なかったですか?
ま、時代が違うのかも。
学校で習字を習うといきなり墨汁に筆を付けて字を書いてみるとやるのですが、市井の習字塾に行くと別のことから始まります。
■字がうまくなる方法
まず、机の前に正座をさせられます。しばらく黙祷。心を落ち着けます。
それからゆっくり墨をすり始めます。
1回1回気持ちを込めて。
まわりからも墨をする音だけが聞こえてきます。
静寂の世界
そして、ようやく筆に墨をつけて、半紙に横一本線を引きます。
引けたら、その下にもう一度横一本線。
また横一本線。
さらに横一本線。
半紙を何枚も何枚もただひたすらに横線を引いていきます。
だいたい1時間。
先生が合図をしたらようやく終わりです。
道具を片付けて、終わりです。
次の練習でもこの繰り返しです。
これが習字がうまくなる唯一の方法です。おそらくどこの習字塾に行っても同じだと思います。
相田みつを氏のようなちょっと崩れてるけどかっこいい文字が書きたい。
でっかい筆を使って、畳何畳分もある文字を書きたい。
大河ドラマのタイトルを書きたい。
だいたいそんな妄想をしながら習字塾に来たのに、来る日も来る日も一本線。
■あらゆる能力を身に付ける方法
巨大なビルは、基礎工事をしっかりしないと立ちません。
私は建築の専門家ではありませんが、その程度は理解できます。
でも実際に大きなビルである素晴らしい能力を手に入れるのに、本に書いてあることを読んだだけで手に入ると思いがちです。
でもそこで手に入るのは知識であって、能力(スキル・技術)ではありません。
この一連の記事でご紹介しているものは、私の能力ではあっても、これを読んでいるあなたにとっては単なる知識のひとつです。
それを実際の場面で使えるようにするためには、
その基礎となることをやってみて
それを繰り返しやってみて
さらに継続してやり続けて
始めてできるようになるものです。
つまり、あらゆる能力を手に入れるためには、
ひたすら一本線を引く
ことを飽きずにやり続けることができれば、どんな能力でも手に入れられるということです。
どんな種類の筆が、どんな文字を書くのに適していて、どのように柔らかく、吸水性がいいのか。それは単なる知識です。本を読めばわかります。
でも
知識があっても、美しい字は書くことができない
美しい字が書けなければ、あなたは人に評価されることはない
たったそれだけのことです。
知識を能力に昇華するたった一つの方法は、とにかく基礎訓練から実用的な方法まで
繰り返しやってみて振り返ること
です。
あなたの手に入れたい能力は何でしょうか?
それを手に入れるためにどんな基礎訓練を毎日やってますか?