よく、「問題が起きたらすぐに上司に報告しなさい」っていうビジネス書やネットの記事を信じて、速攻で報告に来る人がいたり、「自分でなんとかしよう」と頑張り続けている人がいたり、まあいろいろなのですが、どちらも上司からすると期待するものではありません。
というか、「報告の仕方がなってない」っていらないところで減点をくらいます。
■上司の力を利用するトラブル解決の方法
何か問題が起きたらとりあえず上司に報告するのがいいのですが、いきなり「トラブりました!」と言われても、上司としては経緯を知らないので判断のしようがありません。
ただしく情報を伝えないと上司としてもどう動けばいいのかわからないのです。
逆に、部下から何も情報が出てこなければ、これまた動き用がありません。
たとえ、「コイツ、バタバタしているな。トラブルか?」と思っても実際に「どうした?」と声をかける上司は多くないでしょうし、部下に「大丈夫です!」って言われて、さらに「いや、そんなことないだろう」とまで聞ける上司は少数派のような気がします。
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よくないのは、上司に言わずに、自分の力だけで片付けようとすることです。
誰にも言わずに抱え込み、あれこれ考え悩んでいると、時間だけがいたずらに過ぎていきます。ミスやトラブルは、初期対応を誤ると、さらに事態が悪化することがあります。また、時間の経過とともに、より探刻化したりもします。
報告が早ければ、打つ手もあれこれ考えられますし、多くの人が知恵を出し合えば、いい解決策も浮かんでくるというものです。
なにより経験豊富な上司は、こういう時こそ頼りになるのです。
田中和彦(著) 『できる人はやっている 上司を使い倒す50の極意』
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■落ち着け!
トラブルが起きたら、まず、慌てないことです。
慌てて、
部下:トラブってます
上司:なにが?
部下:お客様が電話でお怒りです
上司:なんで?
部下:怒っているみたいなんです
上司:だからなんで?
部下:すごい剣幕なんです。
上司:だから!なんでお客様が怒っているの!?
部下:もう「今すぐそっちに行くぞ!」みたいな勢いで…
上司:……オレも怒っていい?
なんて報告じゃぁ上司も困るでしょう。
トラブルが予定通りに起きてくれれば、慌てなくても対処できるでしょうけど、たいていは予定外に起こってくれるので、やっぱりいくら場数を踏んでいても、やっぱり平静ではいられません。それが経験が浅ければパニックになるのもやむを得ないところはあります。
それでも、その状況を他人にきちんと伝えようと思ったら、冷静に準備することが必要なんです。
まずは、深呼吸でもして落ち着きましょう。
■過去の経緯を全部書き出す
深呼吸をしたら、次にやるべきことは、トラブルに至るまでの経緯を全部紙に書き出すことです。
私は手ぶらでトラブル報告に来た部下には、最初にこれをやらせます。
もし、分単位での対応が必要なものがあるようなら、別の同じような業務をしている人に情報収集と超暫定対策に当たらせます。適任者がいなければ自分がやる時もありますが。
その間にトラブルを起こした担当者には、「経緯をを全部書き出しなさい」と指示します。
自身がトラブルの火消しをする時以外は、その担当者に聞き取りをしながらホワイトボードに経緯を書き出していきます。
■事実と所見を分ける
だいたい全部書き出し終わったら、事実と所見を分けます。
これが結構重要な作業で、ある事象はトラブルを起こした担当者が観察したものです。
これを上司に報告した場合、3つのフィルタがかかります。
・上司に怒られたくないので、自分に都合の良い言い方をする
・自分が観察していないところを適当に補って報告する
・記憶違い、都合の良い記憶の書き換え
このフィルタを外す作業をするのですが、担当者本人には難しい場合もけっこうあります。上記のようなフィルタがかかっていることを本人が自覚できてませんから。
可能なかぎり担当者ではない第三者の目を通して、「これは事実」「これはキミの所見」と分けていったほうが正確なものが出来上がります。
さらに、複数人でやるメリットとして、事実として一面しか捉えていないところや、前後関係が矛盾しているところをさらに突っ込んだ質問をして情報の精度を上げていくことができます。
ただ、一次情報はトラブルに直面している自分しかできないので、まずはひとりで分類をして、それから上司や先輩に報告するのがいいと思います。
ひとりでこうしたフィルタを外すためには、抽象的な言葉や印象的な言葉は、具体的な言葉にすることです。
たとえば、「全部の生産が止まった」という報告を、「キミが見たのはどのライン?」と聞くと、「AラインとB、Cです」と答えます。生産ラインが5本あれば「D,Eは確認してない」ということです。それを「全部」と言っちゃうとミスリードが起きます。
「すごく怒ってます」も単に大声で喚いているだけかもしれませんし、もともと地声が大きな人かもしれません。具体的な事実を明らかにしないと情報は正しく伝わりません。「すごく怒ってます」っていうことの「すごく」とはどういう事実から観察できるのか、「怒っている」というのはなぜそう判断できるのかを報告しないといけないわけです。
事実と所見を分けたら、事実には赤丸、所見や印象は青丸をつけます。
これで報告する準備が出来上がります。
■対応方法を考えておく
まあ、どう対応していいかわからないからパニックになっているので、ここからは「できればやったほうがいい」レベルですが、
・報告する上司になにを期待するのか
・このあと誰がどのようにするといいのかの計画
も考えておくといいです。
※10年選手でこれができない人なら多分評価は下がるでしょう…。
対応方法については別の紙に書き出して、上司には見せずに置くのがいいですが、
・上司に一緒に謝りに行ってほしい
・他の同僚にトラブル対応の協力を指示してほしい
・トラブルの解決方法を指示してほしい
などです。そのためには、どうすればトラブルが収束するのかがわからないとできないので、多分新人レベルの人にはムリで、ある程度経験や知識が必要です。逆に10年選手でこれが挙げられない人はちょっと…ですね。
とくに、3つ目以外、1番目と2番めは、トラブルを起こした担当者自身が解決方法が頭にあって、それの役割分担だけがうまく制御できていない状態です。これができる人なら上司は「わかった。それでやれ」というだけです。とっても楽。
■参考図書 『できる人はやっている 上司を使い倒す50の極意』
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●本書を引用した記事
トラブルを上司に報告する前にするべきこと
希望の部署に移動する方法
上司の情報を活用する
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失敗に対して上司がもっとも腹が立つこと
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