本日は、ちょっと刺激的なタイトルのビジネス書の紹介。
またしても長文なので、2回に分けてご紹介します。
第1回めの本日は、本書の要約と私の書評。
「バカな上司」とは、たぶん自分の実力にある程度自信がある人なら、だれでも考えたことがある言葉ではないでしょうか。
「親と上司は選べない」とはよく言ったもので、まったくその通りで、話していると頭痛がしてくるような上司に何度も出会いました(「頭痛がする」という表現に抑えておきます…)。
サラリーマンですので、人事から、「この人の下で仕事をするように」といわれれば、「いや」はありません。
逆に、「いやだ」と思ってしまうと、悪いところばかりが目について、益々嫌になる。
そうこうしていると、それが鬱憤がたまり、つい友人や同僚と帰りがけに一杯飲みながら、その上司の悪口をいってうさを晴らすようなことをしかねません。
悪口といえば、銀河英雄伝説の登場人物、フリッツ・ヨーゼフ・ビッテンフェルトが
我が家系の家訓は「人を褒めるときは大きな声で、悪口を言うときにはより大きな声で」だ!!
と発言してまして、それ以降の彼の大ファンになりました。
いつ戦死するかとハラハラしてましたが、最後まで生き残りましたね〜。
――― 閑話休題 ―――
ネット上の質問箱にも、「納得出来ない命令をする上司」「明らかにバカな指示をだす上司」の相談というのが少なからず有りますので、みなさんも同じような悩みを抱えてみえるのではないでしょうか。
でも、選べない上司の部下になった以上、その上司のもとで最短でも1年、ながければ数年以上仕事をするわけですので、その間に腐ってしまって、自分の未来に向けた歩みを遅くするなんてい事はもったいない限りです。
そのためには、どういう心構えで、どのような行動を取るといいのかを教えてくれる本です。
会社の不満、上司の不満を持った時に、読み返したい1冊。
本書で最も同意したのがこの一節
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自分の強みを、自分で見つけようとするな
会社の中で「強み」になるのは、案外、相対的なものです。日本語が喋れるなんて当たり前。ところが、もし日本語を読み書きできる人が少ない外資系の会社に入ったら、日本語が強みになります。これはまあ極端な例ですか、強みというのはそのようなものです。
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私も若いころは、夢を描き、為替のディーラーになって華 々 しく活躍したいと考えていました。だからW為替の決定理論Wという研究をテーマにして、勉強を重ねていました。その分野の知識に関しては自信がありました。けれど会社は、私を為替のディーラーには抜擢してくれませんでした。その代わり、貿易実務を専門に学ぶ研修生に選んでくれて、そこで学んだ外国為替の知識を生かした切り口で新たな顧客を開拓し、全国でトップクラスの営業成績を挙げることができました。自分の強みは、必ずしも白分が思っているものとは違います。強みを見つけてくれるのは、上司です。強みを作ってくれるのは、会社の環境です。強みを自分で見つけようとせず、周囲に発掘してもらうくらいの気構えが大事です。
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まったくその通りで、「自分探し」「自分の強み分析」なんてやっても意味がありません。
比較優位にあればいいのです。
この「比較優位」という言葉はWikipediaでは
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http://ja.wikipedia.org/wiki/%E6%AF%94%E8%BC%83%E5%84%AA%E4%BD%8D
比較優位(ひかくゆうい、英: comparative advantage)は経済学者デヴィッド・リカードが提唱した概念で、この概念を使えば自由貿易において各国が自身の得意分野に特化していく事を説明できる。比較生産費説ともいい、リカードモデルの基本である[1]。
◆概要
以下では例をもとに直観的に比較優位の概念を説明する。 今天才的な商売人と彼のもとで働いている事務員がいたとする。 商売人は商売のみならず事務にも才能もあり、 商売・事務双方とも事務員よりも優れている。
この場合商売人は事務員をクビして商売と事務の両方を自分一人ですべきであろうか? そんな事はない。 というのも事務仕事を事務員に代行して貰えば、その結果空いた時間を自分の得意分野(=商売)に費やす事ができる為、 (事務員の給料を払っても)商売人はより多くの儲けを出す事ができるからである。 もちろん事務員にとってもクビになって収入が無くなってしまうよりも商売人のもとで事務仕事をしていた方が得だ。 (ここでは分業にコストがかかる事や、人を雇う際の最低賃金が法律で決まっている事などは無視している。)
比較優位は以上の直観を精緻化した概念である。 以上の例でも分かるように、商売・事務双方とも商売人が事務員よりも優れている(絶対優位性という)としても 両者が分業して自身の得意分野(比較優位性がある分野)に特化する事で 商売人と事務員の両方が得する事ができる事をこの概念は示している。 より正確に言うと、商売能力と事務能力の比が重要で、 この比が大きい人(=商売に比較優位がある人)が商売に特化し、小さい人(=事務に比較優位がある人)が事務に特化する。
以上では分かりやすさを優先して商売人と事務員を例に説明したが、 比較優位性はもともとは二国間の貿易の様子を記述する為の概念であり、 この文脈では商売人と事務員は2つの国である。 そこで以上の説明を二国間の貿易に置き換えると、なぜ大半の分野で生産性が高いはずの先進国が 大半の分野で生産性が低いはずの発展途上国と貿易を行っているのかが分かる。 各分野で先進国が途上国よりも生産性が高い(絶対優位性がある)という事実は重要ではなく、 比較優位性が重要な事がその原因だ。 先進国は比較優位性がある知的労働(上の例では商売)に特化し、 途上国は比較優位性がある単純労働(上の例では事務)に特化してモノを生産し、 生産物を貿易しあう事で双方とも利益を得る事ができるのだ。
