2021年08月09日

BATNAを用意してから交渉に臨む




交渉において、私が大切にしているものが、核心にいくためのストーリーとBATNAです。




■いきなり「××してください」は通用しない


かんたんなものならいいのかもしれませんが、自分が何かほしいものがあって、それをくれるように相手と交渉するときに、いきなり「××をください」というのは直接的ではありますが、通常は下策です。

たとえば、

 「ちょっと、○○を用意しておいてください」
 「明日までに△△の報告書を作ってください」
 「一緒に○○をやりましょう」

みたいなものは、そこに至るストーリーを用意する必要があります。

どんな話から始まって、それをすることによって得られる共通の利益や相手の利益について話をする。それが相手がほしいと思える状況を作る。その上で、相手に「それをすることが最善」と思わせる。そんな前置きをおいて初めて「○○をしてください」ということで、合意が得られやすくなるわけです。

こういうストーリーを立てずに交渉に臨むと、結構な確率で失敗します。
一度失敗すると、その人との再交渉はハードルが上がります。「このまえ、ダメって結論したじゃん」と門前払いを受ける可能性があるからです。そういうときには、その結論の前提をひっくり返すような新たな事実が必要になりますが、そうそうにそういうものが手に入る者ではありませんから。

なので、交渉、とくに難しい相手との交渉や話し合いの場に臨むときには、相手の性格も考慮しながら幾つかの大まかなストーリーを検討しておくことが、交渉を成功に導くポイントです。




■BATNAを用意する


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●BATNA
BATNAとは、交渉相手から提示されたオプション以外で、最も望ましい代替案(Best Alternative to Negotiated Agreement)。

通常、BATNAが交渉における限界値を決めることが多い。

例えば、友人に古着を売る交渉を考える。この古着が、ある古着屋では1000円で売れるという担保があれば、友人との交渉は1000円以上から始められる。このように、友人に売る以外の最良の代替案がBATNAである。

出典:グロービス経営塾
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もし、相手から拒否されたときに、「じゃぁどうするか」という選択肢を用意しておきなさい、ということです。

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さらに、フイッシャーが提唱した「BATNA」という言葉があります。

これは「 Best Alternative To a Negotiated Agreement 」の頭文字を取ったものです。

これは「交渉が割れた場合の最善の選択肢」のことで、日本語でいう「次善の策」に近い考え方です。交渉の前にはあらかじめ自分の BATNA を考えておきます。その内容がよければ、交渉の際の自分の立場が強くなり、交渉力が上がります。また、どの時点で BATNA に切り替えるかという引き金も決めておきます。
 :
 :(中略)
 :
1980年代半ばに仕事でスリランカに出張していたときのことです。

お土産屋さんで、どう見ても高過ぎる 300 ルピーの彫刻を 150 にまけてくれと言ったのですが、断られました。

そこで、「じゃあ、いいです」と車に乗ろうとしたら急に店員の態度が変わって 150 ルピーに下げてきました。その交渉では私の BATNA は「買わない」でした。

買わなくてもいいと決めたことが、私の交渉力を高めたのです。

交渉では、 BATNA の内容がよくなければ、相手から強いプレツシャーをかけられてしまいます。あらかじめ代替策を考え、それに切り替えるポイントも考えたうえで交渉に臨むことが、交渉を成功に導くコツです。

ロバート・アラン・フェルドマン(著) 『フェルドマン式知的生産術
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これは、部下や後輩が何かの交渉に行くときに、私はかならず聞きます。

 「話がうまく行かなかったとき、どうする?」

結構考えてないひとが多いんですけど、交渉の本を読めば必ず出てくる言葉ですし、「どうしてそれを考えないんだろう」と自分としては不思議に思ってしまうのですが…。

もし、「わかりません」とか「考えてません」とかいうようなら、「考えつくまで、打ち合わせは延期しなさい」と指示するようにしてます。

たとえば相手の部門から予算を出してもらって、何かの開発をするときに、「特別予算枠をください」と相手に言わないといけないわけです。10万や20万の話なら相手もかんたんですが、1000万みたいなオーダーになれば、相手の役員まで巻き込んで予算枠を検討しないといけないわけです。

そんな場に、徒手空拳で乗り込んでいっても、「そんなお金はない!」と言われて話は終わりです。

そのために、話の持っていき方、ストーリーを考えるわけですが、それでも「ないものはない」と言われたら、「じゃぁこちらの予算でやります」というのか「じゃぁ要望の開発はできません」というのかの腹を決めておかないと行けないわけですね。






■参考図書 『フェルドマン式知的生産術




本質を無駄なく、シンプルに人に伝える。言葉の壁、時間の壁、文化の壁を乗り越える。
そんな、アナリストのスキルが、いま、どんな仕事にも必要とされています。
WBSコメンテイター、モルガン・スタンレーMUFG証券チーフ・エコノミストによる、思考法 仕事術の教科書。
ロングセラー『一流アナリストの「7つ道具」』をケースススタディを中心に大幅増補し、新たに「結合力」の章を加えました。





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posted by 管理人 at 04:01| Comment(0) | TrackBack(0) | 交渉術 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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