2020年12月28日

確証のワナ




「確証のワナ」というのは、以下の本に紹介されている言い回しです。




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わたしたちはみんな、世の中の流れや自分の将来、今後の経済の状況、投資先の発展、仕事の成功など、あらゆることを推測しなければならない環境に置かれている。
予想せずに生活することはできない。だが、その予想があいまいであればあるほど、「確証のワナ」の影響を強く受ける。

「人間はもっとも優れた生物だ」と考えている人は、その考えが正しいことを示す証拠を見っけようとする。「人間はもっとも劣った生物だ」と考えている人も同じように、その証拠を見つけようとする。優越感に浸っている人も劣等感を抱いている人も、「反対の証拠」をフィルターにかけて取り除き、自分の考えが正しいことを証明する情報ばかりを手に入れようとする。

占い師も経済専門家も、同じ原則にしたがって行動している。往々にして、彼らの発言は非常にあいまいである。あいまいにすることで、予測がよく当たると思わせようとする。「数週間以内に悲しい体験をするでしょう」「中期的にドル安圧力が高まる」といったような、実際には何を意味しているのかわからないような表現を使うのだ。

こいつした状況を打破するにはどうしたらいいのだろうか? イギリスの文芸評論家、アーサー・キラー=クーチは、こう言っている。

「お気に入りを殺せ」、つまり「自分の好きな言葉や考え方を手放せ」という意味だ。響きは美しいが余計な言葉をだらだらと書き連ね、短ぐまとめるのに苦労している物書きにかフってつけのメッセージである。そしてクーチのこの言葉は、下手な物書きだけでなく、すべての人に当てはまる。

結論―「確証のワナ」と闘おう。世の中に対する考えをはじめ、結婚生活や健康やダイエットといったプライべートなこと、投資や出世のための手段など、どんなことでもかまわない。まず、自分の考えを書き出そいう。それから「反対の証拠」を探してみよう。お気に入りの考えを消し去るのはつらい作業だ。しかし、教養のあるあなたなら、それを避けては通れない。

ロルフ・ドベリ著  『なぜ間違えたのか
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これについては、ドラッカー初め様々な人がいろんな言い回しで注意喚起していますが、結構難しいですね。

要は、

 「多分こうだ」と思った時点で、それを補強するような情報ばかりがみえるようになる。そのうちに「多分」が「確実に」となり、最後は「絶対に」になってしまうんですが、実はそうではなかった。

という失敗を指しています。

これを回避するためには、

 反証を探せ

というのを義務化しないといけません。

それも、まだ「多分」と思っているうちに
なぜかと言うと、「確実に」とかいう段階になると、反証が見つかっても、「これは例外」「レアケース」とかいう言い訳を付けてしまいます。「例外」という言葉が明確に線引が出来るものではないので、そう思えばそれが事実として受け入れられてしまいます。




■説得するためには説得されない理由を探す


私がなにかのプレゼンをして、人に行動してもらおうと思うときには、プレゼン資料を作ったあとに、このチェックリストを使って確認をしています。

 1.原因→理由→根本原因でそれに反する事実を集めたか
   その事実はなぜ例外だと言い切れるのか
 2.対策が不適切な理由を考えたか
   その効果のメリット・デメリットを示せ
 3.全く逆の対策を立てる
   その対策が今の対策より悪手である理由を示せ
 4.これによってデメリットのある人はだれか、その理由はなにか

つまり、ある説得に対して反対する人は

 ・原因が真因ではない
 ・対策に効果が無い、またはうまくいかないリスクがある
 ・対策によって不利益を被る

のいずれかの理由で反対します。概ねそれ以外の反論は枝葉末節の問題ですので、割合簡単に論破できますが、この3つは正面突破するのは難しいです。ですので、これを言われても慌てないだけの準備が必要です。

 「この提案は完璧だ」

と思えば、問題点は発見できないんですね。でも実際には神ならぬ身の浅はかさ…。

問題点を発見するためには、「もし自分がこのプレゼンに突っ込むとしたら」という立場に置き換えて反対理由を探さないといけないということです。

このチェックリストを使うようになってから、プレゼンや討論の場で「まごつく」とか「アタマ真っ白」なんてことが少なくなったような気がします。




■参考図書 『なぜ間違えたのか





立ち読みできます立ち読み可
わたしたちはよく、誤った判断を下してしまう――。
自分を過小評価するよりも、過大評価することのほうがはるかに多い。
何かを手に入れるときよりも、失う危険があるときのほうが、はるかに素早く反応する。
このような傾向を知っていると、自分の行動がどんな間違いにつながるかを予測できるようになる。
本書ではそんな、誰もが陥ってしまう「思考の落とし穴」を52項目、ユーモアあふれるイラストとともに、切れ味鋭く解説する。
世界各国で話題となっているドイツ発のベストセラー、待望の邦訳!





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なぜ間違えたのか
著者 :ロルフ・ドベリ

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●本書を引用した記事
 確証のワナ
 ご褒美は日曜日に
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 「ものごとがうまく進まない」たった一つの理由
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 一枚岩チームに所属しない
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 最初からうまかったからプロになる
 見えているけど見えない反証を見なさい
 なぜ、間違えたのか?

●このテーマの関連図書


ライト、ついてますか―問題発見の人間学

畑村式「わかる」技術(講談社現代新書)

ブレイクスルーひらめきはロジックから生まれる





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