「会議が多くて大変…」という話は、どこの会社でも聞きます。
だんだん職位が上がっていくと、会議の時間が業務時間のかなりの割合になるようになります。
役員になると時間のほとんどは会議をしているのではないでしょうか?
現場の一般職の人は、役職の人とくればれば少ないとは思いますが、その週の予定は会議の時間にかかわらずやることがあるので、ちょっと会議が重なったりすると途端に仕事が遅れてしまって、最後は残業で帳尻合わせをするはめになったりします。その上、残業をしている時に、「お、ちょうどいいところにいた」などと上司から声をかけられて、「ちょっとこの仕事頼むよ」などと仕事を追加された日には目も当てられません。
■会議は仕事の邪魔をする
そう思ってはいけないけど、サラリーマンの多くの人は、「会議がなくなればどんなに幸せか…」と思ったことがあるのではないでしょうか。
何かの調査で「業績の悪い会社は会議が多い」などというデータも見たことがあるような気がします。
もし、「ちょっと辛抱できる水準を超えているな」と思えたら、ぜひ会議を減らしていきたいものです。
その時対象とし真っ先にあげるべきは「進捗会議」です。
実は進捗会議と言うのは、まったく生産性がないんですね。
絶対に必用な会議とは、様々なことを参加者全員で討議する、いわゆる「ワイガヤ会議」というものです。ワイワイガヤガヤと議論が進み、全員がそれに参画し、全員の意思統一をもって次の課題を決める、こういった会議でなければ、実際に開く意味は無い、というのはちょっと極論ですが。
■進捗会議は怠慢のツケ
「そうは言っても、進捗管理は管理職の仕事なので進捗状況をちゃんと把握しないと」とおもっている管理職の方も多いのではないでしょうか。
でも、それ、管理職・部下の相互の怠慢ですから
本来の形であれば、
部下は進捗状況を変化があるごとに上司に報告・相談する
上司は部下がなにか困っていることはないか状況を常に把握している
というのが理想形です。
■部下の義務
部下からすれば、自分の見えている範囲の仕事は自分の裁量で進めていきたいと思いますから、上司にはあまり報告したくない。また、上司がいっも忙しそうで、この件については覚えていないかもしれないから報告しても意味がない、と思ってしまっています。
しかし、上司は部下が思う以上に心配性です。
報告することが部下の仕事と思って、きちんと報告する習慣をつけなければなりません。
■上司の義務
では、上司は部下からの報告を黙って待っていればよいのかというと、それは違います。
部下は、上司へ報告するタイミングを見計らっています。
言いやすい報告内容ならともかく、言いにくい報告の時は先延ばしにしていることだってあります。報告がなくても咎められなければ先延ばしになる、ということもあります。
部下の仕事に関心があるということを伝えるためにも、上司から「あの件はどうなった?」と声をかけていくことが、報告しやすい環境をつくることになります。
いまやっている内容がわからなければ、「最近どう?」と言うだけでもいいです。
■上司は2つの記録を残す
もう一つ、上司の立場でするべきことは、
指示したことを2つの記録に残すこと
です。
いつも、大き目の付箋をポケットに入れておき、部下の席で部下に声をかけます。呼びつけてはいけません。部下は上司に対しては、程度の差こそあれ緊張しているものです。緊張していると本音は言えません。なるべく部下がリラックスできる環境が必用なのです。
そして、部下の話を聞きながら、「じゃあ、××をしてみてよ」と指示を出したら、その場でさっとそれを付箋に書きます。
そしてそれを部下に渡します。走り書きで十分です。
できたら、部下の話をその場で上司が整理して、キーワードを線で結びながら、「現状はこうなんだね。じゃあ次のタスクはこれだね」と言いながらタスクを指示するのが一番です。
部下は上司に話すことで、現状をはっきり認識できるようになりますし、上司が何を指示したのかが確実に記録に残せます。
最後に部下には、「これ、そこに貼っておいて。できたら報告して」と言い残します。
こうしておくと、付箋に書かれたものは机の上にず〜っと出てますから、部下としては「忘れた」が言えないんですね。
その後に、もう一度同じ指示を付箋に書きます。2回目に書くのは
・指示した日付、担当者(部下の名前)
・指示した内容
・期限
の3つだけ。そして、それを自分の席の隅っこの方に、指示した部下の名前を入れて貼っておきます。
それをしていれば、部下に何を指示したのか忘れることはありませんし、部下の目の前で、上司が自分のタスクリストを作るところを見れば、もう「忘れた」は言えません。
上司は、それを集めておいて、突然「この件どうなった?」と聞きに来るので気が抜けなくなるんです。
その上、上司のところになにか話をしにいった時に、上司の机の上に自分の名前とタスクが書いた付箋が貼ってあれば、恐ろしくプレッシャーになりますので、ほぼ100%実行します。
■進捗会議をやめる
こうしておけば、上司の机の上には、部下が未着手の業務一覧が出来上がり、完了すれば自然にそれが剥がれてなくなります。
「上司が部下の業務を管理していない」などという事態にはなりませんので、進捗会議は必要なくなります。
進捗会議は、上司にとってはすべてが自分の課題なので、忙しく頭を働かせてますが、部下にとっては、自分の番が回ってこない限り、「オレ関係ないもんね〜」「あ〜、暇だ…」などとしか思ってません。
なので、自分が報告するとき以外は、まったく無駄な時間になってしまうのですよ。
上司としては、同じグループのことなので、他のメンバーにも聞いてほしいと思ってますが、メンバーは自分に直接影響がないようなことなら関心はありません。
もし、情報共有として進捗会議が重要だと思うのなら、毎週メンバー全員宛に進捗情報メールを上司が解説付きで流すことです。
※進捗の事実部分はメンバーが書けばいいですが、何をそこから読み取って欲しいかは上司しかわかりません。
こういうところの手を抜く管理職は、実際に成果を挙げられなくなります。