2013年09月26日

やらない勇気




「○○さん、口(くち)ばっかり」

私が何人かの後輩を指導してチームで活動し始めた頃、こう言って文句を言われたことがあります。

この秋、昇進して部下を持ったり、複数人のチームのリーダになられたかも多いと思います。

最近は課長に昇進しても「プレイングマネージャー」と称して自分も担当を持つし、さらに指導するべき部下も持つという会社が増えているみたいですが、私は個人的にはこの制度には反対。

マネージャーはマネージャとして活動するからマネージャーなのであって、プレイヤーとして活動していたら、視点はプレイヤーのままになってしまいます。なぜならそのほうが今までやってきたことと変わらないので、慣れていて楽だから。チームを率いる立場になったら、チームのプレイを制御する視点で物事を見ないといけません。




■覚悟の磨き方 超訳 吉田松陰




覚悟の磨き方 超訳 吉田松陰 (Sanctuary books)

とそんな内容をこの記事でも書こうと思っていたら、ちょうどこの本に出会いました。

吉田松陰は、確か中学生の頃に伝記を読んで、「凄い人だな〜」と感動しました。
どう時代の人で有名な人は多いですが、ファンが多いのは坂本龍馬でしょうか。私はほとんどそっちには目もくれず、吉田松陰一筋でしたので、この本もその程度の理由で読むことにしました。

ご存じない方のためにちょっとWikipediaから紹介(一部省略)




★――――――――――――――――――――――――――
文政13年(1830年)8月4日、萩城下松本村で長州藩士・杉百合之助の次男として生まれる。天保5年(1834年)、叔父で山鹿流兵学師範である吉田大助の養子となるが、天保6年(1835年)に大助が死亡したため、同じく叔父の玉木文之進が開いた松下村塾で指導を受けた。11歳の時、藩主・毛利慶親への御前講義の出来栄えが見事であったことにより、その才能が認められた。
しかしアヘン戦争で清が西洋列強に大敗したことを知って山鹿流兵学が時代遅れになったことを痛感すると、西洋兵学を学ぶために嘉永3年(1850年)に九州に遊学する。ついで、江戸に出て佐久間象山に師事する。
嘉永5年(1852年)、友人である宮部鼎蔵らと東北旅行を計画するが、出発日の約束を守るため、長州藩からの過書手形(通行手形)の発行を待たず脱藩。この東北遊学では、水戸で会沢正志斎と面会、会津で日新館の見学を始め、東北の鉱山の様子等を見学。秋田では相馬大作事件の真相を地区住民に尋ね、津軽では津軽海峡を通行するという外国船を見学しようとした。江戸に帰着後、罪に問われて士籍剥奪・世禄没収の処分を受けた。

嘉永6年(1853年)、マシュー・ペリーが浦賀に来航すると、師の佐久間象山と黒船を視察し、西洋の先進文明に心を打たれ、外国留学を決意。同郷の金子重之輔と長崎に寄港していたプチャーチンのロシア軍艦に乗り込もうとするが、ヨーロッパで勃発したクリミア戦争にイギリスが参戦した事から同艦が予定を繰り上げて出航した為に失敗。
安政元年(1854年)にペリーが日米和親条約締結の為に再航した際には金子と二人で伊豆下田港に停泊中のポーハタン号へ赴き、乗船して密航を訴えるが拒否された(一説ではペリーの暗殺を計画していたともいわれる)。松陰は乗り捨てた小舟から発見されるであろう証拠が幕府に渡る前に下田町隣村の名主に自首し、下田で取調べを受けた後、伝馬町の牢屋敷に送られた。この密航事件に連座して佐久間象山も投獄されている。幕府の一部ではこのときに佐久間、吉田両名を死罪にしようという動きもあったが、老中首座の 阿部正弘が反対したため、助命されて長州へ檻送され野山獄に幽囚される。獄中で密航の動機とその思想的背景を『幽囚録』に著す。

安政2年(1855年)に出獄を許されたが、杉家に幽閉の処分となる。安政4年(1857年)に叔父が主宰していた松下村塾の名を引き継ぎ、杉家の敷地に松下村塾を開塾する。この松下村塾において松陰は久坂玄瑞や高杉晋作、伊藤博文、山縣有朋、吉田稔麿、入江九一、前原一誠、品川弥二郎、山田顕義などの面々を教育していった。

なお、松陰の松下村塾は一方的に師匠が弟子に教えるものではなく、松陰が弟子と一緒に意見を交わしたり、文学だけでなく登山や水泳なども行なうという「生きた学問」だったといわれる。

安政5年(1858年)、幕府が無勅許で日米修好通商条約を締結したことを知って激怒し、討幕を表明して老中首座である間部詮勝の暗殺を計画する。だが、弟子の久坂玄瑞、高杉晋作や桂小五郎(木戸孝允)らは反対して同調しなかったため、計画は頓挫した。さらに、松陰は幕府が日本最大の障害になっていると批判し、倒幕をも持ちかけている。結果、松陰は捕らえられ、野山獄に幽囚される。

