面接官をしていて、「この人なんだか積極性がないなあ」と思うことがあります。
最近その理由に1つ気が付きました。
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●主体性・自発性を疑われる受け身表現
われわれ日本人は、会話にも文章にも受動態(受け身)表現をよく使う。周囲に対して受け身の姿勢をとるのが好きなのかも知れない。気にする人は少ないが、自分のことを言う際の受動態表現は、発言や文章にネガティブな雰囲気をもたらす。
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欧米人が「私は税金をいくらいくら払った」と言うところを、日本人は「いくらいくら取られた」と言いがちである。前者には主体性があり、後者には被害者意識が潜んでいる。
就職試験の際、多くの学生は「A 社に落とされました。B 社にも落とされました」と言ってくる。「キミが落ちたのだ。落ちました、と主体的に言えるようになれ」と助言する。「C社に拾われた」「内定をもらえた」のでなく「内定をかちとった」との報告がくるのを期待する。
自己表現文の中で受動態表現を乱発して、主体性・自発性の乏しさを読み手に印象づける必要はない。学生諸君が何気なく使う受動態表現の例はいくらでもある。これは能動態の方がいいぞ、と赤鉛筆でよく印をつけたものだ。
森村稔(著) 『自己プレゼンの文章術』
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なるほどこれだったか!
■受け身表現、受け身単語
「×××をするように言われたので〜」「×××の指示を受けまして〜」
受動態文章もそうですが、受け身を表す単語もそうなんですが、全体に「積極性がない」印象を受けます。
「プロジェクトの方針を決定する際、メンバー全員に意見を聞くようにしたことで、後々メンバー内で揉めることがなくなりました。」
「○○○という施策を入れることで、□□□の結果になりました」
別に悪いことではないし、とくに否定することはありませんが、「意見を聞く」「〜になる」という単語が受動的な(積極的でない)印象を受けます。ほかにも「〜を受ける」とか「〜を得た」みたいなものもちょっと受動的な印象があります(私だけかも)。
「聞く」 → 「話す」
「〜になる」 → 「〜にする」
「〜を得る」 → 「〜をする」
「受ける」 → 「出す」「提示する」
のように表現すると積極的な印象が与えられるのではないでしょうか。
もちろん日本語独特の「謙虚さを表す表現」としての言い回しもあるでしょうが、自分をPRするときには、やはり積極的な印象を与えたいものです。
面接などの口頭でリアルタイムにやりとりするものは難しいかもしれませんが、自己申告書などに書く文章では、思いついた単語を書くのではなく、同義語をしらべて、積極的な印象を与える単語に置き換えると、「全体の雰囲気として」積極的な個性が伝わると思いますよ。
■自己プレゼンの文章術
本書を参考図書としてあげましたが、この本は履歴書や自己表現文(自己PR文)の書き方を学生相手に指導した実際を書いた本で、自己PRについて大変勉強になりました。もし就職面接などで、自己PRをする機会のある人は一度読んでみて損はない本です。
まだ読んだことがなければぜひ一度どうぞ。
■参考図書 『自己プレゼンの文章術』
文章を綴る目的は、人の心をどうつかむかということに尽きる。最も切実に、作文力を要求されるのは就職準備のときだ。その後のキャリアにおいても、そこで培われた作文力は応用できる。企画のプレゼンテーション、学校や職場での小論文テスト。挨拶や自己紹介の場合にも、作文で身につけた構成力と文章力は強い武器になる。著者は広告マンとして、また管理職として、そして大学や企業での講座の形で様々な作文の現場に立ち会ってきた。そこで得た豊富な実例(成功と失敗の体験)をもとに、テーマに応じた作文術のノウハウを解き明かす。◆アマゾンで見る◆ | ◆楽天で見る◆ | ◆DMMで見る◆ |
自己プレゼンの文章術 著者 :森村稔 | 自己プレゼンの文章術 検索 :最安値検索 | 自己プレゼンの文章術 検索 :商品検索する |
●本書を引用した記事
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文章のコツ1:接続詞の使い方で意味が変わる
自己プレゼンの文章術2
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結起承転結
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●このテーマの関連図書
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伝える力(PHPビジネス新書)
就活生のための作文・プレゼン術(ちくま新書)
若き友人たちへ―筑紫哲也ラスト・メッセージ(集英社新書515B)
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