2014年02月07日

面接の質問:「記憶に残っている失敗を教えて下さい」




■面接の質問

過去に色々な中途採用面接や、昇進・昇格面接をしてきました。また逆にそうなるまでには、何回も自分が面接を受ける側になってきたわけです。
その中で、「これはナイス!」と思った質問があります。

 ・最近のニュースで気にしていることってありますか?
 ・休みの日はどのように過ごしていますか?
 ・仕事上の悩みを解決するのにどんなことをしてますか?
 ・人間関係で苦しかったことはありますか?
 ・お酒はお好きですか?
 ・最近読んだ本で印象に残っているものはありますか?
 ・仕事上で失敗をしたことがありますか?
 ・人を動かすあなたなりのコツを教え下さい
 ・外国の人と一緒に仕事をしたことがありますか?
 ・長期休暇がとれたとしたら何をしますか?
 ・あなたがもし面接官だとして、あなたは合格ですか?
 ・当社が新しい事業に挑戦するとしたらどんな事業がいいと思いますか?

どれも、結構深い意味で相手の能力をはかる質問なのですが、全部解説していると、長くなっちゃうので、一つだけ。

■「仕事上で失敗をしたことがありますか?」

これは失敗自体はどんなことでも構いません。
3つのことを聞いています。

 ・どのようにリカバリしたか
 ・どのような学習をしたか
 ・その学習をその後にどう活かしたか

■失敗のリカバリ

失敗ですので、どうにかしてその失敗をプロジェクトや仕事の結果に影響がないようにしないといけません。
もちろん、失敗はしないに越したことはありませんが、仕事をしていて「失敗したことはありません」などと答えようものなら、「チャレンジしたことがありません」と言っているのと同じです。

世の中の本には「失敗というものは存在しない」という本もありますが、それはある流れの中において、「○○○ということをやれば、それは試行錯誤の一部」とかいう単なる「象徴的な言葉」に過ぎず、この質問ではそういうことを聞いているわけではないので、そんな言い方はまずいわけです。

で、実際に失敗をした時に、まず最初にやらなければならないのは、それがプロジェクトや仕事の結果に影響しないようにする「行動」。

これを述べるときには、
 ・関係者にどのように連絡をして
 ・関係者にどのような協力を仰いで
 ・どのように元の形に戻したのか
を述べると好印象です。

「一人で頑張って徹夜しました」みたいに、個人でなにもかもクローズしたかのように回答すると、あまり好印象はありません。仕事というのは、一人でやっているものではないからです。どれだけ関係者を巻き込んだ活動ができるかが、その人の仕事をする力をはかることができます。特に、自分が原因の問題の時に、関係者が積極的に協力してくれる人は、どんな仕事を任せても、どのようなシチュエーションになっても、チームとしていい結果を出せる可能性が高いです。

■失敗から学ぶ

事実として、失敗をしたのですから当然再発防止が必要です。
それは、失敗からどのようなことがわかり、自分の教訓として、どのようなことを頭に刻み込んでいるかを確認します。

しかしながら、ここで安易に答えを出す人が少なくありません。

例えば、「資料を持っていくのを忘れて出張に出てしまった」というような場合にあなたならどうするでしょうか?

 ◆チェックリストを作る◆

みたいな答えなら、入社2年未満の人なら、まぁ合格。
それ以上なら不合格です。その程度は当たり前ですから。

なぜ資料を忘れたのかを深堀りせずに、忘れた事自体にフォーカスしているからです。

ひとつの解答例としてですが、

★――――――――――――――――――――――――――
 本来の仕事をする上で必要なのは、事前の頭のなかのシミュレーション。つまり、そういった事前のストーリーづくりをしていない、あるいは曖昧なので、必要な物がでてこない。たとえば、

  未来予測ノート
  http://sarahin.seesaa.net/article/244433324.html

 で紹介したように、予め議事録を用意したり、そこでどのようなものを使ってどのような話をするのかをちゃんと考えていれば、その場で必要な物を忘れることがありません。
 その「事前シミュレーションが不足していた」ので、忘れ物に気が付かなかったというのがひとつの気付きというか課題としてあげられるわけです。

 ですので、以後は、ノートに議事の予定を書き出して、その横に『必要なもの』の欄を作って書きだすようにして、離席前にいちどそれを眺めて流れを確認するようにしました。
――――――――――――――――――――――――――★


というのが、学びとそのアクションです。

例えば「忘れた原因」が、「別のことに気を取られていた」とすれば、そういった別のことを気にしながら、出張準備をしないためには、どのようにすればいいかを考えて、対策を打つことです。

■二度と失敗しない

そして、最後に一番大事なのが、失敗をした反省を「その後の行動にどう活かしているか」です。

反省ならサルでもできます
二度と起きないように考えたのなら、二度と起きなかったという結果が必要です。

さらに、その反省をより活かして、その後似たような問題を発生させていないというところまでのべられたら、ほぼベスト。

たとえば、上記の「出張時に資料を忘れた」問題であれば、

★――――――――――――――――――――――――――
 議事録が事前に作れるようになったので、自分が主催する打合せ時間がスムーズになり、半分程度に短縮されました
――――――――――――――――――――――――――★


くらいまで言えれば素晴らしいでしょうね。

さらに、課長・係長クラスになろうとするレベルの人なら、「部門やチームに浸透させた」という部下や関係者への影響力に言及すれば、まず合格できます。

■その他の質問

その他の質問も基本的な考え方は同じです。

 それについて何を学んだか
 それをその後の行動にどう活かしているか

が説明できればいいセンに行きます。満点は人(面接官)それぞれかもしれませんが。

こちらもまたそのうち、書くかもしれません。

■余談:サルでも反省する

これは猿回しの曲芸師である村崎太郎氏と、そのサルである次郎君の持ち芸の中に「反省のポーズ」があり、それが流行語となったのに起因しています(たぶん20年位前…)

次郎君の反省のポーズを Youtube で見つけたのでご紹介しておきます。
 https://www.youtube.com/watch?v=fq3viKA7Cuo

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