■さっぱりわからない
「お前と話すと宇宙人と話しているみたい…」
随分昔のことですが、上司からこんなことを言われたことがありました。
私はとにかく新しいことをやるのが好きでしたので、コンピュータ関連の書籍を読みあさり、専門知識を身につけて、それを使って論理的に何をするべきか、学術的にはどう考えられるのか、見内なことを滔々としゃべるわけです。
随分昔なので、上司はコンピュータの専門家ではなく、さらにそういった最新の技術動向に疎い人でしたので、私の使っている単語がわからないわけです。その単語をなんの説明もなくいきなり使いはじめるので、「お前は何語を喋っているんだ?」となってしまう。
ただ、その後、それだけでなく、話の組み立て方にも問題があったことに気が付きました。
■1分で話せ
それはある講習会に出た時のこと。
講師から
グループで××について話し合い、その結果を発表してください。
ただし発表時間は30秒です。
と言われました。
まず5〜10分話し合ったことを30秒で述べるというのがメチャメチャ大変でしたね。
さらに発表してみると、同じグループの人でも、それぞれ言っていることが違う。
同じ話し合いをしたはずなのに。
さらに、他のグループの人の発表を聞いて、「他のグループの結論を整理」という課題なのですが、これがさっぱりわからない。
わかりやすいまとめをする人は
話の筋道が通っている
テーマがはっきりしている
最初に結論を話している
という点が違いました。
これを、誰だか知りませんが、まとめたのが
「まみむめも」のルール
■まみむめも
「ま」 : まずは結論、結果から
「み」 : 見出しを上手に使うこと
「む」 : 無駄を省き、文章は短く
「め」 : 明確に「事実」と「意見」を分ける
「も」 : 目的を明確にする。
簡単にまとめてしまうと、こういうことです。
こういうのは、うまくまとめる人がいますね。
これが2番めの「見出し化」というやつでしょうか。
■「ま」:まずは結論、結果から
ビジネスではは結論、結果から鉄板のセオリー。
例えば、以前の記事結起承転結のように、面接などで話をするときに
「××についてあなたの考えを効かせてください」
「はい。××は○○○であると考えます。なぜなら〜」
のように話すことです。これによってあなたのスキーマが相手に移植されます。
さらに結論を先に言うことによって、あなたがこれから話そう/書こうとしていることに対して、あなた自身に制約を課すことになります。話が横道にそれないんですね。
■「み」:見出しを上手に使う
報告書を作成したり、文章を作成したりするときには、適切な見出しというのが欠かせません。これがうまいと、その文章が印象に残ります。
このブログでも、なるべくのべたらに書くのではなく、こうして見出しをおいています。
多少は読みやすくなっているのではないでしょうか。
それとコンサルタントがよくやる、「印象的な名前をつける」ということ。
この「まみむめも」でもそうですが、「おっ? それ何?」と気を引くような名前をつけたり、自分の開発したしスムや機能にちょっとした名前をつけてやることによって、お互いの意思疎通が簡単になります。
最後に見出しだけを読み返してみて、それだけで報告書の要点がわかるものになっていれば完璧です。これの勉強になるのは、ビジネス書の目次ですね。
いつもさらっと読むだけかもしれませんが、見出しを見れば本の内容がだいたい分かるようになっている本は、読んでいてもすごくわかりやすいですね。
■「む」:無駄を省いて短く
ダラダラと長い文章では、主語・述語の関係がつかみづらく、要点がわかりにくくなってしまいます。文章はエッセンスを凝縮し、可能な限り文字数を減らしましょう。
そういう意味で、この記事は悪い見本(^^;;)。
また、文字がびっしり詰め込まれた報告書は、見た目にも拒否反応が出てしまうもの。読み手にとって目を通しやすい、読みやすい報告書にするためにも、文は短めに区切り、箇条書きを活用してもいいでしょう。
面接などにおける発言も、30秒以上話し続けるような発言をする人は、たぶん頭のなかに話のストーリと、その整理整頓ができていないんだろうなと思えます。
メールなどでは、1文に複数の意味を持たせない。3行以上にわたって文章を書かない。
段落、節を分けて、行間を開ける(空行を入れる)などのコツがあります。
発言でも、連続してしゃべり続けるより、適切に「間(ま)」を入れて喋ったほうが説得力が増すというものです。
■「め」:明確に「事実」と「所見」「推定」を分ける
「事実」とは、実際に起こった事柄。現実に存在する事柄。
「所見」とは、事実をもとにした自分の考えや判断
これをぐちゃぐちゃに報告する人が実際少なくありません。私の回りだけかもしれませんが。
「××が原因で○○の機械が全て停止しました」
「全てって、1号機と2号機と………、を全部確認したわけ?」
「いや、確認したのは1号機だけですけど、××の場合には全て停止しますから」
「××だったという理由はなに?」
「いや1号機がそのエラーを出して停止したので…」
などと話が循環することがあります。要するに、自分の想像した答え(所見)と実際に起こった事象(事実)が完全に混じってます。
こうなると、
「もう一度ちゃんと調べてこい!」
となります。
■「も」:目的を明確にする
・何を報告したいのか
・なぜ報告する必要があるのか
・何を話したいのか
・なぜ話すのか
最終的に、これが理解できてない人の話は、言語明瞭意味不明というやつですね。
「明瞭」ですらない時もありますが。
目的を履き違えると、どんなにうまく書けた文章であっても、報告書としての価値がありません。
例えば、ある開発事業において、投資対効果を求めているのに、技術的難易度をとくとくと説明されても、「なんの時間つぶしをしているんだ?」になっちゃいます。