「傾聴」のトレーニングセミナーなどに行くと、まず最初に覚えさせられるのが、頷き方。セミナーなどで聞いてみると、単に頷くという動作だけで、結構いろいろな種類があって奥が深いです。
次に教えられるのが、オウム返し法。
相手に「聞いてますよ」というメッセージを発することと、「ペーシング」のために、相手の入った言葉の一部を言う方法です。
相手:この前の社内ゴルフ大会、優勝出来たんだよ!
私 :優勝ですか!
こんなやつですね。多分、よくご存知かと。
■オウム返しのポイントを間違えると…
私はゴルフは知りません。だから、間違ってもこんな反応はしません。
相手:この前の社内ゴルフ大会、優勝出来たんだよ!
私 :ゴルフですかぁ
こういうオウム返しをすると、次にはゴルフの話になります。ところが私はゴルフは全く興味なし。有名人として、「石川ナントカくん」や、「松山カントカ」、「タイガーなんちゃら」くらいの名前(苗字?)は知ってますが、それ以上のことは全く…。
こうなると、次の展開は
私 :ゴルフですかぁ
相手:そうそう。僕はハンディ10でね。持ってるクラブが○○の○○なんだけど…
私 :????????
話が途切れること請け合い。
■オウム返しで話題を誘導する
もうここまで読めばわかったと思いますが、どこにオウム返しするかで次の話の展開が決まります。
何でもかんでもオウム返しすればいいってもんじゃぁありません。そのあとの話の展開を読んで、「ここに誘導しよう」という意志を持って返さないといけないのです。
相手:この前の社内ゴルフ大会、優勝出来たんだよ!
この例文では、ご紹介したように幾つかの「オウム返しポイント」があります。単純に名詞を拾うだけでいいのですが、
・社内ゴルフ大会
・ゴルフ
・社内
・大会
・優勝
当然、相手はそう切り出してきたということは、優勝に力点がありますので、優勝をオウム返しすれば、相手が一番望んだところです。一方で、自分としてはたとえば、相手の社内事情を聞き出したいという欲求があれば、あえて、
「御社では社内でゴルフ大会があるんですか! いいですね!」
※「社内ゴルフ大会」を、「社内でゴルフ大会」と言い換えていることにも注意。
※主語も強調して「御社では」をつけてる。芸が細かいですね(自画自賛)。
と返す方法もあります。そう返されれば、相手は会社の話にならざるをえません。こう切り返されておきながら、それでも、
相手:優勝なんて初めての経験でね〜
とまで自分の好き勝手に話を展開できる人には無力ですが。
「オウム返し」みたいな単純な方法にも、戦略があると、よりうまく使えますよ、というおはなし。