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およそ半世紀前、広告代理店のドイル・デイン・バーンバック社(以下、DDB社)は、アメリカの自動車市場に小型ドイツ車を売り込むという難題に直面しました。
当時のアメリカ市場は大型の国産車ばかりが幅を利かせており、目標の達成は不可能に思えました。しかしそれからわずかのうちに、笑いの種にされるほどばっとしない存在だったフォルクスワーゲン・ビートルは大人気になり、ステー夕スシンボルへと変貌を遂げたのです。
このビートルの成功は、広告史に残る優れたキャンペーンを計画した DDB 社に負うところが大きかったといえます。恐らく一番の驚きは、同社のこの課題に立ち向かった方法です。すなわち DDB 社は、ビートルのブランドの宣伝では、比較的手頃な価格や燃費のよさといった長所を強調せずに、その短所を強調したのです。なぜ、そのような事をしたのでしようか。
この広告キャンペーンは、当時の業界の常識をまさ覆すものでした。というのは、フォルクスワーゲンにはその時代の典型的なアメリカ車のような見た目のよさは全くないという事実に、あえて焦点を当てたからです。広告の見出しには、「不格好なのは見た目だけです」「ずっと不格好なままでいい]といった類の文句が使われました。
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実は、商品の小さな欠点に敢えて触れることで、その企業は誠実で信頼できるというイメージが生まれるのです。それによって、商晶の真の長所、ビートルでいえば燃費のよさや手頃な価格といった点を売り込む際の説得力が一段と増します。
同じように、世界第一位のレン夕カー会社エイビスにも、この原則を利用した「エイビスはナンバーツーです。だから頑張っています(ナンバーワンではないので)」ごという印象に残るキャッチフレーズがあります。ほかの例としては、「リステリン―嫌いな味でも一日二回」「ロレアル―高価ですが、あなたにはその価値がある」などです。
ロバート・B・チャルディーニ(著) 『影響力の武器:なぜ、人は動かされるのか』
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面接の時にもこの心理効果は応用することが可能です。
つまり、小さな欠点を挙げることで、長所をより目立たせることができます。
■「あなたの特徴(長所と欠点)を教えて下さい」
面接では定番の質問ですね。
このときに、自分を売り込もうとして長所だけをいう人は、面接官の心理として「ん? 気をつけたほうがいいぞ」という警戒心が生まれます。
「嘘を付いている」とまでは思いませんが、「なにか隠している」かのようにちょっと警戒してしまうんですね。
いままでかなりの回数の中途面談をして来ましたが、ここに注意して自分の長所と欠点を発言した人はあまりいなかったように思います。
※私がそう受け取っただけでご本人は注意して説明したつもりだったのかもしれません。悪しからず。
「私の長所は○○でして、それが悪い方に出ると××のようになります」
大概の人がこのように回答されます(仔細は色々バリエーションがありますが)。
つまりある特性はいい面と悪い面の両方を持っているので、実例を交えて説明するのにすごく簡単なんですね。
そんなことは、実務や人間関係の経験値の高い面接官なら言われなくてもわかります
それを長々と説明されると途中で遮りたくなるんですけど、他の人は違うのでしょうか?
特徴を聞きたいのだから、複数の特徴を上げて、その中でいろいろな面を説明してもらったほうが、その人をつかみやすいですね。
「私は現在の職場では短気な方だと思います。また物事を楽観的に捉える傾向があります。これがいい方向に出ると〜」
のように複数の自分の特徴を上げ、それが具体的に良い結果につながった場合、失敗した場合などに分けられると、「正直に全体を発言している」という印象を受けます。
また、本書のように長所やアピールポイントだけを挙げるようなやり方では発言に信用が得られないので、短所もしっかりアピールする発言を考えたほうがいいですね。
■参考図書 『影響力の武器:なぜ、人は動かされるのか』
人が「イエス」という仕組みを心理学を使って科学的に分析し、実際に応用可能なレベルにまで高めた本。社会心理学者の口バート・ B ・チャルディーニ氏は、宗教や悪質なセールス、募金の勧誘、広告主などありとあらゆる「承諾誘導」の専門家の手口を研究し、彼らの手口は基本的に 6 つの力テゴリーに分類できることをつきとめた。心理学の専門書であるが、ビジネスからプライべートまでその応用範囲は極めて広い。
現在の心理学を応用した仕事術、交渉術、会話術などの本のほとんどすべてがこの本に書かれている。
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●関連 Web
『影響力の武器:なぜ、人は動かされるのか』の[第三版] - マインドマップ的読書感想文
影響力の使い方講座 - ダイレクト出版
影響力の武器とは?説得するときにはこれ - DCC用語集
影響力の法則 影響力の武器 - YouTube
影響力の武器:マネジャーとしての影響力は、どうすれば発揮できるのか?-Bizトレンド
●本書を引用した記事
お世辞も言わねばサラリーマンは務まらない
魅力的な名前をつける
人を動かす:相手の話を聞くときには手を止めなさい
やる気が出る11のヒント
文章のコツ6:同じ言葉を使う
論理的資料作成術:2つの観点で書くと説得力がでる
ミラーリング交渉術
問題は過ちであると認める
失敗は正確に報告する
「なぜなら」を口癖にする
面接で短所をアピールする
面接質問:あなたはどのように反対意見を求めていますか?
千里の道も一歩から
選択肢を多くするとカスを選ぶ
提案の採用率を上げる「社会的証明」
出張・旅行でおみやげを買ってくる
昇進面接質問のブレークダウン
影響力の武器
命をかけるに値するかを考えて議論に持ち込む
人を動かす:人を説得する原則3:自分の誤りをただちにこころよく認める
影響力の武器:論理的な判断は冷静な頭脳から
人を動かす:人を説得する原則3:相手が即座に「イエス」と答える問題を選ぶ
影響力の武器:冷静さを失わせることで自分の意見を通す方法
人を動かす:「イエス」と答えられる問題を選ぶ
人を動かす:1ガロンの苦汁よりも1滴のはちみつのほうが多くの蝿が取れる
人を動かす:人を説得する原則2:相手の意見に敬意を払い、誤りを指摘しない
人を動かす:人を説得する原則1:議論に勝つ唯一の方法として議論を避ける
相手を挑発して決断を誘導する方法
人を動かす:心のなかに欲求をおこさせる
人を動かす:人に好かれる原則6「重要感を与える―誠意を込めて」
人を動かす:人に好かれる原則5「相手の関心のありかを見ぬいて話題にする」
感情的になっているときの決断を避ける
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ポイントカードテクニックで仕事を頼む方法
提案は松竹梅でする
人を動かす:相手の心のなかに強い欲求を起させること
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