人間はどうやってものごとを学習したり記憶したりしているのでしょうか?
もし、これがうまく制御できたら、便利だと思いません?
・昨日出張に行ったけど、タクシーの料金っていくらだったっけか?
・昨日あったあの人。名前なんだったかな?
・あれ? 今日の予定で入っていたミーティング、何時からだった?
などなど、管理人は、自分の記憶力の悪さには特上級の自信があったりします。
■認知行動学
人間の頭のなかはどうなっているのか、学者さんたちは一生懸命研究をしてくれています。
その成果はちゃっかり頂いちゃいましょう。
一股に、人間の頭のなかの情報処理は、3つのシステムが連携して達成されていると言われているらしいです。いわゆる「感覚登録器」「短期記憶」「長期記憶」の3つ。
◆間隔登録器
感覚登録器とは、すべての情報の人り口。
いわゆる、視覚、聴覚、触覚などの五感がここに位置します。これらの器官から人力された情報のなかで、「注意」が向けられたものは「短期記憶」というところに送られます(短期記憶は、のちに作業記憶とよばれるようになる)。
問題は、「注意が向けられたものだけが短期記憶に送られる」ということ。
つまり注意していないものは、「知覚されない」。
ここの議論は、過去の記事でも時々書きましたが、今日は本題ではないので省略。
◆短期記憶
一般に、短期記憶は数秒程度しか情報を保持できないそうです。
ある実験によれば、その期問は15秒なのだとか。
※私は最も短いような気もしていますが、個人差かな?
短期記憶の容量を示した古典的な研究にミラーのマジカルナンバーがあります。
詳細については
Wikipedia
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%82%B8%E3%83%A7%E3%83%BC%E3%82%B8%E3%83%BB%E3%83%9F%E3%83%A9%E3%83%BC
これによると、人間が一度に記憶できるのは、「7士2チャンク」なのだそうな。
チャンクというのは情報の集まりのこと。
たとえば、「neckddisonypana」は合計で15桁有りますね。ちょっと覚えてみてください。
で、3秒後にこれをもう一度書いてみてください。 出来ました?
ところがこれを
nec kddi sony pana
に分けると、もう大丈夫ですよね。たった4つの塊なので覚えられます。
これがチャンク。
◆長期記憶
はい、円周率を言ってみてください。
3.1415926535…
ですね。数字の羅列としては、まったく規則性がないのに意外と覚えてますよね。
なぜでしょう?。
※いわゆる「産医師(さんいし)異国に向こう、産後薬(やく)なく……」ですね。
※ちなみに、これを10万桁まで覚えた人もいるそうです。役に立ったのかな? そういうの好きですが。
短期記憶から長期記憶に移すためには、反復と印象化がカギです。
これは「有意味化」「イメージ化」「物語化」というそうです。要は印象として残るものに置き換えてしまえばいいわけ。
この一部が「スキーマ」というやつ。
これは過去記事結起承転結を参照してください。
■グルーピングする
前置きが長くなりましたが、要するに、記憶するためには、知覚→短期記憶(チャンク化)→長期記憶(印象化・反復)がされればいいわけです。
ノートやメモに相手の話や覚えたいことを書き出して行く事で、「知覚」されるようになります。
ただ、ノートやメモに書きだしただけでは、記憶に残りません。
このためには、「印象化」が必要なんですね。
たとえば、「弊社の売上は年間1212億円です」と言われた時に、これを覚えておこうとするのであれば、「あ、行進曲ね(イチ、ニィ、イチ、ニィ)」みたいに連想して、それをメモに書き加えてしまいます。
また、新しいお客様にあった時には、「眉毛太い…」とか、「山下です」と言われて、「歌手の山下智久と同じだ」とか連想して、これもメモしておけばいいわけです。
複数のことを覚えるためには、それを「チャンク」にすればいいわけです。
「ニートが増えている」「ニートのことを自宅警備員とよぶ」「企業の採用が厳しくなっている」などの相関のある話を線で結び、ひとつの塊として認識できるようにしてしまうわけです。
で、そのトリガになる「構造不況」という言葉を全体をまるでくくって書いておきます。
そうすると、「構造不況」という言葉を見た途端に、「ニート」「警備員」「採用」などの話が記憶から芋づる式に引き出せるようになります。
■マインドマップを使う
単語だけでよければ、一番適したのが、「マインドマップ」。
出てきた単語をどんどん書き出して、それをあるキーワードでまとめます。
ただ、手描きだと後から枝の先を別の幹にくっつけることができないので、PCやスマホで書くのがいいです。もし講習会みたいにレジュメのあるものであれば、レジュメを予めマインドマップの幹に書いてしまっておくと、話の流れで常に大本が参照できるようになっているので、迷子にならなくてすみます。
私の場合、講習会に行くと必ずノートにマインドマップを書いてます。
ここにキーワードや気がついたことがいっぱい書いてあるので、その講習会の話の内容を半年後でも割合鮮明に思い出すことができます。
■図解する
ただ、複雑な相関関係はマインドマップでは書きにくいので、2次元的に書き出すにはやっぱりノートの図解が一番です。
図解と言っても大したことはやってません。
単語やキーになる文章を書き出して、それをマルで囲み、他のマルと線で結んでいるだけです。
これだけでも随分記憶力が変わります。
■繰り返す
重要だと思ったものは、この図解やマインドマップを何度も書き直します。
見直すではなく、書き直す
こと。これが反復になります。
その上、書き直すとよりスッキリ整理されるので、無駄な情報が落ち、適切な言葉に置き換えられるようになります。より洗練されてくるっていう感じでしょうか。
なので、私のノートには、ひとつのプロジェクトのマインドマップが何回も出てきます。
これは時間術的に見ると、同じことの繰り返しなので無駄ですが、記憶の整理や思考の整理にすごく役立つので、それにもとづいてさらに次の判断をするために必須の作業です。
あなたも是非、今年のプロジェクトについて、何度もまとめ直してください。
思考が深まり、新しいアイディアや行動が見つかり、年末の業績評価で、きちんと実績について説明することができるようになりますよ。