずれな答えが帰ってきたり、質問の文中にある単語に反応して別の話を始めたりします。これでは聞いている側はさっぱりわかりません。
ちょうど最近読んだ本で、
嫌いなあの人を味方に変える12の方法
にこんなことが書いてありました。
★p27――――――――――――――――――――――――――
このように、ひとつの言葉がきっかけとなって、話題がどんどん変わっていく。これが面思考型の人の特徴です。先 々 に心が飛んでいってしまうので、結果的に話自体も飛んでしまうのです。
これは、面思考型の「察する」という精神性からきています。「察する」とは、「言葉で伝えなくても雰囲気でわかるよね」「いちいち、詳しい説明をしなくてもわかるよね」ということです。このような感情があるため、話をしている最中に、次の話題を先まわりして考えてしまうわけです。
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面思考型の人は、感じたままのことを口にする傾向があります。だから、本人にそのつもりがなくても、まわりから話が飛んでいるように思われがちです。
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そうそうこんな感じ。
もちろん業務をする上において、いろいろなところに発想が行き、その結果、様々な対応が取れるというのは長所でもあります。ただ、ことプレゼンテーションにおいては、これは欠点ですね。
だって、何を言っているのかわからない。
■結起承転結
最近面接を受ける部下にしつこく言っているのがこのロジック。
「あなたがっとった×××の課題に対する対策はなんですか?」という質問を受けた時に、
起:×××という課題のために
承:その対策WGを作り、私が運営しました
転:意見の対立はいろいろありましたが
結:○○という対策を実施して、効果がありました。
という説明をするときに
結:○○という対策をすることです。
起:×××という課題は△△△がもっとも大きな要因なので
承:その対策WGを作り、私が運営しました
転:意見の対立はいろいろありましたが
結:結果、○○という対策を実施して、効果がありました。
という説明をすると、聞く人はゴールがわかっているので、話のストーリを追いやすい。
■スキーマ
これを心理学的に説明すると、以前紹介した「スキーマ」というやつ。
たとえば以下の文章を読んで、要約をしてください。
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新聞の方が雑誌よりいい。街中より海岸の方が場所としていい。最初は歩くより走る方がいい。何度もトライしなくてはならないだろう。ちょっとしたコツがいるが、つかむのは易しい。小さな子どもでも楽しめる。一度成功すると面倒は少ない。鳥が近づきすぎることはめったにない。ただ、雨はすぐしみ込む。多すぎる人がこれをいっせいにやると面倒がおきうる。ひとつについてかなりのスペースがいる。面倒がなければ、のどかなものである。石はアンカーがわりに使える。ゆるんでものがとれたりすると、それで終わりである。
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意味わかりませんよね。
でも、これを「凧揚げのコツです」と最初に書いてあったらどうでしょう。
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新聞の方が雑誌よりいい。街中より海岸の方が場所としていい。最初は歩くより走る方がいい。何度もトライしなくてはならないだろう。ちょっとしたコツがいるが、つかむのは易しい。小さな子どもでも楽しめる。一度成功すると面倒は少ない。鳥が近づきすぎることはめったにない。ただ、雨はすぐしみ込む。多すぎる人がこれをいっせいにやると面倒がおきうる。ひとつについてかなりのスペースがいる。面倒がなければ、のどかなものである。石はアンカーがわりに使える。ゆるんでものがとれたりすると、それで終わりである。
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意味わかりましたよね。
要点は最初に述べて、それから話をすると、相手にちゃんと分かるんです。
こういう話し方を身につけると、説得力も説明力も上がるみたいです。
※この文例は
わかったつもり 読解力がつかない本当の原因 (光文社新書)
から引用しました。
■参考文献
◆アマゾン
嫌いなあの人を味方に変える12の方法
わかったつもり 読解力がつかない本当の原因 (光文社新書)
◆楽天
嫌いなあの人を味方に変える12の方法 |
わかったつもり |