「孫子の兵法」はいろいろな本で触れられる事が多く、いくつかはサラリーマンにとっても意味のあるものがありますので、全面的に否定するつもりもありませんが、基本的にはサラリーマンが読む必要がないものというふうに位置づけてます。
すなわち、「孫子の兵法」は戦争(集団同士によるなにかの奪い合い)を指導するものが参考にするために書かれたものであって、イチ兵隊であるサラリーマンがどうこうできるものは少ないです。たとえば、孫子の兵法の冒頭は以下の様なものです。
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孫子日、兵者国之大事。死生之地、存亡之道、不可不察也。
故経之以五事、校之以計、而索其晴
戦争とは、国家の一大事である。人の死生を決める分岐点であり、国家の存亡を左右する道であるから、これを深く洞察しないわけにはいかない。だから、五つの事柄でよくよく検討し、七つの計で比較分析し、敵味方の実情を求めるのである。
(著) 『孫子・三十六計』
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これを読んでもわかるように、サラリーマンにとって「敵」とは誰で、「戦争」というのはどうするものなのかがすぐに思いつく人はそう多くはないと思います(私が思っているだけですが)。
それよりも、同僚とうまく協力しながら成果を出すようにしたほうがお互いにとってメリットがあります。
ましてや
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兵者脆道也。
戦争の本質は、「詭道(偽りの方法)」である。
(著) 『孫子・三十六計』
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なんて、相手を騙して自分だけが利益を得るようなマネをすれば、あとで手痛いしっぺ返しを食らうことは間違いありません。
しかし、経営者は違います。
経営者は、企業のトップとして、ライバル企業を蹴落としてでも利益を上げる義務があります。そのためにはだまし討ちもする必要がありますし、従業員(サラリーマン)を効率よく戦わせる方法も考える必要があります。非道なものです…。
ですので、経営者は常にこの孫子の兵法を(言明するかどうかは別にして)意識してます。だから、このたぐいの引用が多いんですね。
でもサラリーマンにはほぼ不要なものですよ。
ただし、経営者と話をするときには、経営者は「このくらい当然」と思ってますので、「知識」があるに越したことはありません。一般常識として孫子の兵法を読んでおきましょう。
どのくらいまで読めればいいかというと、上記で書いたように「原文(新漢字)」を「読み下し文」にできる程度で、あとは書いてあることがイメージできれば十分です。
そういう意味で、本書『孫子・三十六計』は全体像を知るのに良書だと思います。
■参考図書 『孫子・三十六計』
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●本書を引用した記事
「孫子の兵法」を実践してはいけない
知彼知己、百戰不殆
見勝不過衆人之所知、非善之善者也
孫子・三十六計
●このテーマの関連図書
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