したがって比較優位の考え方にしたがえば、各国は自由貿易を行って他国の製品を受け入れた方が、 保護貿易を行って他国の製品を締め出すよりも、自国にとっても貿易相手国にとっても得だという事になる。
ただしこれはあくまで国全体の利益を考えた場合の話で、全ての国民が自由貿易で得するとは限らない事に注意されたい。 自由貿易を行うと、それによって得する国民もいれば損する国民もいるかもしれない。 比較優位性が保証しているのは、貿易によって損をする人と得する人の両方を鑑みた総和が 自由貿易によって増える事だけである。
なお本節で紹介する比較優位に関する議論は特に断りがない限り、輸出入にかかるコストが無視できるほど少ない事を仮定している。 したがってこの仮定が成り立たない状況(例えば輸送コストが非常に大きい場合)では必ずしも本節の結論は成り立たない。
比較優位とは『「国内での相対的有利さ」を国ごとに比較したときの相対的な有利さ』という、二重に相対比較した時に優位にあることを表す概念である。たとえば、ア国ではA産業の生産性が3でB産業の生産性が1、イ国ではA産業の生産性が8でB産業の生産性が4の場合を考える。ア国でのA産業のB産業に対する相対的な有利さは3(=3/1)、イ国でのA産業のB産業に対する相対的な有利さは2(=8/4)であり、この各国内での相対的有利さをア国とイ国で比較すると、ア国でのA産業のB産業に対する相対的な有利さの方が大きい(ア国3>イ国2)。このようなとき、ア国ではA産業に比較優位があるという。A産業の生産性そのものはア国が3、イ国が4と絶対優位はイ国にあるにもかかわらず、比較優位はア国にあるということが起こりえる点が重要である。さらにこの例のように、あらゆる産業において絶対劣位にある国においても、比較優位な産業は存在する。なお、これは資源が有限であることに拠る。もし仮に労働力なども含めた資源が無限にあれば、絶対優位のある国でのみ生産をすることが最適となるが、現実には資源は有限なため、ある財の生産を行う場合には他の財の生産を諦めるという機会費用が発生する。そして、直接的な費用だけを見るのではなく、この機会費用まで含めて考えれば、絶対優位にあるからといってその財を生産することが最適とは限らなくなるのである。
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と書かれています。
この説明だとわかりにくいかもしれませんが、
個人の持っている能力自体が、他の人から見て劣っていても、その人の中では優位にあるのであれば、他の人が自分の優位の能力を発揮するために、自分よりは劣るが、自分の時間を確保するためにその劣った人を利用することができる
ということです。
これが、その環境におけるその人の強みになるわけです。
それがを最近の就職コンサルタントになると、「世界で通じる強みを」などと言ってくれて、
「じゃぁあんたの強みは世界に通用するのかよ」
とつい突っ込んでやりたくなりますね。
もっともっと小さなムラ社会で(会社では、これを××部とか○○課と呼んでます)、相対的にそれをやることができれば十分なんです。
上司問題にかぎらず、本書にはそんな「自分の力や成長の悩み」を解決する方法が書かれています。
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■要約
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◆目次
序章 仕事で大切なことは、実は「バカ」だと思った上司から学んだ
第1章 こんな上司は、たしかに「バカ」かもしれない
第2章 あなたが上司を「バカ」だと思うのには、理由がある!
第3章 あなたの上司を「いちばん大切なお客様」と思いなさい
第4章 バカな上司の下だからこそ、仕事にだけ集中せよ!
第5章 バカな上司のここだけはマネするな!
第6章 バカな上司の下だからこそ、自分のスタイルをつくれ!
終章 自分が上司になって、はじめて気づいたこと
◆要約
上司を「いちばん大切なお客様」と思えばすべては変わる
いくらイヤな上司だろうと、敵対し、嫌われて損をするのは部下
上司を上司と考えるのはやめて、「いちばん大切なお客様」と考えを改めたほうが身のため
仕事を教わろうなんて思わない
上司に期待しすぎてはいけない
部下の正しい姿勢は、「自分で学ぶ」こと
上司に教わろうなどと思わず、すべて自分で調べて、自分で工夫する、そうするとメキメキ力が付く
具体的な指示は最初から期待しない
仕事のできない上司に具体的な指示を仰いでも意味がない
ダメな上司より、実績のある著名人の本を読んで参考にしたほうがいい
上司には常に「Yes,sir」反論しても無駄
社員とは、株主であるオーナーの意向に沿って、社長以下から与えられた仕事をするもの
それに背き、反論したら即クビ。本来はそれが原則
尊敬する必要はないが、人前では必ず立てる
嫌いな上司は嫌いで仕方がない、だが態度に出してはいけない
上司も人間。心の中で「バカだなあ」と思われていると察していても、人前で本当に顔を潰されるのと、人前ではそれなりに立ててもらっているのでは印象がずいぶん違う
実績を出すまでは、意見を控える
新人の提案はアイデアにあふれ、面白い場合もあるが新人には見えていない部分が多い
若いころは意見を言って存在をアピールしようとするより、実績を上げることが先決
意見を求められるくらいの実績を上げたら、自分の意見は通しやすくなる
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■参照先
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◆アマゾン
どんなにバカな上司の下でも成長できる仕事術
◆楽天
どんなにバカな上司の下でも成長できる仕事術 |
◆その他Webリンク
http://smoothfoxxx.livedoor.biz/archives/52037310.html