なにか仕事で失敗した時や、仕事が全く進んでいない時に、進捗状況を聞くと
「×××から連絡がなかったので…」
「ちょっと状況が揃わなくて…」
と報告する人がいます。
こういう話を聞くと、個人的には「ムカッ」とするのですが、そう言っている本人にとってもつらい状況であることは変わりないようです。
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●失敗原因は必ず二つに分けて考える
心理学に「原因の帰属理論」というものがありますが、これは、失敗した原因を「内的帰属」と「外的帰属」に分けて考えるというものです。
内的帰属とは、「能力がなかった」「努力が足りなかった」など自分自身に原因を求めることです。
一方、外的帰属は「運が悪かった」「課題が難しかった」など外部に対して原因を求めることです。
原因を内的なものに求めるか、外的なものに求めるかは、部下の性格にもよります。
反省をするためには、内的なものに原因を求めることが必要ですが、それが過剰になってしまうと、気持ちが沈んだまま、いつまで経っても立ち直ることができなくなります。
自分を責める傾向のある部下に対しては、「タイミングが悪かった」というような外的要因にも目を向けさせるようにしたほうがいいでしょう。
重要なことは、「変えられるもの」と「変えられないもの」に分けて考えることです。そのうえで、「変えられるもの」を具体的にどう変えていくかを部下と話し合ってみましょう。
部下の失敗は、その原因を部下に考えさせよう
渋谷昌三(著) 『リーダーになる心理法則』
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個人的な経験で言うと、失敗原因を他者(上記で言うと「外部帰属」)に求める人というのは、同様の失敗を繰り返します。
だからといって、失敗原因を自己(上記で言うと「内部帰属」)に求める人が、失敗を繰り返さないかというとそうでもありません。
■変えられるものに着目する
問題は本書『リーダーになる心理法則』にあるように、
失敗した要因で「変えられないもの」と「変えられるもの」を見分ける
ようにして、変えられるものに対して手を打つ姿勢があるかどうかだと考えます。
失敗というのは、良かれと思って取った行動が、別の要因と重なった時に発生します。つまり、原因は
状況と行動
が重なった時に発生するということです(「行動を取らなかった」ことも「行動」の一種)。
したがって、そこの「どういう自分の行動が失敗を招いたのか」がちゃんと分析できれば、一歩前進です。「変えられる」のは唯一自分の行動だけですので。
しかし、人を指導する場合、首記のように、他者(つまり「状況」)にしか着目できない人には、これが出てきません。
さらに、それ(その人の失敗行動)を指摘すると、「人格否定」かのように受け止めてしまう場合もあって、近年の風潮から、こういう人に行動の指摘をするのはものすごく気を使います。
■一度抽象的な議論をするとすんなり入りやすい
そこで私は最近、こんなやり方でやってます。
失敗まんだら
ここにあるような、非常に抽象化された言葉を使って、本人に選ばせるようにしています。
まず、失敗学の概要を簡単に説明して、「じゃぁこの「失敗まんだら」のどれに当たると思う?」と聞くと、外部帰属(「失敗まんだら」では「原因まんだら」)を選んだあとに内部帰属(「失敗まんだら」では「行動まんだら」)が出てきますので、それを抽象的に意識させられます。その上、「どれか選べ」と言っているので、無理矢理にでもどれかに当てはめます。
「どうしてそれを選んだの?」
「具体的にはそれはどういう事実があるの?」
と質問すると、当然具体的行動が出てきますので、その具体的行動が失敗を招いたということが理解できます。
■本人を責めるような質問にならないようにする
本書『リーダーになる心理法則』では、「失敗した人に原因を考えさせる」とありますが、なぜなぜ分析にしろ、さまざまな原因分析手法にしろ、他人から「なぜ?」「どうして?」「何が原因?」とか聞かれると、「責められている」と感じますし、「傷口に塩」の感覚も生まれます。
なので、すこしでもそういう感覚を和らげるために、抽象論の時にはなにかの資料で話をし、「事実」という言葉に重きをおいて話をすると、多少なりともプレッシャーが和らぎます。
もし、あなたが後輩や部下を指導する立場であって、指導される人の力で再発防止を図ってほしいと思っていたら、こういう指導方法を試してみてはいかがでしょう?
■参考図書 『リーダーになる心理法則』
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