会議で発言するときには、なるべく会議の最後に発言するのが効果的です。
■スターリンの影響力強化方法
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そしてスターリンは会議ではいつも最後まで何も発言しなかった。全員がそれぞれの意見を言うのを聞き終えてから、発言する。まず、いままでに出た意見をいくつかに分類し、それぞれを比較してみせる。みな、聞き入るしかない。そのまとめ方が的確なので、誰も異論を挟まない。
こうして、全員がス夕ーリンの言うことに聞き入ったところで、彼自身の意見を述べると、いつの間にかそれが会議の決定事項となる。これがスターリンの会議術だった。
中川右介(著) 『悪の出世学』
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これって、いままであまり認識なく使っていたのですが、実は影響力を高めるテクニックのひとつだったんだ、ということを認識してませんでしたので、改めてご紹介します。
■発言はしなさい。意見を言ってはいけない
私がなるべく気をつけていることなのですが、
・最初から自分の意見を言わない
・相手に意見を言わせる
に注意をしています。2つともほぼ同じこと(裏返し)のようなことですが、「意見を言わない」「相手に言わせる」というのは微妙に意味が違います。
相手に言わせるというのは、相手に喋りやすい雰囲気をつくることと、相手が何か言おうとしたら黙りこんでじっと相手を見る。相手がなにか話し出したら、身を乗り出すようにして、「うんうん」という。頷きなどのアクションをとる、というようなことです。
■決定事項に自分の意見を盛らない
一方、「自分の意見は言わない」というのは、「あとで自分の考えが変わってもいいように、言質を取られない」ように気をつけることです。
つまり、最初は提案に賛成だと思っていても、大勢が反対なら、自分の意見として、賛成を言うべきか否かを熟慮してから発言するということです。
仕事なので、よほど気が進まないものではない限り、「やる」と衆議一致すれば、私はほとんど反対しません。
衆議なので、それをやることによって起きたも問題の責任を、提案者でもない私が押し付けれることもありませんし、そのせいでクビになることもないでしょう。
だったら、ムリに反対して、他の人の反目を招くより、自分が提案をした時に、「あの時は賛成してくれたしな」とお返し効果を狙います。
それよりも、みんなの様子を見て、「ほぼこちら側の意見で決定だな」というところで、議論を整理するような発言をしたほうが、プレゼンスが高められます。
■決定の発言をした人が最も影響力がある
ほら、よく役員を招いた会議で、最後に役員が、「みんなありがとう、じゃぁその決定でいこう!」とだけ発言するような会議がありますよね。
もちろん、提案者の事前の根回しなどの効果もあるのですが、あの発言ができるということで、役員の存在感が出ているんです。
じゃぁ、平等の地位が集まった人たちの中で、それが求められる人がいるかというと、そんな人はいません。
だったら、自分が買って出ても支障はないわけです。そして、それをやると、役員と同じく「決定的な発言をした人」という認識がみんなの中に生まれるんです。
ポイントは、
・みんなの発言をまとめること
・そのまとめに基づいて、「最終的に×××ということでよろしいですかね」
と整理してしまいます。
もう全体の雰囲気はその結論で合意になりそうなので、特に反対が出ることはなく、あなたの決定かのように決まっていく事になります。
注意すべきは、「自分の意見」や「自分の好き嫌い」に固執しないで、「みんなの意見」をまとめることです。
自分の意見が、衆目一致するところと違っていた場合、「空気の読めない奴」「最後にひっくり返すやつ」みたいに思われて、逆効果になりかねません。
■『悪の出世学』のご紹介
本書には、ヒトラー、スターリン、毛沢東の3人が、一般人から、どのように独裁者になっていったか、その時にどのような戦略を使って組織の支配力を握ったのかが説明されています。
さすがに組織の独裁者とまでいくと、ちょっと引いてしまいますが、自分のプレゼンスを高める方法のひとつとして、色々なヒントがありました。
もしあなたが、仕事上で自分の影響力を上げていきたいと思うなら、勉強しておくべき本の一冊です。
■参考図書 『悪の出世学』
権力を握ることが悪ではないが、激しい闘争を勝ち抜き、のし上がった者に��ただのいい人�≠ヘいない。本書は歴史上、最強最悪といわれる力を持った三人の政治家――スターリン、ヒトラー、毛沢東の権力掌握術を分析。若い頃は無名で平凡だった彼らは、いかにして自分の価値を実力以上に高め、政敵を葬り、反対する者を排除して有利に事を進め、すべてを制したか。その巧妙かつ非情な手段とは。半端な覚悟では読めない、戦慄の立身出世考。
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書名 :悪の出世学
著者 :中川右介