2021年01月04日

読みやすい文章は句読点と意味分節がうまい





ちょっと以下の昔話(ももたろう)を読んでみてください。




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むかし、むかしあるところに、おじいさんと、おばあさんがすんで、いました。

ある日おじいさんは、山へ芝刈りにおばあさんは、川へ、洗濯に行きました。
おばあさんが、川で洗濯をしていると大きな桃が、どんぶらコッコとながれて、来ました。
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こちらもどうぞ

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むかしむかし、あるところに、おじいさんとおばあさんがすんでいました。

ある日、おじいさんは山へ芝刈りに、おばあさんは川へ洗濯に行きました。
おばあさんが川で洗濯をしていると、大きな桃がどんぶらコッコとながれて来ました。
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ただ句読点の位置を変えただけですが、後者のほうが読みやすかったのではないでしょうか。

注意したいのは

 意味の区切り

です。

次は、朝日新聞の社説の引用(元はこちらから)




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広島市北部の土砂災害で多くの犠牲者が出た。広島県では15年前、32人が犠牲になる豪雨があり、国が土砂災害防止法を制定するきっかけになった。その教訓が生かされなかったことは痛恨の極みだ。

今回、土砂が崩れた場所の多くは、法に基づく警戒区域に指定されていなかった。広島市が避難を勧告したのは災害発生後。現場では二次崩壊が起き、消防署員が亡くなった。

なぜこんなことになったのか。徹底した検証が必要だ。

積乱雲が急に発達し、1時間100ミリを超す猛烈な雨になったのは未明だった。とはいえ、土砂災害は、累積の降水量が大きく影響する。広島市では今月上旬以降、降水量が平年の3倍強。豪雨がピークを迎える前に、気象台から土砂災害警戒情報は出ていた。
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これの改行位置をちょっといじってみます。

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広島市北部の土砂災害で多くの犠牲者が出た。
広島県では15年前、32人が犠牲になる豪雨があり、

国が土砂災害防止法を制定するきっかけになった。その教訓が生かされなかったことは痛恨の極みだ。今回、土砂が崩れた場所の多くは、法に基づく警戒区域に指定されていなかった。

広島市が避難を勧告したのは災害発生後。現場では二次崩壊が起き、消防署員が亡くなった。なぜこんなことになったのか。徹底した検証が必要だ。積乱雲が急に発達し、1時間100ミリを超す猛烈な雨になったのは未明だった。とはいえ、土砂災害は、累積の降水量が大きく影響する。広島市では今月上旬以降、降水量が平年の3倍強。豪雨がピークを迎える前に、気象台から土砂災害警戒情報は出ていた。
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ちょっと引用が短いので分かり難いかもしれませんが、後者のほうが読みにくかったのではないでしょうか。
※文章は全く変えていません。

■意味で区切る


読みにくかった理由が、

 文章を読んで理解するときに意味のブロックで記憶している

という人の特性があります。いわゆる「チャンク」というのを作ってるんですね。

このチャンクを作る手がかりが、文章の塊なんですよ。
塊というのは、パッと見て文章がひとかたまりに見える単位。つまり、行で言えば空白行。1行の中で言えば句読点が塊を作るための空白を作ってるんですね。

このため、句読点や改行(空白行)が変な位置に置かれると、同じ文章でも短期記憶が混乱して意味が取りにくくなります。

だからと言って

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広島市北部の土砂災害で多くの犠牲者が出た。広島県では15年前、32人が犠牲になる豪雨があり、国が土砂災害防止法を制定するきっかけになった。その教訓が生かされなかったことは痛恨の極みだ。今回、土砂が崩れた場所の多くは、法に基づく警戒区域に指定されていなかった。広島市が避難を勧告したのは災害発生後。現場では二次崩壊が起き、消防署員が亡くなった。なぜこんなことになったのか。徹底した検証が必要だ。積乱雲が急に発達し、1時間100ミリを超す猛烈な雨になったのは未明だった。とはいえ、土砂災害は、累積の降水量が大きく影響する。広島市では今月上旬以降、降水量が平年の3倍強。豪雨がピークを迎える前に、気象台から土砂災害警戒情報は出ていた。
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みたいにあまりにも長い塊を作られても読む気が起きませんよね。

読みにくい人の文章は、こういう風に書かれていることが少なくありません。

■話し言葉は、発音と間で決まる


話し言葉の説得力は、発音がいいことと、文章の間のとり方(句読点・空白行に相当)でかなりの割合決まります。

単調に原稿を読んでいる人は眠くなるけど、スティーブ・ジョブズが同じ文章を話すと、ギンギンに聞きたくなるんですよ。

発音が悪いと「シャチョー」が「車長」に聞こえたり「斜塔」に聞こえたりします。
聞いている人はそのたびに、文脈を解析してその単語を特定していかないといけないわけです。そうすると言葉は流れていってしまうので、次の言葉を聞き漏らしたりして、結局全体で何がいいたいかを把握し損なうことになるんですね。

アナウンサーはただ単に原稿を読んでいるだけですが(最近はそうでもないみたいですが)、知的に見えますよね。
滑舌のためのトレーニングをちゃんとしているから、というのも理由のひとつではないかと思います。


 意味のかたまり(チャンク)ごとに文章や発言を区切る

注意して使うと、「知的な」という評価がもらいやすくなります。
※別にボイストレーニング教室の回し者というわけではありませんが、一度でもボイストレーニングを受けたことがあれば、その違いは実感できると思います。

適切な句読点で区切るトレーニングをしましょう。
トレーニングには他人(私レベルではなく文筆業の人)の書いた文章を句読点の置き方に気をつけて読んでみる、自分ならこうすると考えながら書いてみるのが一番の近道です。



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