前の会議が早く終わった、電車が来るまでちょっと時間があるなどのときにどんなことをしていますか?
このブログに訪問してくださった方なら、おそらく「時間管理」をきちんとして、仕事においてより効率よく高い成果を出したいと考えて見えることでしょう。
ところが、スキマ時間によく使うスマホなどにアクセスロガーを入れてみて、実際にどんなことをしているかと測定してみると、愕然とします。
「2ちゃんねる」などのネット掲示板を眺めている
ぼんやり動画を眺めている
ような時間が結構あります。
結局これらの時間は何も生産性もないし、娯楽として気持ちが良くなるわけでもない、単なる「時間つぶし」の時間です。
「1日は24時間しかない」ということで一生懸命仕事の効率化をはかっても、できた時間で何もしていなければ、効率化しても何も変わっていません。
■ザ・ゴール
工場でもこういうこと、よくあるんですよ。
最新の生産設備を導入した、けど、それで人員が減るわけでも販売台数が増えるわけでもない。単に帳簿上の生産効率が上がっただけ
みたいな例が。
この考え方は TOC を勉強する中で気がついたのですが、
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ジョナは陰謀話でもするように、私に体を寄せて言った。
「訊きたいことがあるんだが、ここだけの話だ。ロボットを導入した部署で生産性が向上した結果、一日当たりの製品の出荷量は以前より1つでも増えたのかい?」
私は口ごもった。
「それは、調べてみないとわかりませんが」
「従業員の数は減らしたのかね」
ジョナが訊ねた。椅子に座っていた私は、後ろにもたれてジョナを見た。
いったい、何を言いたいのだろうか。
「ロボットを導入して、人をクビにしたかっていうことですか」
私は訊き返した。
「いいえ、生産性が向上しても人員解雇は行わないという組合との合意があるので、人は別の部署に異動させました。ただ、もちろん景気が悪くなれば従業員を解雇することもあります」
「ということは、ロボットを導入しても、人件費の削減にはつながらなかったということだね」
彼が言った。「はい」私は認めた。
「じゃ、聞くが、仕掛りなどの在庫は減ったかね」
ジョナが訊ねた。私は、呆れて軽く笑った。
「先生、いったい何がおっしゃりたいのですか」
「いいから、答えてくれ。仕掛りは減ったのかい」
「いますぐにはわかりませんが、特に減ってはいないと思います。ただ、詳しいことは調べてみないとわかりませんが」
「よかったら、調べてみたまえ。もし仕掛りも人件費も減っていなくて、製品の売上げも上がっていなかったらもちろん製品の出荷量が増えていなければ、売上げが伸びないのは当たり前だがもしそうだとしたら、ロボットを導入して生産性が上がったなどとは言えない」
私は、まるでエレべーターに乗ったときのようなズシリと重い感覚を腹に感じた。
エリヤフ・ゴールドラット(著) 『ザ・ゴール ― 企業の究極の目的とは何か』
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これは、主人公アレックス・ロゴがジョナと初めて会話するシーンですが、「効率化」とは、
それに必要な経費を減らす
それによる売上を増やす
のいずれかだと言われていることが暗に示されています。
このあと、アレックスは、「会社の目的とはなにか」という宿題をもらって、いろいろ考えた結果、「お金を儲けること」という非常に単純な考えにたどり着きます。そこから彼の快進撃が始まるわけです。
■効率化の成果
効率化の成果は、インプットが減るか、アウトプットが増えるかのいずれかです。
サラリーマンの場合は、仕事の効率化によってアウトプットを増やすこと以外にありません。つまり、効率化によって空いた時間に別の仕事を詰め込むことです。
仕事だけでなく生活を含めた時間で考えれば、効率化によって空いた時間を「楽しめる時間」にするという選択肢もありますが(残業時間を減らすなどで)、仕事という狭い範囲で言えば、アウトプットを増やさない限り、評価はされませんし、結果は変わらない(効率化するという努力が無駄)です。
「時間つぶし」という時間は、別の仕事を詰め込んだわけでもなく、楽しめる時間になったわけでもないので、全くの無駄時間です。
言葉からして、大切な時間をつぶすなんてイヤですね。
あなたの時間つぶしの時間は、1日でどのくらいあるでしょうか。
測定してみませんか?
それがもし何かをする時間だったら、どんなことを生み出せたのか考えてみませんか?
■参考図書 『ザ・ゴール ― 企業の究極の目的とは何か』
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