2017年02月07日

昇進面接:なぜ昇進が課長止まりなのか




毎年、社内の昇進昇格の面接官をやってます。

■課長止まり

多くのサラリーマンは長年務めると、「長」のつく役職にあがるか、その直前くらいまでにはなります。

ただ、そこから上に行くためには、かなり厳しい。

いわゆる「ピーターの法則」ってやつですね。

でも、それだけじゃないんですよ。
いろいろな人の面接をしてきて、簡単に合格レベルだと判断できる人は実際ごくわずかで、結構みんな「ん〜。どうしよう」って悩みます。

もちろん、ポストの数の問題というのもあります。
課長以上のポストというのは簡単には作れません。管理職ばかりにしてしまったら、実際にお金を稼いでくれる人がいなくなるので。

ただ、「この人は管理職にしたい」と思える人が少ないことも事実なんです。

■仕事ができる人が管理職にはなれない

過去記事でも何度か書いてますが、名プレイヤーを監督にしてもうまく行きません。

つまり、サラリーマンとして、ビジネスマンとして、実績を出しているプレイヤーを「長」のつく仕事にした途端に、ダメ社員になることも結構あるんですよ。

そういうのに懲りているので、「ある実績」を持った人しか昇進はさせません。

それが、マネージメント能力です。

■お客様のクレーム対応をした課長

たとえば、例で言うと

 お客様のからクレームがはいって、ちょっとこじれた。
 →お客様のところに出向いて直接交渉して問題を解決した

っていう課長/係長がいたとしたら、彼を昇進させられるかというと NO です。

理由は簡単で、マネージメント能力のひとつである、「部下の育成」について全く能力を使っていないからです。
「長」が付く人というのは、「人をうまく使ってナンボ」「部下を育成してナンボ」です。

自分がプレイしていてはダメなんです。

もう一歩進んで言うと、係長や課長に昇進させられるかどうかもここで判断します。
どんなに仕事(プレイ)ができても、人材管理(マネージメント)ができなければ、人を管理する管理職は務まりません。
※そんな怪しい人に昇進してもらって会社や組織がどうかなってしまっては、私の定年までの安心生活が成り立たない…。

昇進面接時に、喜々として自分がやった業績を述べるようでは、管理職にふさわしいとはいえない、と受け取ります。
部下や後輩に「やらせた業績」がもっとも評価が高いわけです。

いつも、面接の後に他の面接官と評価のすり合わせをしますが、ここのところが不一致になったことはあまりありません。
どのくらいのレベルだと判断するか、で議論になることはありますが。

■マネージャになりたかったらマネジメント能力を磨く

もし、マネージャになりたかったら、実際にプレイする仕事レベルは「人並みか、それよりやや上」というレベルでも構いません。マネジメント能力が高ければ、マネージャになれます。
もちろん、仕事がまかれられないレベルの人はダメですし、チャンスや環境の問題はありますが、それは他の記事で。


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