2021年05月17日

論理的資料作成術:見出しをつけると整理されて見える




ビジネスメールなどで、論点を一言にまとめて見出し化している人ってあまり見かけませんが、これを心がけると2ついいことがあります。

 ・要約する力がつく
 ・読みやすくなる




■簡潔に表現する力


★P133〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓

●重要な部分を自分の言葉で言い換えてみる
「ここは重要だ」と引っかかりを感じる部分は、自分なりの言葉で言い換えてみましょう。あるいは、その部分の見出しを自分でつけ直してみるのも有効です。

あるいは英語などに翻訳してみる手もあります。先ほどと同じように、これも書き込みをしておきます。実際に言葉として書き出そうとすると、それが難しい作業であることに気が付くでしょう。これがクリアできるならば、その部分は理解できていると判断してもよいでしょう。もし、この文章の見出しを変えるとしたらどうなるでしょうか。一度、試してみてください。

倉下忠憲(著) 『ソーシャル時代のハイブリッド読書術
――――――――――――――――――――――――――――★


実際、メールなどでは、

 適切な表題(メールタイトル)をつけなさい

と言われるようになって久しいのですが、未だ、

 ご連絡

みたいなメールを送ってくる人が結構います。

いろいろな人の意見を聞いてみると、適切なタイトルが思い浮かばないという人が結構いて、聞いてみると「考えればなんとかなるけど、つい面倒くさくて…」と言われることがあります。

なんか「やればできる子」みたいだなぁ…、と。

見出しをつけるというのは、そこでいいたい論点や主張を「簡潔に表現する」ことのトレーニングになります。




■読みやすくなる


この記事でもそうですが、適切な間隔で見出しが付いていると読みやすいですよね。
何を言わんとしているのかが、さっと見て取れるようになるからです。

これは以前にもご紹介した、スキーマというものにも関わってきます。

たとえば、以下を読んでみてください。

★――――――――――――――――――――――――――
新聞の方が雑誌よりいい。街中より海岸の方が場所としていい。最初は歩くより走る方がいい。何度もトライしなくてはならないだろう。ちょっとしたコツがいるが、つかむのは易しい。小さな子どもでも楽しめる。一度成功すると面倒は少ない。鳥が近づきすぎることはめったにない。ただ、雨はすぐしみ込む。多すぎる人がこれをいっせいにやると面倒がおきうる。ひとつについてかなりのスペースがいる。面倒がなければ、のどかなものである。
――――――――――――――――――――――――――★


何を言っているかわかりますか?

これはどうでしょう?

★――――――――――――――――――――――――――
●凧揚げの楽しみ

新聞の方が雑誌よりいい。街中より海岸の方が場所としていい。最初は歩くより走る方がいい。何度もトライしなくてはならないだろう。ちょっとしたコツがいるが、つかむのは易しい。小さな子どもでも楽しめる。一度成功すると面倒は少ない。鳥が近づきすぎることはめったにない。ただ、雨はすぐしみ込む。多すぎる人がこれをいっせいにやると面倒がおきうる。ひとつについてかなりのスペースがいる。面倒がなければ、のどかなものである。
――――――――――――――――――――――――――★


意味がわかりましたよね?
ちなみに、本文は一言一句、同じです。

つまり、全体像をイメージしやすくして、書いてあることに対する理解しやすくするという効果があります。
その結果、きちんと整理されているように見えて、相手に納得してもらえる(説得力が上がる)ようになるわけです。

■見出しの付け方を学ぶ


見出しの付け方もいろいろあります。

 1.要点や主張を簡潔に述べるもの
 2.論題を挙げるもの
 3.本文を読んでみたいと思わせるようにキャッチーにするもの

色んなパターンがありますが、新聞・雑誌などは3.のパターンでしょうか。
仕事上の報告書やメールでよく使うパターンは、1.ですね。

以前の研修で、

 ・自分の会社が新聞に乗ったとして、その表題を考える
 ・新聞の本文だけの切り抜きを読んで、見出しを考える
 ・ちょっと長文の文章を読んで、章・節・項に分ける

ということをやったことがあります。十人十色の結果になりましたが、うまい人は、キャッチーかつ簡潔にまとめられて、

 うまいなぁ

と関心した記憶があります。

メールを書くときでも、複数の段落にわかれるような文章には、見出しをつけるようにしてみませんか。
一石二鳥の効果があります。




■参考図書 『ソーシャル時代のハイブリッド読書術




ハイブリッド読書術とは、"デジタル"と"アナログ"、"リアル書店"と"ネット書店"、"速読"と"熟読"、"ひとり"と"みんな"など、性質の異なる手法を組み合わせて1つの目的を達成する読書法のことです。「本を選ぶ」「本を読む」「読了後の行動」の3つの領域で、ハイブリッドな手法を紹介しています。本書の目的は、そのハイブリッド読書術を使って、現代の情報環境にあった「情報を扱う力」(これを本書では「自軸」と呼ぶ)を身に付けることです。また、ブログに書評記事を書くコツや読書ノートをEvernoteにまとめる方法などについても解説しています。





◆アマゾンで見る◆◆楽天で見る◆◆DMMで見る◆

ソーシャル時代のハイブリッド読書術
著者 :倉下忠憲
楽天では見つかりませんでした
ソーシャル時代のハイブリッド読書術
検索 :商品検索する



●関連 Web
 R-Style「ソーシャル時代のハイブリッド読書術」
 新刊告知 「ソーシャル時代のハイブリッド読書術」 | シゴタノ!

