2019年05月13日

部下はストーリー分析で育成する




もしあなたが、誰かの教育指導をする必要があるなら、

 「この判断はダメ。なぜなら〜」
 「○○をしなさい。これをすることで△△が得られるから…」

のように話をするよりも、若者が伸びる話し方があります。




■本になる成功ストーリーより隣の人の失敗談


よく成功本には、その人がどのようなことをした結果どれほどすごい成功をしてそれが現在のその人の地位や成果に結びつけているかが書いてあります。
私もこういう本を時々読みます。ただ、実際の仕事においてあまり役に立ったという記憶がありません。

「どうしてかな?」と考えると、どうやら状況が違いすぎるからみたいです。
つまり、

 ・任天堂のファミコンの企画をした
 ・法王にコメを食べさせた
 ・松下電器を創業した

なんて経験が「たかがイチサラリーマン」の仕事の役に立つわけがないです(物事への取り組み方や考え方は参考になりますよ、もちろん)。

それよりも、すぐ隣りの先輩が

 ・上司からこんな無茶ぶりをされたけど何とかやり遂げた
 ・生産ラインに新しい設備を導入できた

とかいう話のほうが、「自分にもできそう」「自分にもありえそう」と思わせるわけですね。

さらにそれが失敗談だったりするとすごく印象に残るわけです。
※物の本によると、人間は成功より失敗の方をよく記憶するそうです。




■物語記憶は単発記憶より長期記憶になりやすい


理由はよくわかりませんが、以前の記事記憶力を高めるでご紹介したように

  ・青
  ・スプーン
  ・象
  ・パソコン

をおぼえておくのに、これを単純に記憶しようとするのではなく、

 「青いスプーンを咥えた象がパソコンの上で踊っている」

みたいにしたほうが記憶に残りやすいらしいです。さらに記憶に残りやすいのは、物語にすること。たとえば、「ももたろう」の話しならほとんどの人が語れるでしょう。
でもこれが、

 ・おじいさん
 ・サル
 ・鬼ヶ島
 ・芝刈り
 ・きびだんご
 ・洗濯
 ・キジ
 ・桃
 ・おばあさん
 ・桃太郎
 ・イヌ
 ・鬼

と並んでいるものを覚えなさいと言われたらきっとムリです。

記憶に残れば、それを応用することもできるようになるわけです。
ただし、記憶に残るような物語を作るためには、その場の勢いで話してはダメです。あるストーリーを構築するためのコツが有ります。

ここらへんは本日のお題ではないので、以下の本を参考にしてください。
また機会があればご紹介します。

  クリストファー・ボグラー著 『神話の法則』

■原因を分析させる


教育という目的を考えると、単に記憶に残っただけでは大して意味はありません。単に知っていることで終わらせないようにしないといけません。
問題は

 なぜそうなったのかを分析させる

ことです。自分の経験を『神話の法則』にそって語り、

 「こうなった原因は何だったと思う?」
 「今の君なら理由と対策はわかるよね?」

と相手(教育しようとする人)に質問することです。そうすることでその人が自分の知識・経験と今の物語を組み合わせて答えを出そうとします。それではじめてその人の血肉になるわけです。

ただ、一つ一つのエピーソード(物語)を語ろうと思うと時間がかかります。いつもいつもエピソードを語っているわけにもいきませんね。
ですので、一緒に飲みに行った時とか、ちょっと雑談をする時とかに手短に物語を語り、考えさせたり議論したりすることです。

こういうのは、集合研修とかが適切なのかもしれませんが。

私は大体一緒に飲みに行くと「ちょっとだけ失敗物語」というのをやるようにしてます。
意外と覚えている人が多いですので、その後に雑談しながら、「そういえばあの時○○の話をしたよね。きみならどうする?」と質問するようにしてます。
つまり2回に分けて話をするようにしてます。

これができるようになるためには、自分のエピーソードをたくさん持っていないと、その人の状況に合わせた成功談・失敗談が出てきません。
これは、日誌をつけると案外記憶に残って、整理がしやすいです。

もう一つ、社内メルマガを利用するという方法を使ってます。
私は毎週自分の思ったことや仕事のヒントなどをメルマガにして部下に発信しています。
このメルマガの中で、エピソードやそれから得られた教訓などを語ったりしてます。

