仕事では「論理思考」が重要視されます。
論理思考とは、単純に言えば論理的に物事を考えるという力なのですが、論理的に具体的に考えると言っても、何が論理的なのかというと意外と曖昧です。
もちろん、それがMECEなのかとか、論理的接続関係が必要十分条件になっているのかなど見るべきポイントはありますが、ひとつ見かけ上、論理的に見られるコツがあります。
■「理由を言う」
カチッ・サー効果という心理学上の効果をご存知でしょうか。
本記事を前から読んでみえる方は、過去に紹介したことがあるのでご記憶にあるかもしれませんが、
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心理学者のエレン・ランガー(Ellen J. Langer) が実験をおこなった。被験者がコピー機の順番待ちの列の先頭へ行き3通りの言い方で頼む。
1.要求のみを伝える:
「すみません、5(20)枚なのですが、先にコピーをとらせてもらえませんか?」
2.本物の理由を付け足す:
「すみません、5(20)枚なのですが、急いでいるので先にコピーをとらせてもらえませんか?」
3.もっともらしい理由を付け足す:
「すみません、5(20)枚なのですが、コピーをとらなければいけないので先にコピーをとらせてもらえませんか?」
枚数が5枚の場合、要求のみのときの承諾率は60パーセントであるのに対し、本物の理由を付け足したときの承諾率は94パーセントであった。しかし、もっともらしい理由を付け足したときでも、承諾率は93パーセントに達した。
枚数が20枚の場合、要求のみのときの承諾率は24パーセントであるのに対し、本物の理由を付け足したときの承諾率は42パーセントであった。もっともらしい理由を付け足したときの承諾率は24パーセントにとどまった。
人に何かを頼む時に単に「○○してもらえますか?」と言うよりも「○○なので、○○してもらえますか?」と理由をつけると承諾されやすい。ささいな頼みごとの場合は、頼みごとの内容とあまり関係のない理由、こじつけでも承諾されやすい。
Wikipedia-カチッサー効果
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これは、(多分)元々はロバート.B.チャルディーニ 『影響力の武器:なぜ、人は動かされるのか』 で紹介された心理効果です。
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ちょうど、動物の中にあるテープレコーダーに行動バターンが録音されているようなものです。ある場面が求愛を必要とすると、求愛のテープが再生されます。別の場面がマザリングを必要とすると、母親としての行動のテープが再生されます。「カチッ」とボタンを押すとその場面に適したテープが動き出します。そして「サー」とテープが回って、一連の標準的な行動が現れるのです。
ロバート.B.チャルディーニ 『影響力の武器:なぜ、人は動かされるのか』
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「〜なので○○させてください」というのはすごく効果があるんですね。
どういう効果というと、「○○をする」ことに対する納得感です。
ビジネスで言えば、
論理的である → 納得する
というのが一般的なのですが、
自分が納得する → 相手の言ったことが論理的である
という後付の理由も自動的に考えてしまうわけです。
■「なぜなら」を連発する
「○○○は△△△です。なぜなら、△△△は□□□なのです。」
こういう言い方は、その発言者を論理的だと思わせる効果があります。
「コピーの順番を私に譲るべきです。なぜなら、私はコピーすることを必要としているからです」
文章に書かれると「ふざけるな!ボケ!」といいたくなりますが、音声で受け取るとこれが結構有効なのは、上記の実験から明らかですね。こういうのを連発する人間は、論理的な人であるという印象をつけることができます。
所詮、人は表面的なことでしか他人を判断していません。
話している内容なんて、「ま、オレの人生に影響するわけでもなし…」くらいにしか聞いてません。
とにかく、センテンスの繋ぎ目に「なぜなら〜。なぜなら〜。なぜなら〜。」と連発してください。「なぜなら」のあとに前に行ったことの理由をいう必要はありません。別の話でも十分。
理由なのか別の話なのかはどうでもいいんです。
■余談
同じく、心理学的効果で音量も関係するそうです。
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マサチューセッツにあるプランダイス大学のジャネット・ロビンソン博士の実験結果を紹介しよう。
2人の男が会話している音声をテープに録音し、被験者に聞かせる実験をこなった。この時、テープを再生する音量を70デシベルと75デシベルに分けて聞かせた。ちなみに5デシベルという音量の差は人間の耳ではほとんど区別がつかないレベルのものである。
しかし、被験者たちは75デシベルのテープのほうが「論理的で説得力がある」と答えたのだ。
内藤誼人 『話の面白い人、下手な人の心理法則』
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所詮、論理的かどうかの印象なんて、こんなものですよ。
■参考図書 『影響力の武器:なぜ、人は動かされるのか』
人が「イエス」という仕組みを心理学を使って科学的に分析し、実際に応用可能なレベルにまで高めた本。
社会心理学者の口バート・ B ・チャルディーニ氏は、宗教や悪質なセールス、募金の勧誘、広告主などありとあらゆる「承諾誘導」の専門家の手口を研究し、彼らの手口は基本的に 6 つの力テゴリーに分類できることをつきとめた。心理学の専門書であるが、ビジネスからプライべートまでその応用範囲は極めて広い。
現在の心理学を応用した仕事術、交渉術、会話術などの本のほとんどすべてがこの本に書かれている。
●関連 Web
『影響力の武器:なぜ、人は動かされるのか』の[第三版] - マインドマップ的読書感想文
影響力の使い方講座 - ダイレクト出版
影響力の武器とは?説得するときにはこれ - DCC用語集
影響力の法則 影響力の武器 - YouTube
影響力の武器:マネジャーとしての影響力は、どうすれば発揮できるのか?-Bizトレンド
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影響力の武器
目次
ポイントカードテクニックで仕事を頼む方法
提案は松竹梅でする
知覚コントラストを利用する
キャッチフレーズをつくる
親しみのある「たとえ」を使う
心理的にプレッシャーを与えると交渉が楽になる
影響力をもつと仕事ができるようになる
長所を挙げてもらうと勝手に説得されてくれる
損失回避の感情を意識する
損失回避で説得力が増す
影響力の武器実践編
復唱をすることの効用
仕事効率を上げる基本ルール(心理編)
ラベリングテクニックで人を操る方法
若者言葉を使ってはいけない
チームが高い成果を出すための方法
課題・問題は具体案がなければ報告してはいけない
影響力の武器
ビジネス書名著目録(必須図書)
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