●本書を引用した記事
 耳で読む読書術:オーディオブックを活用する
 言葉を手に入れなさい
 糸井重里氏、他4人の手帳術「賢人の手帳術」
 本とともに暮らす
 音読すると理解できる
 予測読書
 本を書き写す
 本屋に行くなら、図書館に行った方がいい
 読書の作業ステップ
 テンプレートを使うと仕事が早くなる

●このテーマの関連図書


EVERNOTE「超」知的生産術

知的生産の技術(岩波新書)

アウトライナー実践入門~「書く・考える・生活する」創造的アウトライン・プロセッシングの技術~

EVERNOTE「超」仕事術

クラウド時代のハイブリッド手帳術

ズボラな僕がEvernoteで情報の片付け達人になった理由





■関連する記事

後出しの法則で信頼度を挙げる

自分の主張を強化する方法あることを主張しようとして、同じ意見を述べている著名人の発言を引用することがありますね。たとえば、仕事は、だれかの成果に寄与することが重要です。と述べた時に、かのドラッカーも「仕事は貢献に焦点を合わせるべきである」と述べています。というように。何しろ、凡人が言うよりも、やっぱり著名人や一流と認められる人の意見というのは影響力がありますから。凡人がいくら、「悟りとはこういうものです」といったところで、..

スキーマ読書術

認知心理学の用語で「スキーマ」というものがあります。これは情報を認知するときに使う思考の枠組みのことだそうです。もうすこし砕けた表現を出言うと「スキーマ(schema)とは人の過去の経験から生まれた知識のまとまりのこと」。人は外界からの情報を処理するためにこれを使って予測対応しようとするらしいです。外界から何かの刺激があった時に、次は何が起きるかを過去の経験に基づいて、それを予測しているそうです。たとえば、木の足が4つあり、その上に平らな木が載せてある物をテーブルと認..

予測読書

読書してますか?管理人は1週間で4〜5冊のペースがここ2年くらい続いてます。ただ、本当にいい本は何度も繰り返し読むので1週間かかるときもありますが。苫米地英人氏管理人は、苫米地英人氏の本は非常にわかりやすく、わかったような気になる書き方がしてあるので、よく読んでます。この本の中に、「記憶する」という脳の機能を働かせるための条件という説明がありました脳を鍛える「超」記憶法・脳は知っていることは覚えない・脳に「これは重要」だと思わせれば記憶できる・..

仕事で使える心理学3:ポイント抜粋―リーダーにとって必要なこと

仕事や日常生活において、だれでも自分は合理的にものごとを判断していると信じています。でも、じつは私たちはそれほど理にかなった生き物ではないようです。たとえば天気の良い日と悪い日でものごとの判断結果が違う。涼しく快適な環境と暑苦しい不快な環境では相手の印象が違う。このように無意識のうちに偶然の要因やまったく関係のない環境要因に影響を受けて判断していることがあるのです。そのことを自覚していないと、思わぬ落とし穴にはまって..

仕事で使える心理学2:ポイント抜粋―判断に影響する心理

仕事や日常生活において、だれでも自分は合理的にものごとを判断していると信じています。でも、じつは私たちはそれほど理にかなった生き物ではないようです。たとえば天気の良い日と悪い日でものごとの判断結果が違う。涼しく快適な環境と暑苦しい不快な環境では相手の印象が違う。このように無意識のうちに偶然の要因やまったく関係のない環境要因に影響を受けて判断していることがあるのです。そのことを自覚していないと、思わぬ落とし穴にはまって..

文章のコツ6:同じ言葉を使う

仕事で使える文章のちょっとしたコツをご紹介してます。どうも日本語というのは、母国語で話し慣れているので、あまり意識しなくてもそれなりの文章が話せたり、書けたりします。ところがちゃんと勉強してみると、以外に知らないことが少なくありません。前回は「和語」「漢語」の記事でも書きましたが、同じような意味で2つの単語を使うと混乱を招く場合があります。同じ単語を使う時々見かけますが、同じことを言い表すのに異なる単語を使ってしまう時がありま..



■同じテーマの記事

自己PR文で「思う」な

転職時に自己紹介文を書いたり、入社試験で小論文のある会社もあるみたいです。私は部下のレポートを読んでいて、本書にあるような点が時々気になることがあります。「思う」が多すぎる学生の作文によく出てくる語の一つは「思う」である。これを安易に使って、文章の底を浅くしてしまっている作文は少なくない。客観的事実や当然の帰結に「思う」をつける必要はないし、意見・考え・..




posted by 管理人 at 04:00| Comment(0) | TrackBack(0) | 仕事術 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
コメントを書く
お名前:

メールアドレス:

ホームページアドレス:

コメント:


この記事へのトラックバック