「なぜなぜ分析」という言葉を知らない人はあまりいないのではないかと思います。
では、そのやり方は? というと結構心もとない人も見えるのではないでしょうか。
やっぱり、ある手法というのは、基本的なやり方があって、そのやり方をきちんとトレーニングを受けていないとうまく使えないものです。
これは、なぜなぜ分析に関する本を読むだけではな足らなくて、実際に講習などで受講してみないとうまく使えるようにはなりません。もちろん、講習を受けたからといってそうなるとか限らないですが、本で詳細を学び、それを先生について実際の訓練をやった人というのは活用できるラインを超えられる人は多くなります。
「なぜなぜ分析」の3つのキーポイントについて考えてみたいと思います。
今回は、その導入編。「やっても意味が無いなぜなぜ分析」をご紹介します。
■「なぜ」を5回繰り返しなさい
よく勘違されていると思えることに、『「なぜ」を5回繰り返しなさい』があります。
もちろん、この文言は正しいのですが、使い方を完全に間違えている。
ちょっと以前聞いたことがある面白い「なぜなぜ」の例
●経営者のせい
○○の問題が起きた
↓
△△部品が変形した
↓
試作段階の検討が不充分だった
↓
開発人員が不足している
↓
人員を増やす予算がない
↓
経営者が悪い
●風土が悪い
○○の問題が起きた
↓
△△部品が変形した
↓
△△部品の強度について評価をしなかった
↓
強度不足の可能性が開発部から伝わらない
↓
コミュニケーションが悪い
↓
組織風土が悪い
■一直線に他人のせい?
極端な例なのでお分かりとは思いますが、これの何が悪いかというと、
原因と結果が一直線になっている
他人のせいになっている(責任転嫁)
「なぜ」の段階のレベルが飛んでいる
という主な3つに集約されると思います。
ではどういう「なぜなぜ」ならいいのかというと、この3つの逆をやればいいです。
次回以降、この課題について考えていきたいと思います。
■参考図書
といって唯一の正解があるわけではありませんし、私ごときが正しい説明ができるとも思えないので、以下の本をご紹介しておきます。
『なぜなぜ分析 徹底活用術―「なぜ?」から始まる職場の改善』
※ものごとの原因を突き止める簡単な思考法が「なぜなぜ分析」です。なぜ? を繰り返していくと、いままで気が付かなかったさまざまな現象とその原因が見えてきます。
※仕事改善に業務改善などに適用すれば、大きな成果が期待できます。本書では、なぜなぜ分析のポイント、正しい使い方などをていねいにわかりやすく説明しています。
ただし、本書は読むのは結構骨が折れるので、以下の本が取っ掛かりとしては楽かもしれません。
『問題解決力がみるみる身につく 実践 なぜなぜ分析』
※問題の本質は「なぜ?」を適切に繰り返すことで見えてきます。物事を論理的にとらえ、ミスやトラブルの原因を的確に追究したいビジネス人必読。「なぜ?」の問いに答えていくだけの、誰にでもできる究極の問題解決手法をわかりやすく解説します。
『生産・品質トラブルを防止する なぜなぜ分析と変更管理』
※モノづくり現場では何かとトラブルに見舞われている。そのトラブルの再発防止策を講じられるようにするのが「なぜなぜ分析」で、トラブルの発生を未然に防ぐようにするのが「変更管理」である。本書は、なぜなぜ分析と変更管理をわかりやすく解説したもので、再発防止から未然防止につなげていく改善の大きな手がかりを提供してくれる現場改善の実務書となっている。
『「なぜなぜ分析」習得の7ステップ―真の原因をつかめ!』
※問題解決手法の代表である「なぜなぜ分析」本来の目的とは、仕事の「あるべき姿」とのズレを見つけること。しかし、結果を急ぐあまりの思いつきや、論理に飛躍がある分析も多い。本書では、現場・現物・現象で徹底的に観察し、原理・原則によって問題発生のしくみを理屈付けしながら解いていく。体系的に、誰でも、いつでも、簡単にできる「なぜなぜ分析」の入門書。
『なぜなぜ分析実践指南―現場トラブル徹底攻略法』
※製造現場のトラブル解決の虎の巻! 「なぜなぜ分析」とは、製造現場でのトラブルの真の原因を、発生現象をスタートに「なぜ」「なぜ」…と繰り返して追求していく画期的かつ効果的な分析手法です。現場で抱えている問題を「なぜなぜフローモデル」にあてはめて考え、「なぜなぜケーススタディー」を参考に展開していけば、トラブル解決の方法がきっと見つかるはずです。
私は『問題解決力がみるみる身につく 実践 なぜなぜ分析』が取っ掛かりには良かったと思います。『なぜなぜ分析 徹底活用術―「なぜ?」から始まる職場の改善』は結構ハードルが高いかのように思いました。もし製造系でなぜなぜ分析を活用したい方には、最後の『『なぜなぜ分析実践指南―現場トラブル徹底攻略法』が最適かと。