■「わかりましたか?」と聞いてはいけない
上司やリーダーから何かの指示を受けたり、逆に後輩に指示をしたりした時に、
「わかった?」
「わかりましたか?」
などとつい聞いてしまいますが、この質問は質問になってません。
相手がどのように理解したのかを確認せずに、相手が理解したつもりになったかどうかだけを確認しているからです。
大事なのは、こちらの意図がちゃんと伝わったかどうかを質問することです。
■復唱をしてもらう
具体的にやることを指示したのであれば、
「今行ったことを復唱してみて」
と聞きます。たいていの場合は
復唱できません。
で、もう一度メモを取らせながら、指示を繰り返すわけです。
例えば、
「この資料を20部コピーして、それぞれをホチキスドメして、役員の座るべき席においてください」
という指示をした時に、
「ホチキスは天面に2箇所で止める」
「役員の座る席は××と××と××……」
「置くときは席の中央から座った人から見てちょっと右寄りに…」
などという具体的な指示を出さないと、上下逆さまにおいたりして、あとで恥ずかしい思いをすることになります。
で、「はい、今行ったことを繰り返していってみて」というと、「できない」わけです。
よく戦争映画などで軍隊の隊長が指示するときには、部下は言われなくても「了解!××して××します!」と当たり前のようにやってますが、これが間違いのない指示方法なんですね。
いつでもやれるわけではありませんが、なるべくそうするようにしています。
逆に、上司から指示を受けた時には、メモを取りながら「わかりました。××までに○○します」と復唱を必ずするようにしてます。
結局、人は自分の上司がそうしていれば、自然に(やむを得ず、かもしれませんが)真似するようになります。それが上司の価値基準だと判断するので。
■人は聞きたいことを聞く
心理学の本だったか、認知行動の本だったか忘れましたが、こんなセリフが書いてありました。
人は自分が見たいと思ったものを見て、聞きたいと思ったことを聞く
つまり、こちらの「言いたいこと」と相手の「聞きたいこと」は異なっているので、同じ言葉を使っても、相手によって、伝わるところと伝わらないことがあるわけです。
さっきの例で言えば、
「ホチキスで止めて」
という指示を受けたら、「側面にホチキスを打つ」と思う人もいるし、端に斜めにホチキスを打つと思う人もいるでしょう。
ましてや、「例の件、早くやってね」レベルの抽象的な話なら、「明日まで」と解釈するか「5分後」と解釈するかは、その人の都合によるわけです。
こちらの言った言葉を別の解釈をするだけならまだしも、言った事自体がすっぽり抜け落ちていて、
上司:「わかりましたか?」
部下:「はい。わかりました」
上司:「じゃあ今指示したことを復唱してみて」
部下:「へ?何か指示されましたっけ?」
なんてことも度々…
相手に「××までに○○します」と言ってもらうようにしましょう。
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