もし、自分の部下を持っている方は、こういうやり方もひとつの方法なのではないかと思います。
ただし、1年位は続けないと「飽きっぽいなぁ」などと思われてしまうので要注意。




■参考図書 『青い象のことだけは考えないで





立ち読みできます立ち読み可
思考を変えれば、一瞬で幸せになれる。
満足したり、幸福を感じたりするのは、頭の中の状態に左右される。あなたが何を考えるのかということが、健康や人生の充足感に決定的な影響を与えるのだ。
本書であなたを“思考の世界"へと誘うのは、ドイツでマインド・リーダーとして活躍するトルステン・ハーフェナーと、医師で健康のエキスパートであるミヒャエル・シュピッツバートだ。
医学博士による思考についての医学的な考察とマインド・リーダーの体験を組み合わせながら、思考を自由にするためのトリックやメソッドを紹介する。






◆アマゾンで見る◆◆楽天で見る◆◆DMMで見る◆

青い象のことだけは考えないで
著者 :トルステン・ハーフェナー

青い象のことだけは考えないで
検索 :最安値検索

青い象のことだけは考えないで
検索 :商品検索する



●本書を引用した記事
 部下はストーリー分析で育成する
 面倒くさくする
 「しない」はできない
 アナログマーキング
 一歩前に踏み出す金言
 ミッションステートメントを作る
 「しない」はできない

●このテーマの関連図書


俺たちの「戦力外通告」

心を上手に操作する方法

心を上手に透視する方法





■同じテーマの記事

記憶術:周辺情報を追加する

何かを記憶しようとするとき、そのことだけでなく他のことも合わせて記憶しようとするといい場合があります。人間の脳は、あらゆることを関連付けで覚えているそうです。したがって、離れ小島のようなピンポイント記憶は難しいんです。周辺記憶「周辺情報」を追加してみる記憶するときには、情報を絞り込んだほうが有利です。 5 つ覚えるより、ひとつ覚えるほうが簡単だからです。しかし、記憶の..

部下はストーリー分析で育成する

もしあなたが、誰かの教育指導をする必要があるなら、「この判断はダメ。なぜなら〜」「をしなさい。これをすることでが得られるから…」のように話をするよりも、若者が伸びる話し方があります。本になる成功ストーリーより隣の人の失敗談よく成功本には、その人がどのようなことをした結果どれほどすごい成功をしてそれが現在のその人の地位や成果に結びつけているかが書いてあります。私もこういう本を時々読みます。ただ、実際の仕事..

不快な状況を受け入れない

交渉事には心理操作はかならず必要になります。活用して有利な交渉を進められるに越したことはないですが、それを知っているだけでも、不利な交渉を避けることができるようになります。過去記事でも交渉術や心理操作について書いてきましたが、単なる知識だけでもいいので持っておくと、自分が不利な状況に持っていかれることはないでしょう。交渉を有利に進めるために準備すべきこと交渉を有利に進めるためには、環境整備が必須です。その第一歩は、..

アイディアは数字で表す

先週は我が社の提案強化週間でした。なにをするかというと、「みんなで、会社の改善の提案をしよう」という活動。部門で提案件数が集計されて、それで部門の評価が決まります。提案した個人に対しては、1件につき××円。優秀な提案については別途金一封。部門のマネージャとしては、結構プレッシャーがありますので(部門の責任者会で結果が発表される)、頑張って提案を出してもらえるよう促進するのですが、なかなか提案がでない。「改善するポイントなんていくらでもあるだろう」と思うのですが、その..

考えるときにはペンを持つ

私は、「考える」という作業をするときには、ノートを広げて3色ボールペンで何かを書きつけることが多いです。もちろん、手が止まっていることはよくありますが、ボールペンを離すのは、考えることをやめた時。天井に相談してました特許の出願件数が社内でトップを取ったことがあって、その表彰のときに、「君は特許を考えるときはどんなことをしているね?」と聞かれたことがあります。そのときには、「天井と相談してます」と答えた記憶があります。その頃は、ひとりで何か考えるときは、..




posted by 管理人 at 04:18| Comment(0) | TrackBack(0) | 仕事術 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
コメントを書く
お名前:

メールアドレス:

ホームページアドレス:

コメント:


この記事へのトラックバック