2015年06月02日

何を、何と比べて、どのくらい?



仕事で何かを報告する時、あるいは何かを検討しようとする時、形容詞が出る人と数字が出る人がいます。

 「最近、○○の問題が多く発生しています」
 「直近3ヶ月で、○○の問題は12件発生し、発生率が1.5%になりました」

どちらがいいと思います?

■形容詞は思考停止ワード


多くの場合、形容詞は思考停止を促します。
わかったような気になるだけで、事実がわかってません。

形容詞が含まれている情報は多くの人がなんとなく自分の感覚で相手の形容詞を受け取って解釈してしまっているところに問題があります。

つまり、仕事では、他の人との情報の共有が重要なのですが、個人個人の感覚で話が進むと、そこからボタンの掛け違いや理解のズレが生じて、あとから「そんなはずじゃなかった」という状況に陥っていてしまいます。

■数字にすればいいというものではない


だからといって、後者のように数字にすればいいというわけではありません。

多分、私の機嫌が悪い時にこういう報告を部下がしてきたら、こう返しちゃう。

 「だからなに?」

まぁ、こういう返し方も良くないのですが、報告するがわにも問題があります。
単に数字を言えばいいというものではないのです。

ましてや、いろいろな問題があるので、全てが全て数字でいえるような問題ばかりではありません。また形容詞に気をつけるといっても、言語学者でもないのになかなか日常でそこにばかり意識を集中させることは難しいかもしれません。

■何を、何と比べて、どのくらい?


では、どうすればいいかというと、

 何と比較するか?

というのがポイントです。

たとえば、

 「直近3ヶ月で、○○の問題は12件発生し、発生率が1.5%になりました」

という報告の時に

 「その前の3ヶ月では、○○の問題は2件、発生率0.2%でした」

と付け加えれば、問題の発生状況が悪化していることがわかります。これで報告したい人が、「ここに問題がある」という意図がきちんと伝わります。

ポイントは、「何を、何と比べて、どれくらい?」です。

■問題とは差である


すべての問題というのは、ある理想状態と現実の差を意味しています。

つまり、理想状態(あるべき状態)があって、それに対して現実がどうなのかを比較しないと意味が無いわけです。

この報告でいうところの「○○の問題」がある事自体を問題視しているのであれば、1件でも発生したことを報告するべきですし、上記のように、増加したことを問題視するのであれば、どれくらい増加したのかを問題視するべきです。

これはたとえ数字にできなくても同じことです。

 正しい状態は○○。それにたいして、どのような事実を持って○○でない

といえれば、あなたの問題意識は伝わりますし、報告を受ける側も事実を理解できます。

■「なる早」はゆっくりやればいい?


私の先輩に「なる早(はや)」が口癖の人がいました。

 「これ、なる早でよろしく」

「なるべく早い」を省略して「なる早」なのですが、早いというのは、今日中なのか、今月中なのか、「なるべく」というのは、「最速」とはどのくらい違うのか、まったく伝わりません。
わたしは、「わかりました」といいながら、別に急ぐでもなく、普通に処理してましたが、怒られたことは一度しかありません。その時も、「これが"なる早"です」と言い切りました。

同じセリフで、ASAP(アサップ、As Soon As Posible、可能な限り早く)も、意味は通じますが、要求している人の感覚と受けた人の感覚が一致しているとは限りませんね。

私は、なにかお願いするときには、

 「今日の15時まで」
 「他のタスクは放っておいて、これに集中して」

というふうにお願いしてます。前者は数字で言い、後者は数字では言ってませんが、かなりの確度で、どれだけ急いでいるかが伝わります。

形容詞と数字は使うのをやめると、意思が伝わりやすくなります。



posted by 管理人 at 14:10| Comment(0) | TrackBack(0) | 仕事術 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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