2020年09月28日

ベテランに気を配る





まあ若い人から見ると、会社に役職があるわけでもなく20年も30年もいる人は、いろいろ煙たいですよね。

 出世できたわけでもないのに妙に偉そう
 鬱陶しく色々指図してくる
 いちいち「教えてやる」目線

その割に、「あんたはナンボのもんなのよ」と言いたくなることも少なからず…

私は勝手に(こっそりですが)、こういう勤続年数は長くても一般社員のままな人を「ベテラン」と呼んでます。




■ベテランは知っている


昔はほとんどのことを経験によって学んだので、年上ほど知識が豊富ということが多くて、儒教文化のように「年長者に敬意を払う」という基本的な考えがありました。
しかし、その後本やコミュニケーション技術の発達によって、知識と経験が分離されてしまって、それらが相互作用をするようになると、若くても少ない経験を豊富な知識で補えるようになったので、年齢と「見識」が比例関係ではなくなりました。

だからと言って、相関関係が無いかと言われるとやっぱり正の相関はあります。

若い人がこういうベテランをうまく活用できてないことはちょっと問題だなぁ、ということで本日の記事。

若くして昇進する人はたしかに能力が高くて人を扱うのがうまいのですが、面接などで

 「あなたの年上の部下とどう接していますか?」

という質問に対して、「敬意を持って」レベルで年上の部下や同僚と接している場合が多くて、「活用している」という人が少ないです。

面接や実際の業務をする場面で「年上をもっと活用できればもっと成果があげられるのになぁ」と思うことが少なからず…。

だって、ベテランは経験しなければわからないことをいっぱい知っているんですよ。

 ・なぜこのルール(規則)が作られたのか?
 ・この設計の初期はどういう目的で考えられたのか
 ・この設備に過去どのような問題が起き、どのように解決したのか
 ・役員の○○さんが好きなものはなにか
 ・役員同士の力関係はどのあたりで変化したのか
 ・どの取引先の役員が自分の会社に密接につながっているのか
 ・取引会社とウチの会社はどこでどういうパイプがつながっているのか

などなど。これらは書籍には書いてありません。




■ベテランを活用する


私の勝手な定義

 勤続年数が長くて一般社員のままの人

という定義に従えば、彼らに上昇志向はありません。
何かを新しく勉強しようという意思もありませんし、自分を高めていこうとか業務効率を上げたいとかは全く思ってもいません。
会社が今以上によくなる必要もなく、定年まで無事に会社が存続して、クビにならなければいいと思ってます。

だから、何かの改革プロジェクトに彼らを呼ぶのは間違いです。やらせてはいけません。
抵抗勢力になることはあっても、加速してくれることはありません。

だからと言って、神棚に飾っておくのももったいないので、彼らが活躍できる場を作ってあげるのが若手の役割です。

どんな仕事がいいかというと

 ・アドバイザー
 ・上位役職者への調整役

です。

■ベテランをアドバイザーとして使う


アドバイザーというのは

 ・そのプロジェクトや仕事の成否に責任を持たないこと
 ・好きなときに問題指摘を「リーダーに対して」言えること
 ・多くの経験を持っていること

というのが(私の勝手な)定義です。

三代将軍家光の時代の大久保彦左衛門が「天下のご意見番」を自認していたそうですね(後世の作り話のようですが)。
これはベテランをアドバイザーとしてすごくうまい使った例として私は参考にしてます。

プロジェクトの進行に対してアドバイス(ご意見)をくれたとしても、やるかやらないかはリーダーであるあなた次第です。その意見に従う必要はありません。
ただし、そういう見方もある程度に聞いておくなら、知見を広げるチャンスでもある程度の扱いで十分なんです。

■ベテランを調整役として使う


組織のトップが耳の痛い話でも、「よし、おれが一言言ってやる!」といえるのは、トップが入社当時先輩だったベテランならではです。

こういうベテランに相談すると、

 「分かった。ちょっと役員の○○と××君に調整してきてやるよ」
 ※役員を「君」付けですよ…。ひどい時は呼び捨て…。ま、「自尊心の発露」というやつですか。

と言ってくれますので。もし説得や調整に失敗してもやろうとしているプロジェクト自身は被害をうけるわけではないですし、役員にプロジェクトの存在を知る機会になった程度に考えておけば、プラスにはなってもマイナスになることはありません。逆に実務をやらせてはいけません。

