2014年02月26日

仕事の進捗のマネジメント2


前回は、仕事の進捗のマネジメントをする上で、個人の作業として遅れている仕事の原因と対処方法についての前半をお送りしました。

簡単に概略を書くと、

★――――――――――――――――――――――――――
遅れる原因は3つ。
 1.やる気はあるのに技術がない
 2.そもそもやる気が無い。意図的に放置している
 3.放置している意識がない

1.については、その技術を教えれば対応できる
2.については人事措置をとる
――――――――――――――――――――――――――★


というところまで書きました。

今回は、3.無意識の放置の原因と対策について。


■無意識の放置
これはすごく難しくて、本人に問題意識が全くない。問題意識もないので、「遅れいている」ことの発見が遅れますし、改善もできません。

「部下の進捗管理は上司の仕事であり、進捗遅れが早期に発見できないのは上司に責任がある」という意見も全くそのとおりなのですが、実際に部下のやっていることのすべてがわかっているわけではありませんし、完全に掌握しようとするのも不可能です。
かのドラッガーも言っている通り、結局はひとりひとりの「自己マネジメント」に依存するしか無いのが、現代の「知的労働者」の特性です。

仕事を放置する状況というのは、上司からも信頼をなくしますし、他の関係者からも「あいつはリスク」と考えられかねず、本人の無意識の行動の結果、ますます本人の成果が得られなくなってしまい、原因がわからないという最悪の状況になります。

これをちゃんと理解させることが対応のキモなのですが、これは言葉で言っても伝わらないので、意識改革とともに、今遅れている仕事の対応を取らないといけません。

■3つのケース
私の経験だと、「無意識放置」原因は4つあります。

 A. 仕事量が多すぎて手が回らない
 B. 仕事の優先順位の設定が間違っている
 C. そもそも自分の仕事だと思ってない
 D. タスクの分解ができていない

これらが複合的に起こっている場合もありますので、その部下の様子と進捗状況、仕事の品質をよく見て、指導方針を建てないといけません。

■仕事量が多すぎる
これは、平均的に出来る仕事量ではなく、その部下個人個人の持っている能力に対する仕事量の問題です。私は勝手に「部下の性能」と呼んでます。4ビットCPUの人もいますし、量子コンピュータみたいな人もいるわけです。記憶容量も、20テラもある人から、RAMみたいに一晩寝るとクリアされちゃう人も。

部下の性能を評価する指標は「仕事効率」なのですが、これは時間的に相対評価です。つまり、誰かと比べていいか悪いかはあまり部下にとっては意味がありません。
それよりも「昨日の自分」「昨年の自分」と比較させることです。

比較するためには数字化しないとできません。
これを「メトリクス」と言うのですが、部下に「毎期メトリクスを5%改善せよ」というのが、私の部署で毎年必ずあげる業務目標。

半年ごとに、部下には自分のメトリクスを出させ、それを5%だけ改善する方法を上げて、実際に期末にそうなったかを目標管理としてやってもらってます。

また、効率化のテクニックなどをメールで紹介したりしてます。
個人的には、この記事を読んでくださっているあなたのように、自分で調べて、自分なりに消化して、自分の活動に活かしてほしいと思ってはいるのですが、どうも、「教えてくれればやります」的な志向の人がいるので、やむを得ず。

上司としては、自分の効率化テクニックを明文化し、さらにそれを実際にやらせて、効果を体感させて、それが普通に使えるように指導していくわけです。

短期的には、業務を減らしてやるという処方も必要になります。

■優先順位設定がちがう
部下は仕事の全体像が見えていない時が少なからずありますので、優先順位設定を間違えていることが少なくありません。

上で書いた「仕事量が多すぎる」にしても、今やらなくてもいいものは、やっても大して効果のないものにとりかかって時間をかけている場合や、仕事のアウトプットの品質をあげようとして、無駄に時間をかけているような場合もあります。

こういう時には、部下を呼んで、すべての仕事リストを上げさせ、「まずこれをやってこい」「次はこれをやれ」と細かく指示してあげるのが最も効果的です。
この時に、「〜時までに完了せよ」という指示はしてはいけません。「完了したらすぐに結果を持ってこい」と指示するべきです。でないと、ちょっと早めに終わると別の仕事を始めてしまいますので。
その結果をみて、「ここまでやる必要はない」とか、「もう少しここを深堀りしろ」とか、具体的な次のアクションを指示する事になります。

要は優先順位を上司が付けてしまうことです。

その結果、リストの後ろの方の仕事はやれなくなりますので、上司としては、それを誰かに振るか、「できなくてもいい」と腹をくくることです。

■自分の仕事だと思ってない
これは、仕事の能力が未熟な人や、いいぱなし癖のある上司の部下、コミュニケーションの悪い組織によくある原因。つまり、仕事の役割を理解していない。

これの対処方法はただひとつ。
上司が「これはオマエがやれ!」とはっきりと指示することです。
できたら、進捗MTGの際に、関係者の前でそれを宣言しましょう。曖昧な言い方は毒にしかなりません。

これを決めるのは上司の権限ですし、責任でもあります。

■タスクの分解ができてない
本記事でも時々書きますが、タスク(やらなければいけいない仕事)を行動に分解できない人がいます。
簡単にいえば、その仕事をどうやって完成まで持っていくかの、手順書をかけるかどうか試してみればいいです。

この仕事をやろうとした時に、まず、「右手を上げて」「左足を下げて」と具体的なアクションにまで落とせないと、仕事は結果にはできません。

あなたも記憶にあるでしょうけど、会社に入ったばかりの人は、「ちょっとこれコピーしてくれ」ということすらできません。
 ・コピー機はどこにあるのか?
 ・コピー機の操作方法は?
 ・コピー用紙ははどこにあるのか?
こんなことすらわからない状態から、ちょっとづつ先輩に指導を受けながらやってきたわけです。

こういった問題の対処方法は、だれかやれる人を付けて、手とり足取り教えて上げるようにすることです。
私は大体の場合、ベテランに「ちょっとこの仕事を教えて上げて」と指示します。注意点は、ベテランに「オマエがやるなよ!」と言っておくことです。
これを言わないと、ベテランは、自分がやったほうが早いので、「やっときました」で終わらせてしまいます。
でも、仕事の結果も必要ですが、そのプロセス(複数のアクションの塊)をだれでも出来るようにするというのも組織として必要なことです。

ですので、やり方を教えるというステップを加え、どういう状態になったら完成といえるのかを、その人に経験してもらう場を設けることが重要になります。

もちろん、だれも指導できる人がなければ、あなた自身が教えなければいけませんが。
posted by 管理人 at 00:00| Comment(0) | TrackBack(0) | マネジメント | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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