やがて大老・井伊直弼による安政の大獄が始まると、江戸の伝馬町牢屋敷に送られる。幕閣の大半は暗殺計画は実行以前に頓挫したことや松陰が素直に罪を自供していたことから、「遠島」にするのが妥当だと考えていたようである。しかし松陰は尋問に際し老中暗殺計画の詳細を自供し、自身を「死罪」にするのが妥当だと主張。これが井伊の逆鱗に触れ、安政6年(1859年)10月27日に斬刑に処された。享年30(満29歳没)。生涯独身であった。

獄中にて遺書として門弟達に向けて『留魂録』を書き残しており、その冒頭に記された辞世は“身はたとひ 武蔵の野辺に朽ちぬとも 留め置かまし 大和魂”。また、家族宛には『永訣書』を残しており、こちらに記された“親思う心にまさる親心けふのおとずれ何ときくらん”も辞世として知られている。
――――――――――――――――――――――――――★


これだけ読んだだけでも、波瀾万丈の人だったというのがわかるのではないかと思います。
また、「命と引き換えにできる信念」みたいなものを感じますね。

ま、それはおいておいて…。

この本に、

★P97――――――――――――――――――――――――――
●重い責任

部下たちが汗水を流しているときにリーダーが動かずに、考え事をしていれば、そんな愚痴を吐きたくなる気持ちもわかります。

ですが、リーダーは作業を行うべきじゃありません。
未来を変えるという大きな責任があるからです。

リーダーがやるべきことは、人一倍、周囲に目を配ったり、皆が気持ちよく動けるような規制を考えたり、お互いがお互いを助け合えるような、雰囲気をつくることです。
――――――――――――――――――――――――――★


という一節があります。
どうも松蔭自身の言葉から筆者が「超訳」したものみたいですが、これが今回の本題にぴったりでしたので、紹介します。

■仕事を人に任せる


もう一つ引用します。


ドラッカー名著集1 経営者の条件


★――――――――――――――――――――――――――
重要なことに取り組めるようになるには、ほかの人にできることはほかの人にやってもらうしかない。
――――――――――――――――――――――――――★


かのドラッカー大先生もこのように書かれてます。

成果を上げる人は、仕事を他人に任せ、自分は自分の強みと自分に期待されている責務の交点であるところに資源を集中します。
そのために、常に自分の行動に問いかけていないと、過去にやっていたことに引きずられます。
 ・その活動は、ほんとうに自分がやらなければいけないか?
 ・その活動は自分の責務において重要か?
そして、自分の時間を責務のために使えるように、自分以外の人に自分の責務にとって重要でない仕事を任せる必用があるわけです。

もう一つ重要な問いがあります。

 ・3年前と自分の業務範囲が変わっているか?

です。もし同じならあなたは「成果を上げる重要な仕事に集中していない」と言えると思います。
仕事を任せ、自分の時間を作って、新たなことに挑戦して、成長を促していく、そんな好循環を目指すためにも、まず自分に「何が重要か」を問いかけている必用があるのではないでしょうか。

■リーダ(マネージャ)のやるべきこと


ここでは、リーダーとマネージャーは同じ責務として「チームの結果責任を負っている」というリーダーシップの面から見て、同じ意味で使います。

一人ひとりが結果を求めてチームに貢献することは、チームの構成員として当然のことですが、リーダーは違います。
「チームがどのようにしたら最高のパフォーマンスが発揮でき、更に上位の組織に貢献できるか」がリーダーの責務です。

したがって、たとえ本人が動いたほうが一時的に結果が大きくなろうと、本人は動いてはいけません。
もし、リーダーたるあなたが動かなければチームの成果が未来にわたって大きくできないのであれば、あなたはリーダーになるべきではありません。別の人を推薦しましょう。

自分が活動に参加しないことによって、一時的にチームのせいかが下がるとしても、将来それを補うための人材を育てて、トータルで最大化を目指すのがリーダーの役割です。

だから、私はリーダーになった時に、

 どれほどメンバーの成果が低くても手伝わない

と決めました。
その結果が冒頭のメンバーの苦情。

もしあなたがリーダーになった時、後輩や部下にこう言われたらなんと答えるでしょうか?

■答えはあなたの中に


今回は「問いかけ」だけにました。
私の答えはおそらくあなたに一致するものではないので、参考にはならないと思います。

ちなみに、このとき上記のように文句を言ってきた人は、今は私の部下として、かつ課長としてメンバーを引っ張ってくれている部門トップのリーダー成長してくました。

■参考図書


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ドラッカー名著集1 経営者の条件


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