プロジェクトマネジメントにはリスク管理はつきものです。
ところが、ウチの会社では、「今回のプロジェクトにおけるリスクは何ですか?」と聞くと、「現場と意見が合わない」「シミュレーション環境が構築できない」とか、過去に起きた問題をリスク視する情報はあまり上がってきません。
★P〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓
仕事の段取りを考える上で必ず意識したいことは、先をイメージして、想定の範囲を広げるということです。
ここまでご紹介してきた役割分担や予算、スケジュールなどもそうですが、トラブルが起こらないように、どのように予防するのかというリスク管理や、最悪そのトラブルが起こったらどうするかというトラブル管理について想定しておくことがさらに段取りよく仕事を進めるためのボイントになります。
まずは、リスクについてイメージを膨らませます。
仕事を進めていくにあたって、どのようなリスクが考えられるかを洗い出すのですが、もしもを考えるとキリがなくなってきます。
そんな時は、リスクを洗い出す視点を絞ってあげましょう。最も大切なのは、「目的・目標リスク」です。当初掲げていた目的や目標が達成できなくなるというリスクです。他にも、大幅にスケジュールを超過するといったような一期間リスク」や、予算超過に陥ってしまうとか、人手が足りなくなるといった「資源リスク」もあります。
リスクが洗い出せたら、それらを影響度と確率という視点から評価します。ここで有効なのがリスク分析マトリクスです。
吉山勇樹(著) 『アウトプットが10倍増える!スピード段取り術』
――――――――――――――――――――――――――――★
前回は、一般的なリスクマネジメントの方法と、私の会社での現実についてご紹介しました。
簡単に要約すると、
・リスクマネジメントはプロジェクトの当初に計画として組み込んでおいて、そのリスクの発生をおさえるような事前の打ち手を、ある条件に基づいて優先順位を決めながらやった方がいい
・しかし、プロジェクトマネジメント自体が個人の力量に依存するような場合は、活動内容が未来にわたって具体化されないために、現実ありうるリスクがリストアップされず、抽象的な言葉に終始してしまい、結果として効果のないリスクマネジメントにしかならない
ということでした。
では、どうすればいいかというと、最初にリスクを挙げて評価するというプロセスを、もっと話が具体化してからリスクを挙げるという方法に変えてしまうと、割合運用がしやすくて、現実的なリスクがリストアップできることがわかりました。
以前の記事
<長期計画は決めないhttp://sarahin.seesaa.net/article/372939824.html>>
で書いたように、私は「遠い未来のことは大雑把に、近い未来は細かく」というスケジュールの決め方をします。つまるところ
直近2週間なら時間単位
直近2ヶ月なら日単位
直近1年なら週単位
それ以上なら月単位
みたいに計画を作ってます。
これだと、何度も計画を見直すことが必要になるのですが、どのみち進捗の確認は必要なので、やる作業が倍になるわけではありません。
■直近のリスクだけ考える
この時に直近2ヶ月のリスクを検討するのです。
直近2ヶ月位なら、かなりやることは具体的にイメージできます。
そうするとリスクも具体的に考えられます。
×月×日の○○イベントができなくなる可能性は何があるか
みたいに考えるわけです。そうすると、このイベントが実行できるための必要要素がほぼ見えているので、そこのクリティカルパス上にあるタスクがすべてリスクになります。
このなかで、前回の記事でご紹介した「発生確率×影響度」のマトリクス評価が生きてきます。
話が具体的だし、現在の進行状況はわかっているので、割合簡単に出せるでしょう。
私は凡人なので遠い未来を見通すことはできません。
でも、プロジェクトを実行するリーダーとしてはそれなりに経験値もあるので、そんなにここで苦労することはありません。もちろん、始めてリーダーをする人なら苦労するでしょうけど、そこは経験者にフォローしてもらうちゃんでもあります。どんどん質問をしましょう。
対策はもちろん、
1.発生しなくする
2.発生した時の対応方法を考える
なのですが、おそらく発生しなくするというのはこの時期になっては難しいです。
そのためには、十分な事前準備が必要ですので。
なので、主に2の「発生した時の対策」が中心になります。
これは単純に言ってしまえば3つしか方法はありません。
1.日程をずらす(延期する)
2.投入工数を増やす
3.目標を下げる(品質を落とすなど)
まあ、これ以外に最後の手段として、「プロジェクトをギブアップする」というのもあるかもしれませんが、自分の評価が下がるだけなのであまり取りたくない対策ですね(実際に1度だけやったことがあります)。
■リスクは挙げるより見直す
結局、プロジェクトの初期にプロジェクトの全体にわたってリスクを挙げるのは、プロジェクトマネジメントにとって大切なことですが、それが十分にできないような組織の場合には、定常的に「リスクを見直す」ことで、最悪の事態を避ける事ができる可能性は高まります。
まあ、やらないよりやった方がいいというレベルですが。
■参考図書 『アウトプットが10倍増える!スピード段取り術』
立ち読み可 | 仕事の8割は、段取りで決まる! 仕事のやり方を劇的に改善し効率を数倍高める「段取り力」。「段取り力(PWA)検定の仕掛け人であり、年間200日以上もの企業セミナーでこのスキルを教える「段取りの達人」が秘伝の技術を大公開! |
◆アマゾンで見る◆ | ◆楽天で見る◆ | ◆DMMで見る◆ |
アウトプットが10倍増える!スピード段取り術 著者 :吉山勇樹 | アウトプットが10倍増える!スピード段取り術 検索 :最安値検索 | アウトプットが10倍増える!スピード段取り術 検索 :商品検索する |
●本書を引用した記事
標準時間を持つ
伝わった結果だけが問題2:どう伝わったかを判断する方法
伝わった結果だけが問題1:どう伝えたかではなく、どう伝わったか!
リスクは上げるより見直す2:リスクマネジメントは「良い加減」に
リスクは上げるより見直す1:リスクは上げるより見直す
定型業務をカイゼンしなさい
締め切りを曖昧にしない
やることリストとやらないことリスト
仕事の4条件のスコープを決める
成果が倍になるコマ割り時間術
●このテーマの関連図書
頭のいい段取りの技術
残業ゼロ!仕事が3倍速くなるダンドリ仕事術(アスカビジネス)
デキる人が「当たり前」に身につけている!仕事の基礎力
ダメなパターンから抜け出すためのちいさな工夫(Sanctuarybooks)
突発的な仕事に先手を打つ残業ゼロのビジネス整理術
図解ミスが少ない人は必ずやっている「書類・手帳・ノート」の整理術