出張などで乗り物に乗ることがありますよね。
そのときに、会社から支給されるのは、通常の最も安い価格の切符です。
いまどきどこの会社も経費節減が厳しいのでそんなものが多いでしょう。
飛行機ならエコノミークラス。新幹線なら通常の指定席が普通だと思います。
ただし、私は駅や飛行場で上のクラスの座席にしちゃいます。
方法はいろいろあるのですが、簡単なのは、「お金(差額)を出すのでアップグレードしてください」ということです。大抵は応じてくれます(航空会社もそのほうが儲かるでしょうし)。
以下、飛行機について書きますが、その他の交通機関でも同じです。地下鉄で行くところをタクシーにする。自由席や指定席で行くところをグリーン席にする、などなど。
■違う世界が見えてくる
これに気がついたのは、もうずい分昔のことですが、会社の役員とたまたま飛行場で一緒になったことがありました。「おう!○○(私の名前)。お前これから中国か?それなら一緒に行こうや」と声をかけてもらいました。内心は「え?アンタと?」だったのですが、サラリーマンですので、役員から声をかけられたら嫌とはいえません…。
「まだ時間があるからちょっと休んでいこか」
と連れて行かれたのが、ファーストクラスのラウンジ(空港でお金持ちが使う待合室?)。さっとパーサーがついてきて、椅子をすすめてくれる。食べたいものを言えば大抵のものは持ってきてくれる。ちょっと手を動かすだけで、「御用は何でしょうか?」と聞いてくれる。
全然別世界でした。
で、出発時間ギリギリまでそこでゆっくりしていて、搭乗開始のアナウンスがあったらおもむろにラウンジを出て、搭乗口に行くと、エコノミークラスの人が並んでいるのを横目で見ながら、一度も立ち止まることなく改札して飛行機へ。その時はその役員の口利きで無料で私もアップグレードしてもらったのですが、CAもつきっきりで御用を聞いてくれるし、座席はゆったりしていて、食事もホテルと同じように一皿一皿きちんと持ってきて食べれるようにしてくれるわけです。快適そのもの。
到着後ももちろん一番最初に機外に出て、ガラガラのイミグレ(特別にファーストラインというのがあります)を通って、そのままタクシーでホテルまで。あっという間。
と、まあ、そんな体験をしてしまったので、それ以降、自腹を切ってでもアップグレードをするようになりました(いつもではありませんが)。「楽だ」というだけではなく、「自分の知らない世界」みたいなものがありましたね。
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例えば、靴はだいたい 5000 円以内で買う、と決めている人がいます。
実際には、日本では靴は 2000 円くらいから 7 万円、とびきり高いものでは 15 万円とか、まあ上を見ればキリがありませんが、そういう幅で売られています。5000 円前後Q 靴しか買わないと決めていた人が、何かの弾みで 4 万円の靴を気に入って買ってしまうと、その後「遼う世界」が見えるようになります。見えなかったはずの世界です。
4 万円の靴を履かなかったら高価なものには、それ相応の機能やデザイソや技術があります。もちろん無駄もあるでしょう。高ければいいと言っているのではありません。高価な理由を知るには、買ってみるのが一番早く、目利きになりたければ、「それまで見えなかったものが見えてくる」という幅を広げてゆく上かないと思います。
経営者が社員を育てる場合も同じです。これまで1 万円以上の経費を使う場合には部長決裁というルールだった会社で、予算 1000 万円のシソポジウム企画を一社員に任せれば、その社員は大きなプレッシャーを感じるでしょう。
けれども、1000 万円のお金の使い方について「地に足をつけて」考え始めると、せいぜい 1 万円程度の経費しか使っていなかったときには見えなかったことや、考えも及ばなかったことに「気づく」ようになります。
金銭に関する力というのは、そうやってついていくのですね。知的ストレッチにおいても、プレッシャーに感じるほどの負荷をかけて初めて到達できるレべルというものがあります。
日垣隆(著) 『知的ストレッチ入門―すいすい読める書けるアイデアが出る』
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お金の話もそうなのですが、そういう自分が体験できなかった世界に思い切って入ってみると、普段と違うものがみえます。これは確か。
どのように感じるのかは人それぞれでしょうけど。
これは昇進した時も同じことがいえます。それまでは、「ウチの会社はケチだな〜」とか言っていたのに、いざ予算を要求される側になると「こいつら、無駄遣いばっかりしやがって…」とか考え始めるわけです。社内の役職は勝手に「試してみる」ことはできなくて、実際にそういう立場に立ってみないとわからないのですが、飛行機や新幹線程度ならお金を出せば経験できます。
その上で、自腹で航空券代の数倍のお金を出してまでビジネスクラスやファーストクラスに乗る必要が無いと判断すれば、それは経験に基づく判断ですが、使ったこともないのに「ムダだ」と思うのは単なる偏見なのかもしれません。
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