■生きるべきか死ぬべきか
シェイクスピア作「ハムレット」の有名な一節ですね。
どうも、何かを決める=決断という時に、この選択肢でしか考えない場合があります。でもよくよく考えると、何かを決めるときには、大別して4つの選択肢があるんですね。
・やる
・やらない
・あとで決める
・どうでもいい
実際部下から「これどうしましょう?」と相談を受けると、多くの責任者が、「やるかやらないか」で決めないといけない強迫観念にとらわれてしまうことが少なくありません。
私もどうしてもそう考えてしまう時があります。
とくに、何かのトラブルの時。
部下から「すみません、××で失敗してしまいました。どうしましょう?」と相談された時などです。
こういう時に、自分も一緒になってパニックになるのは管理職として「ちょっと」なのですが、やっぱりそうなる時もありますね。
自戒を込めて。
■いまは決めない
第3の選択肢が、「今決めなくてもいい」という解決策。
これには、
・直近被害は少ないまたは発生確率が低い
・判断するには情報が少ない
の2つのパターンがあります。
「今は決めない」というのは、結論を決めないということですが、アクションは決めなければいけません。
2つのパターンのうち、「被害や発生確率」の問題は、「じゃあいつまでに決める」を決めないといけません。その場で、リマインダに「××について判断をする」ということを決める必要はあります。
「永久に決めない」=「放置する」という結論もここに含まれます。
一方、「情報が少ない」というのは、今は決めなくとも情報収集はしないといけません。なので、
「今は判断できる状態にない。××と××の情報を集めるように」
と指示します。
ただし、これはリスクとの兼ね合いで、緊急度が高ければ、中途半端な情報でも、わかっていることだけですぐに判断する必要がある場合もありますので、総合的に情報を吟味するべきですが。
■どうでもいい
私もよく忘れるのが、この選択肢。
こんな話があります。
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戦前にイタリア大使やフランス大使を歴任した外交官に杉村陽太郎がいる。高等文官試験(いまの国家公務員試験) を受けたとさの挿話が伝わっている。
筆記試験で、やけにこまごました問題が出た。杉村は白紙で提出した。続く口頭試問でそのことを問われ、答えたという。
「私が外交官になったら、あんな問題は属官に調べさせます」
面接官はうなずき、杉村は合格した。
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物理学者で随筆家の寺田寅彦も
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ある問題に対して「ドーデモイイ」という解決法のある事に気の付かぬ人がある。何事でもただ一つしか正しい道がないと思っているからである。
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と言ったそうです。
私もその一人ですが。
子供の頃から習い性で、いつでも正しい答えを出さないといけない(そしてそれがかならずある)という強迫観念はなかなか抜けませんね。でも、世の中に唯一絶対の解などないことのほうが多いみたいです。そしてそれは自分や自分の所属する組織にとって大した影響がないのであれば、回答の選択肢に「どうでもいい」というのがあってもいいですよね。
■間違うことを恐れてはいけない
一番まずいのは、間違いを恐れて決断すべき時を逃さないこと。
あとで間違いだったと気がついたら、「ごめん、この前言ったのはチャラ!」と言ってしまえばいいと考えるほうが、建設的な結果になります。
部下から「え〜!今までの対策は無駄だったの!?」と責められても、「うん!馬鹿な上司でごめんね〜」と胸を張って言いましょう。
■参考図書
上記の引用は以下の本から引用しました。
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