2020年11月02日

選択肢を多くするとカスを選ぶ







■多数の選択肢は失敗のもと


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誰にでも、こういう経験があるはずです。

新しい仕事に就くと、たちまち山のような事務手続きに追われ、たくさんの重要な決断を迫られます。

退職金制度に加人するかどうかもその一つで、これは給与の一部を天引きして役資ファンドへ回し、後から支給を受けるという制度です。

加人を決めると、ふつうは、さまざまなプランのなかから自分に合ったものを選ぶことになります。

そのなかには税制上有利なものや雇用者による同額拠出など、たくさんの有益なオプションが用意されています。ところが、それを活用しようとしない人が大変多いのです。

なぜでしようか。どうやら会社の用意した選択肢が多すぎることが、加人する意欲を失わせてしまっているようなのです。

ロバート・B・チャルディーニ(著) 『影響力の武器実践編―「イエス!」を引き出す50の秘訣
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あなたの会社では「確定拠出年金制度」を使ってますでしょうか。
ウチの会社では2001年に導入された時からスタートしてますが、最初は何のことやらさっぱりわかりませんでしたね。で、無難なところで、全額元本確保型を選んでしまって、このアベノミクスで「しまった〜。株式(投資信託)を選んでおけばよかった(T_T)」などとなったりして。

その理由はこの部分を読んで「ピン!」と来ました。

 選択肢が多いと人は選べなくなる

というわけです。

同じ考え方は保険の勧誘などでも見られます。

保険会社が扱っている保険商品は実はものすごく多くあります。ところが「○○さんへのオススメ」とかで書いてあるのは多くて3種類。それも「松竹梅戦略」です。全くうまいもんだ。




■仕事で活用する


たとえば何かの課題を解決するのに、アイディアマンのあなたはいろんな解決策が思いつくかもしれません。でも、それの全部をリストにして、上司に「さあ、どれがいいですか?」とやってもあなたは評価されません。

いつも本記事で、「1つの課題に対して10個以上の対策案を出せ!」とか書いておきながら、「出した対策案を人に見せるな」とはずいぶんな書きようなのですが、これホントなんですよ。人に見せるときには、

 松 : すごくいいアイディアだけどカネも時間もかかる
 竹 : まぁそこそこのアイディアで、割と安く、短期間でできる
 梅 : すぐにできるけど効果は限定的

で示すと、大概「竹」が選ばれます(これも心理法則のひとつ)。

ただし、「竹」で示される対策案は「上司の好みにあったもの」であることが必要。でないと、上司から「考え方が足らん!」と突き返されます。
たとえば、上司が「きっちり根本原因を突き詰めて課題対応をしたい」タイプの人であれば、徐々に「松」に持っていくような段階案を作る必要があるでしょうし、即効性を大事にするタイプなら、「梅」を「竹」の位置に持ってくるのがいいです。

この辺りは上司次第で柔軟に考える方がいいです。
それがあなたの好みに合っているかどうかは考慮してはいけません。上司の好みに合わせることが重要です。

あなたがどうしても自分の好みでやりたいときには、上司をそちら側に誘導する方法もあります(別記事で書きましたので探してみてください)が、ムリをせずにあなたが決定権を持ってから自分の好みで解決策を検討するようにしたほうが無難です。

ムリをして上司に睨まれるリスクを犯す必要はありません。

■過ぎたるは…


最後に上記の『影響力の武器:なぜ、人は動かされるのか』ではこんな言葉で締めくくられています。

★――――――――――――――――――――――――――

人生は、いろいろな変化が起きることでおもしろくなります。でも、あまりにたくさんの変化が目の前にせまってきても困ってしまいます。過ぎたるは及ばざるがことしです。

ロバート・B・チャルディーニ(著) 『影響力の武器実践編―「イエス!」を引き出す50の秘訣
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まったく仰るとおり…




■参考図書 『影響力の武器:なぜ、人は動かされるのか




人が「イエス」という仕組みを心理学を使って科学的に分析し、実際に応用可能なレベルにまで高めた本。
社会心理学者の口バート・ B ・チャルディーニ氏は、宗教や悪質なセールス、募金の勧誘、広告主などありとあらゆる「承諾誘導」の専門家の手口を研究し、彼らの手口は基本的に 6 つの力テゴリーに分類できることをつきとめた。心理学の専門書であるが、ビジネスからプライべートまでその応用範囲は極めて広い。
現在の心理学を応用した仕事術、交渉術、会話術などの本のほとんどすべてがこの本に書かれている。





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影響力の武器:なぜ、人は動かされるのか
著者 :ロバート・B・チャルディーニ
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●関連 Web
 影響力の武器:なぜ、人は動かされるのか』の[第三版] - マインドマップ的読書感想文
 影響力の使い方講座 - ダイレクト出版
 影響力の武器とは?説得するときにはこれ - DCC用語集
 影響力の法則 影響力の武器 - YouTube
 影響力の武器:マネジャーとしての影響力は、どうすれば発揮できるのか?-Bizトレンド

●本書を引用した記事
 昇進面接質問のブレークダウン
 面接質問:あなたはどのように反対意見を求めていますか?
 腰を使え
 記憶術:視点を変えて繰り返す
 「自分も賛成です」で終わらせない
 考えは伝えられない
 どうしようもないムダな会議がある理由
 仕事で使える心理学1:詳細目次
 影響力の武器
 仕事で使える心理学4:ポイント抜粋―ストレスに対応する

●このテーマの関連図書


影響力の武器実践編―「イエス!」を引き出す50の秘訣

影響力の武器戦略編:小さな工夫が生み出す大きな効果

プロパガンダ―広告・政治宣伝のからくりを見抜く

シュガーマンのマーケティング30の法則お客がモノを買ってしまう心理的ト…

影響力の武器コミック版

ザ・コピーライティング―心の琴線にふれる言葉の法則






■参考図書 『影響力の武器実践編―「イエス!」を引き出す50の秘訣




人が「イエス」という仕組みを心理学を使って科学的に分析し、実際に応用可能なレベルにまで高めた本。
社会心理学者の口バート・ B ・チャルディーニ氏は、宗教や悪質なセールス、募金の勧誘、広告主などありとあらゆる「承諾誘導」の専門家の手口を研究し、彼らの手口は基本的に 6 つの力テゴリーに分類できることをつきとめた。心理学の専門書であるが、ビジネスからプライべートまでその応用範囲は極めて広い。
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著者 :ロバート・B・チャルディーニ
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●関連 Web
 影響力の武器:なぜ、人は動かされるのか』の[第三版] - マインドマップ的読書感想文
 影響力の使い方講座 - ダイレクト出版
 影響力の武器とは?説得するときにはこれ - DCC用語集
 影響力の法則 影響力の武器 - YouTube
 影響力の武器:マネジャーとしての影響力は、どうすれば発揮できるのか?-Bizトレンド

●本書を引用した記事
 面接質問:あなたはどのように反対意見を求めていますか?
 仕事で使える心理学1:詳細目次
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 多面的交渉術をトレーニングする「ピラミッド交渉力」
 仕事で使える心理学3:ポイント抜粋―リーダーにとって必要なこと
 仕事で使える心理学2:ポイント抜粋―判断に影響する心理
 魅力的な名前をつける
 やる気が出る11のヒント
 失敗は正確に報告する

●このテーマの関連図書


影響力の武器戦略編:小さな工夫が生み出す大きな効果

影響力の武器[第三版]:なぜ、人は動かされるのか

予想どおりに不合理行動経済学が明かす「あなたがそれを選ぶわけ」増補版

影響力の武器[第二版]―なぜ、人は動かされるのか

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