相手を感情的にさせるのが上手い人がいます。
単に、自分の感情に任せて、相手を侮辱したり、非難したりするタイプの人ではなく、戦略的に相手を感情的にさせて、言質を引き出したり、発言を封じたりする人です。
よくドラマなどに出てくる頭の回る人というタイプ(大体は主人公か敵役)ですね。
こういう人に対応するのはすごく気を使います。なにしろ、相手の発言のウラを読まずに、勢いで反応してしまうと、あっという間にその人の望む方向に持って行かれます。それが自分にとって都合がいい方向なら、頼もしい味方ですが、そうでない時には本当に、胃がキリキリ痛むような状態で会話をしなければいけません。
■深呼吸する
深呼吸は、すごく簡単にできることなのですが、いざというときには意外とやれないものです。少なくとも私は、誰かと会話している時に、深呼吸などせずに、一気に緊張状態に持って行かれて、そのまま相手に引きずり回されるということが多かったです。
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皮肉やイヤミを言われると、誰でもムッとするものです。罵倒されると、瞬時にこちらも頭に血が上ります。
ここで、怒り出して向かって行くと、相手の思う壷にハマり、あとは泥沼の戦いに引きずり込まれかねないわけです。
かといって、じっとこらえて我慢するばかりでも、ストレスが溜まるだけです。
この第 1 章では、イヤな相手、苦手な人物に対しての攻略法をお伝えしてきました。相手に真っ正面から、力ずくでぶつかっていくのではなく、さまざまな心理テクニックを使って巧みに攻撃をかわし、切り返していくという方法論でした。
ここでは、イヤな相手、苦手な人物と対時した時にも、興奮したり、緊張しない方法について、もう少しだけ解説しておきます。
瞬時に怒りを鎮め、冷静になる方法で、これを「体感コント口ール法」と呼びます。
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ドイツの精神医学者 J ・ H ・シュルツ博士が考案した自己催眠誘導法である「自律訓練法」をべースにした興奮・緊張緩和法なのです。
まず、私たち動物は、敵と遭遇すると、自律神経系の「交感神経」が刺激され、たちまち興奮・緊張を余儀なくされます。「闘うか・逃げるか」の切迫した状態だからです。
そのため、すばやく行動できるよう全身の筋肉が硬直し、呼吸は浅く、心臓の拍動も早まり、発汗作用が増していきます。瞳孔も拡大し、状況を見極めようと目も見開きます。
この状態は、とても不快です。そして冷静な思考力・判断力も失われがちです。
そこで、体感によって、脳をコントロール(交感神経を鎮め、リラックス状態ではたらく副交感神経を刺激する)していく必要があるわけです。
脳をリラックスさせるには、まずは、ゆっくり深呼吸することです。
次いで体から力を抜くようにしましょう。そして目を細め、近くを見ていても、遠くを見ているようにしていきます。
この時、手の平に汗をかいていたら、すかさず拭います。
こうすることで、いまは「平常時」という脳への信号を送り、副交感神経を刺激するのです。すると、だんだん心が落ち着いてくるのがわかるはずです。
神岡真司(著) 『思い通りに人をあやつる101の心理テクニック』
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まあ、アタマに血がのぼっている時に、冷静にこれを思い出せるかどうかが問題なわけで…。
■一拍置く習慣をつける
いきなりやろうとしても、できるわけがありません。
訓練が必要なわけです。
そこで、私は、なにか話そうとしたら「深く息を吸い、ゆっくり吐く」という事をやってから話し始めるようにしてます。
「え〜っと」(スー、ハー)「そこの問題はですね〜」
こんな感じ。
こうして一呼吸置くようになったら、発言の影響も変わってきました。
一呼吸あると、「ん?何を言うんだ?」と注目されるようにもなったんですね。
影響力という意味でも、本書のように落ち着いてから話すという意味でも効果があったみたいです。
■参考図書 『思い通りに人をあやつる101の心理テクニック』
▼どうしたら思うように相手を動かすことができるのか?