プレゼンをしたり、何かの主張をしたりした時に、思わぬ方向から反論を受けることがあります。
そういう時にうまく答えられないと、プレゼンに失敗してしまいます。
こういう「受け答えがうまくなりたいなぁ」とは思うのですが、一向にうまくならず、あとからよく考えてみると「あのとき、こう切り返していたら何とかなったのになぁ」という反省を度々します。
■接種理論
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インフルエンザなどの感染症に対して免疫をつけるために、ワクチンを投与する予防が接種ガを受けたことはあるでしよう。心理学の世界でもアメリカの社会心理学者であるウィリアム・マクガイアが提唱した「接種理論」と呼ばれる原理があります。
これは、ある事柄についてあらかじめ反論を受けて免疫をつけておくと、いざ反論を受けたときに説得されにくくなるという考え方です。例えば「毎朝、朝ごはんを食べることは健康によい」は"自明の理"として広く受け入れられているために、反論に対する免疫がありません。ですから「実は朝ごはんは健康によくない」と攻撃されてしまうと、簡単に説得されてしまいます。
しかし、事前に反論を経験していたり、「その反論は誤りである」という情報を頭に入れておくと、「朝ごはんは健康に悪い」と言われても抵抗ができるということです。
この原理を利用して、自分たちのマイナス要素をあらかじめ相手に伝えて免疫をつけさせておけば、いざマイナス要素が露呈しても、それを受け入れてもらいやすくすることが可能なのです。
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こうした場合には、ライバルが比較対象にしてきそうなポイントをしっかりと認識しておき、自社のウィークポイントだけではなく、それを補強できるようなメリツトも前もって伝えておくことが肝心です。
『黒すぎる心理術』
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本書のポイントは2つあって、
事前に反論を検討してその答えを考えておく
先にマイナスの効果について情報を与えておく
ことと書かれています。
本日は、この「反論を検討する」方法のひとつをご紹介します。
■反論を検討は難しい
実際、何か主張しようとすると、どの様な反論があるかについて検討が不足してしまうことが少なくありません。これは認知バイアスのひとつなのですが、なかなかそこから抜け出すのは難しいです。
だって、その主張が正しいと思うから主張しているのであって、正しくないと思っていれば主張なんてしません。なぜその主張が正しいと思うのかは、自分の見えている範囲で効果があると思うからです。
それを自分が見えてないことについて、反論を検討しなさいと言われても、なかなかできるものではありません。
■アンチテーゼを考える
一方で、人間は、ある主張を単独で示されると、案外「アンチテーゼ」に気がつくことができます。
本書『黒すぎる心理術』にあるように、「朝食は体にいい」というテーゼ単体で示されれば、「朝食は体に悪い」というアンチテーゼが(成立するかどうかは別として)あることには気が付きます。
つまり、長い文脈の中だとわかりにくいのですが、単純な文であれば、逆を作るのは意外と簡単。
あとは、その逆を論証するものはないかを探せば良くなります。その逆を論証する方法を論破できれば反論に対応する方法が見つかった事になります。
この「単純な文」が出せるようにするには、論理構造図(私が勝手に命名しているだけです)を図示してみるといいです。
論理構造というのは、基本的な形は2つしかありません。帰納法と演繹法です。これを図示したのが論理構造図。
自分の主張がどの論理構造になっているのかに注意しながら、その主張要素をピラミッド化していきます。これを分解・図解してみると、論理の抜け漏れに割と簡単に気がつけるのですが、そこで出たひとつづつの要素をひっくり返してみたり、経営資源(ヒト・モノ・カネ・情報)への影響をひとつづつ検討してみると、思わぬ方向からの反論というものがなくなって、想定内の質問になってくれます。
■論理の勉強の図書
帰納法、演繹法、ピラミッドについては、近いうちにシゴトコンパスでご紹介したいと思いますが、他のWebなどや書籍などを読んで体系的に勉強したほうがいいと思いますので、ちょっと私が勉強した時の書籍をご紹介しておきます。
野矢茂樹著 『入門!論理学』
小川仁志著 『たった1日で人生を300倍面白くする方法』
小川仁志著 『7日間で突然頭がよくなる本』
照屋花子著 『ロジカル・ライティング』
波頭亮著 『論理・思考・分析』
照屋花子著 『ロジカルシンキング』
バーバラ・ミント著 『考える技術・書く技術―問題解決力を伸ばすピラミッド原則』
イーサン・ラジエル著『マッキンゼー式世界最強の問題解決テクニック』
本多勝一 『日本語の作文技術』
野矢茂樹著 『論理トレーニング101題』
堀公俊著 『ロジカル・ディスカッション』
木山泰嗣 『究極の思考術―あなたの論理思考力がアップする「二項対立」の視点15』
結構古い本も多いですが、私としては愛着があるので名著です、と推薦しておきます。
■参考図書 『黒すぎる心理術』
マルコ社(編集)(著) 『他人を支配する黒すぎる心理術』
「人を操る」とは「良好な人間関係を築くこと」につながるのです。
人間関係の悩みを解決して、円滑なコミュニケーションを行なう方法のひとつに、心理学をベースにしたコミュニケーション法が存在します。
心理学的見地から、相手の表情やしぐさ、行動を分析して心理状態を把握し、コミュニケーションに役立てる心理術のなかでも、相手を「支配する」(=操る)心理術にフォーカスしたのが本書です。
コミュニケーションとは言い換えれば「操り合い」のこと。心理学をベースにした心理誘導に役に立つ考え方や具体的なテクニックを学ぶことで、コミュニケーションスキルは大きく向上することでしょう。そう、「人を操る」とは「相手との良好な人間関係を築くこと」につながるのです。
本書では人を操るための心理学や心理テクニックを紹介するために、「心理学」「心理術」の専門家への取材を敢行。心理学の基本や相手の心を透視(見抜く)技術について紹介するとともに、メインコンテンツでは相手の行動や心理を自分の意図した方向に誘導する心理術を紹介しています。
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書名 :黒すぎる心理術
著者 :マルコ社(編集)
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