ただし、「お前がこうやるべきだ」などと「べき論」を言われてしまうと、うまく使えません。
だから「相談」とはいえ、「懇願」に近いようなお願いの仕方をします。

 「○○さん、実は今、プロジェクトの予算ですごく困っていて、役員にちょっとだけプロジェクトの存在を知ってほしいんですけど、○○さんのお力で何とかなりませんかね?」

みたいに。適当にヨイショしながら、失敗しても責任はないという点を強調して。
責任がありそうなことになるとすぐに逃げ出したがるので。


■ベテランにはベテランのスキルがある


私の会社では、定年が60歳までですが、本人が希望すれば65歳までは嘱託社員として会社に残ることができます。
こういう人は意外と便利なのですよ。

まぁ、便利なので私の部門では積極的にリタイア・ベテランを受け入れてます。

よく言うじゃないですか

 立っているものは親でも使え

って。敬意は払う必要はありますが使えるものは使わなくちゃ損ですね。私は適材適所と言ってますが。



■同じテーマの記事

他人に軽く扱われない技法

本日は、会社内で影響力を高めるためのヒントが満載の1冊の紹介です。著者は、社会心理学を利用したビジネススキルの実践的に紹介してくれている著書が多数ある内藤誼人氏。この人の本はわかりやすくて、あまり理論・理屈だけにとどまらず、実際にどう使うのかをきっちり紹介してくれているので、管理人が好んで読む著書の一人です。要約人に軽んじられるのは面白いものではない。いやもっと積極的に腹が立つ。当たり前の話であるが、さて、それが..

面接で「年上の部下・担当者への接し方」を聞かれたら2

昇進面接などで、私がする鉄板質問。「あなたのチームの部下やメンバーの年齢構成を教えて下さい」「年上の方にたいして指揮命令をするときにどんなことに注意していますか?」こちらの質問の意図は、被面接者の「リーダーとしての力量」が知りたいのですが、「丁寧語や敬語を使って話ます」「年上としてのプライドを傷つけないようにします」という答えでは20点くらいかな。答えて欲しいのは、「彼ら(年上の部下)に行動を起こさせるための原則を掴んでいるのか、という点。私がいろいろな人を部..

遅れを取り戻す

計画っていうのは、作った瞬間からどういうわけか遅れ始めます。不思議ですね。でもまぁ、その理由を考えているより、どうやって遅れを挽回するかがプロジェクトリーダにとっては大事なことです。本日はそれのやり方のパターンをまとめておきます。長期のプロジェクトや始まって間もないプロジェクトであれば取れる方法はたくさんありますが、プロジェクトが終盤になってくるとやれないことが多くなります。そんな時でもパニックにならないように、どのような選択肢があり、それを今回のプロジェクトに適用す..

命令か依頼か―リーダーとしてのメンバーとの付き合い

部下や後輩をどのように呼んでますか?君さん!(敬称なし)ちゃん(愛称、略称)お前、テメーまあ、呼び方は人それぞれですが、私の知るパターンだと、呼び方によってその人のリーダーシップスタイルがだいたいわかります。仕事を頼むときに一番やってはならないことは、命令口調を使うことです。これをやられたほうは気持ちのいいものではありません..

あなたが座っていた椅子を見なさい

私は、席をたつ時いつも自分が座っていた椅子を見るようにしてます。もともとは、私がオッチョコチョイで、すぐに忘れ物をすることから始めた習慣でした。最初は意識してやってましたが、最近は自然に視線が元いた場所に行くようになりました。数秒もかかりませんが、得られるものはすごく多いです。席をたつ時あなたが席をたつ時、何を考えてますか?おそらく大部分の人は、席を立った目的、つまりコーヒーを買いに行くとか会議に出るなどの目的があ..

あなたはなぜチェックリストを使わないのか

仕事の出来栄えが、よかったり悪かったり、ばらつきが大きいと感じたことはありませんか。特に仕事を始めてから10年未満の方にはぜひ読んでほしい1冊の紹介。あなたは1日のうち、どれくらいの比率で、まったくやったことのない仕事をしますか?ほとんどの方は、ほぼゼロだと思います。つまり、あなたの仕事は、あなた自身が過去にやったことがあり、それの焼き直しである場合がほとんどなのです。それが徐々に少しだけ仕事内容が複雑になっていたり、短時間での..




posted by 管理人 at 05:47| Comment(0) | TrackBack(0) | 仕事術 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
コメントを書く
お名前:

メールアドレス:

ホームページアドレス:

コメント:


この記事へのトラックバック